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東芝、日本MSを渡り歩いてきたNECPC/レノボの檜山社長が語る 国内トップPCメーカーの強みを生かす経営術IT産業のトレンドリーダーに聞く!(1/3 ページ)

» 2023年09月29日 06時00分 公開
[大河原克行ITmedia]

 2022年10月に、檜山太郎氏がレノボ・ジャパンおよびNECパーソナルコンピュータ(NECPC)の社長が就いてから、ちょうど1年が経過した。もともと同氏は東芝でPC事業に携わり、欧米での事業成長に貢献。2017年からは日本マイクロソフトでコンシューマー事業およびコマーシャルパートナービジネスを統括し、その後、執行役員常務として、同社クラウド事業の成長をリードした人物だ。

 ハードウェアとソフトウェア、国内と海外、コンシューマーとコマーシャルでの経験を持つユニークな存在でもあり、それが今、国内ナンバーワンシェアのPCメーカーであるNECレノボ・ジャパングループの経営に生かされている。

 この前編では、トップシェアPCメーカーの社長の立場から見た日本のIT産業の課題、そして、檜山社長の経営術などについて聞いた。

レノボ・ジャパン NECパーソナルコンピュータ 檜山太郎 NECパーソナルコンピュータ 代表取締役執行役員社長およびレノボ・ジャパン 代表取締役社長の檜山太郎氏

国内No.1シェアのレノボグループをどう生かすのか

―― レノボ・ジャパンおよびNECPCの社長にして、約1年を経過しました。この間、どんなことに取り組んできましたか。

檜山 振り返ってみると、レノボグループ自身が、この1年間で大きく変化しています。レノボグループは、日本において、LAVIEやVersaPro、MateといったNECブランドのPC、ThinkPadをはじめとするLenovoブランドのPCの他に、タブレット/サーバ/エッジコンピュータ/IoT/ネットワーク機器、さらにモトローラのスマホまで、さまざまなデバイスを市場に投入しています。

 また、LIFEBOOKやESPRIMOなどを展開する富士通クライアントコンピューティング(FCCL)もレノボグループの1社です。

 これまでは、これらの企業やブランドが独立した形で、事業成長を目指してきました。この姿勢は変わらないのですが、それに加えて、2023年4月からスタートした新年度は、レノボグループ全体の総合力をどう生かすかという議論が活発化しています。

 私の仕事も2023年3月までは、それぞれのデバイスをいかに拡販するかという点にフォーカスしていましたが、2023年4月以降は一番いい製品を、最も高いコンスパフォーマンスによって提供するという姿勢をベースにし、これをお客さまに使っていただいた上で、いかに付加価値を提供し、お客さまのビジネスにおいて成果をあげることに貢献できるか、といった姿勢を強化しています。

 そこには、レノボグループの総合力が生かされることになります。

レノボ・ジャパン NECパーソナルコンピュータ 檜山太郎 レノボ・ジャパンの2023年度法人向けビジネスの重点施策

―― これまでにも「One Lenovo」という言葉を使ってきた経緯がありますが。

檜山 言うのは簡単ですが、実現するのはなかなか難しいものです。One Lenovoとして何が提供できるのか。そこにこれまで以上のチャレンジをしています。これは、私たちの意思ということだけでなく、お客さまから求められていることだという実感があります。

 コロナ禍では、テレワーク需要の盛り上がりやGIGAスクール構想による1人1台のデバイス整備、サプライチェーンの混乱による部品調達の遅れなどがあり、いかに早く、プロダクトを提供するかという点が重視されましたが、生活環境や社会環境が変化してデバイスが行き渡ると、今度は、どう活用するかという点に注目が集まり、IT産業全体が、それに応えていくフェーズに入ってきたと考えています。

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