プロナビ

「100万人に喜んでもらえるVAIO」に挑戦しよう! VAIOを触ったことがないのに社長になった山野氏のこだわりIT産業のトレンドリーダーに聞く!(VAIO 前編)(1/4 ページ)

» 2023年04月25日 12時00分 公開
[大河原克行ITmedia]

 VAIOが大きな変革への一歩を踏み出した。新たに発表した個人向けPC「VAIO F14/F16」と、法人向けの「VAIO Pro BK/BM」は、Windows PCの「定番」といえるモノ作りを追求。これまでのVAIOが得意としてきた“プレミアムニッチ”のモノ作りとは一線を画し、より多くのユーザーにVAIOの価値を届けるものになる。

 さらに、成長戦略を加速し、2022年5月期には224億円だった売上高を、2024年5月期には、2倍以上となる500億円を超える事業規模にまで拡大する計画も打ち出す。新たな戦略の背景にあるのは、「このままではVAIOは生き残れない」というVAIO 山野 正樹社長の強い危機感だ。

 インタビューの前編となる今回は、山野社長が抱いたVAIOに対する危機感、そして「定番」と呼ばれる新PCの開発に向けた挑戦について聞いた。

VAIO F16 F14 安曇野 インタビュー 東京都港区にある東京オフィスで、VAIO 代表取締役 執行役員社長 山野 正樹氏にお話を伺った

これまでVAIOを触る機会がなかったのに社長に就任

―― 2021年6月にVAIOの社長に就任してから、まもなく2年が経過しようとしています。もともとVAIOには、どんな印象を持っていましたか。

山野 私は大学卒業後に三菱商事に入社し、長年に渡ってITサービス分野を中心に、国内外でさまざまなビジネスに携わりました。しかし、その間、自分自身でVAIOを使う機会は1度もありませんでした。IBM時代のThinkPadを始め、富士通(FCCL)/NEC(NECPC)/パナソニック/レノボ・ジャパン/デル・テクノロジーズ/日本HPなど、あらゆるPCを使ってきたのですが、よりによってVAIOだけは唯一使ったことがなくて……。

 そういった背景がありましたから、これまで1度も使ったことがないVAIOの社長に就くことになったのは、むしろ運命的なものを感じました。

―― なぜ、VAIOを使う機会がなかったのでしょうか。

山野 偶然にも使う機会がなかったというのが正直なところです。ただ、その一方で、多くのPCユーザーが感じていることかもしれませんが、VAIOは、お洒落なPCブランドという印象とともに、ガジェット好きの人たちが使うというイメージもあります。

 熱狂的なファンが多いブランドですから、普段使いのPCユーザーにとっては、そこに入っていきにくい(笑)という感じもしていました。

 もちろん、実際に使ってみると、品質や質感にはとても満足していますし、なぜ、これまで使わなかったのかと反省はしています。

―― VAIOの中に入ってみて、どんなことを感じましたか。

山野 社長に就任する1カ月前から、部長以上の社員全員と面談をしました。そのときに感じたのは、VAIOという会社には大きな可能性があるということでした。いい製品を作っており、知識と経験を持った、まじめな人がいる。VAIOというブランドにプライドを持ち、このブランドを守るという使命感も強い。

 しかし、ビジネスという観点から見てみると、いい製品を作っている割には売れていない。業績も伸び切れていない。そして、思ったほど認知度が高くない。しかも製品の価格が高いという課題を感じました。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月27日 更新
  1. マウスコンピューターがPC全製品の受注を停止 法人向けPC「Mouse Pro」も購入不可能に 販売再開は2026年1月5日から順次 (2025年12月26日)
  2. そのアプリ、本当に安全ですか? スマホ新法で解禁された「外部ストア」と「独自決済」に潜むリスク (2025年12月26日)
  3. さらばWindows 10、ようこそ“画面付き”パーツ 古参も新規もアキバに集った2025年を振り返る (2025年12月26日)
  4. 25Gbpsインターネット時代の“モンスターマシン” ミニワークステーション「Minisforum MS-02 Ultra」を試す (2025年12月25日)
  5. Ryzen 7×GeForce RTX 5050 Laptop GPUの「ASUS TUF Gaming A16 FA608UH」がセールで16万9800円に (2025年12月25日)
  6. HHKB Studio専用の「木製」「アルミ製」キートップが登場 PFUダイレクトで1月5日発売 (2025年12月25日)
  7. 「買うならお早めに」が悲痛な叫びに変わった年末 猛暑の後に“価格高騰”の寒波が襲った2025年PCパーツ街 (2025年12月25日)
  8. 「テクノロジーが前面に出すぎていた」――アイロボットジャパン新社長が語る、ルンバ復権への“原点回帰” (2025年12月25日)
  9. 高コスパNASから小型スマホの救世主まで! 2025年にグッと来た「デジタル仕事道具」ベスト5 (2025年12月24日)
  10. ソースネクストが8万9800円(期間限定で7万4800円)の「Windows 11 Pro 15.6インチノート型PC 1TB」を販売開始――ストレージ容量を倍増 (2025年12月26日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー