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他社に勝てる、ユーザーが本当に求めている製品を徹底的に議論していく レノボ・檜山社長がこだわる、ハードウェアメーカーだからこそできることIT産業のトレンドリーダーに聞く!(1/4 ページ)

» 2023年10月06日 06時00分 公開
[大河原克行ITmedia]

 コロナウイルスの流行から世界情勢の不安定化、製品供給網の寸断や物流費の高騰、そして急速に進む円安と業界を取り巻く環境は刻一刻と変化している。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。各社の責任者に話を聞いた。前編の記事はこちら


 レノボ・ジャパンおよびNECパーソナルコンピュータの檜山太郎社長は、レノボグループの強みは、社是でもある「Smarter technology for all」(全ての人の生活を、テクノロジーでより豊かにする)にあると断言する。

 それを支えているのが、ユーザーのポケットに入るデバイスからクラウドまでをカバーする幅広い製品群だ。その製品群を見ると、ここにきてユニークな製品投入が相次いでいる。日本においては、PC-9800シリーズの発売40周年を記念した限定モデルの発売や、ThinkPadの30周年記念モデルの展開などだ。

 さらに、Lenovo Legionシリーズに続く、新たなゲーミングPCブランドとして「Lenovo LOQシリーズ」(レノボ・ロック)を投入した他、法人向けVRであるThinkReality VRXの発表など、興味深い製品が相次いでいる。後編では、日本における製品戦略などについて聞いた。

レノボ・ジャパン NECパーソナルコンピュータ 檜山太郎 NECパーソナルコンピュータ 代表取締役執行役員社長およびレノボ・ジャパン 代表取締役社長の檜山太郎氏。秋葉原の本社でお話を伺った

レノボグループに入って味わった大きな衝撃

―― 改めてお伺いしますが、レノボグループの強みはどこにありますか。

檜山 レノボグループは社是として、「Smarter technology for all」(全ての人の生活を、テクノロジーでより豊かにする)を掲げています。この言葉で示したように、全ての人に技術による恩恵を提供し、よりよい世界を実現することを目指しています。この社是を実現するのが、ポケットからクラウドまでをカバーする幅広い製品と総合力であり、ここにレノボグループの強みがあります。

 またPC市場においては、レノボグループは日本でも世界でもトップシェアメーカーであり、これは私たちだけが得ているポジションです。私は、国内トップシェアのPCメーカーの社長として、多くのCIO(Chief Information Officer/最高情報責任者)から話を聞ける機会があります。言い方を変えれば、日本でPCに関する話を最も多く聞くことができる立場にあり、最も早く情報交換ができる立場にあります。

 それは、最も多くの課題に気が付ける立場だともいえます。市場の動きをいち早く理解して困りごとを捉え、それらの要望をレノボグループの幅広い製品やサービスに適用することができます。

レノボ・ジャパン NECパーソナルコンピュータ 檜山太郎 「Smarter Technology for All」は、Lenovoグループのコーポレートミッションだ

―― レノボグループは、どんな企業文化を持った企業ですか。

檜山 実は私自身、レノボグループに入って、かなり大きな衝撃を受けたんですよ(笑)。振り返れば、東芝から日本マイクロソフトに移った時にも大きな衝撃を受けました。これは日本マイクロソフトに入社した当時のエピソードなんですが、米本社に出向いた際に、日本市場における事業計画についてまとめるように言われました。徹夜で中期計画を作り、翌日それを提出したときに、なぜか、会議室がざわざわしはじめて……。

 私は、プランの実行性について問われているのかと思い「これは達成することができる」と発言したところ、「いや、そうじゃないんだ。こんな長期の計画を見たことがないので驚いた」というのです。東芝を始めとする日本の企業では、事業計画というと3カ年の中期計画が一般的ですが、マイクロソフトの考え方はそうではない。市場は毎日変化するものであり、3年間、同じ計画を推進するのはリスク以外の何物でもないと言うわけです。

 長年、日本の企業でやってきた立場からすれば、その言葉がとてもショックでした。計画は変わっていくものであり、年間予算も変化する。投資する領域まで変わり、それに合わせて人材や組織体系まで変化します。かつての日本の大手企業の常識からすれば、途中で年間予算が変わるなんて考えたことがなく、それは大きな驚きでした。

 しかし、スピードの速い会社からすれば当然のことです。会議では計画については評価をしてくれたのですが、この計画をベースに3カ月ごとに会議を行い、必ず見直しを行ってどこを変えたのか、その理由は何かを報告してくれといわれました。

 レノボグループに入ってからは、それを超える大きな衝撃を受けています(笑)。

 計画や予算を変えていくのは当然のことですが、大きな違いは予算を達成したとしても、市場全体を上回る成長をしなければ、評価されないという点です。

 この結果、チームは予算だけに目を向けるのではなく、市場全体を捉えて仕事をするようになっているのです。市場全体を上回る成長のためには、市場全体の成長率はどうなのか、どの領域が成長しているのか、どんなやり方がうまく行っているのかということを、お客さまやパートナーとの対話から得ることが、極めて重要になります。議論の中身も、自分たちの視点ではなく、市場全体を意識したものに変わっていきます。

 自分たちは何ができるのか、課題をちゃんと捉えているのか、課題に対して、どんな提案ができるのか。市場全体の成長に自分たちはどう貢献できるのかということも考えるわけです。それは、ナンバーワンシェアの企業だからこそ、求められている要件だともいえます。

 レノボグループでは普通に行われているものですが、外から入ってきた私にとっては、これは衝撃的な出来事でした。社内の予算達成だけがゴールではありませんから、終わってみないと結果が分からないところはあります。しかし、これによって、上司からの指示ではなく、自走していく文化が生まれますし、それに伴って目標達成に向けた私のアドバイスの仕方も変わることになります。まだ完成形ではありませんが、市場全体を捉えて、事業をしていく文化をしっかりと定着させていきます。

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