―― ここにきて、ユニークな製品が相次いで登場しています。この半年間を振り返ると、PC-9800シリーズの発売40周年を記念した限定モデルを発売したり、ゲーミングPCでは「Lenovo Legion」シリーズに加えて、新たなゲーミングPCブランドとして「Lenovo LOQ」シリーズを投入したり、法人向けVRである「ThinkReality VRX」も発表しています。また、この1年間はThinkPadの30周年でもあり、記念モデルもありました。製品投入が積極化している感じを受けます。
檜山 先ごろ、NECパーソナルコンピュータから発売したPC-9800シリーズの40周年記念モデルである「LAVIE NEXTREME Infinity」は、LAVIEノートPC史上最速のパフォーマンスと最上のディスプレイ、最高の操作性を追求したフラッグシップノートPCです。
特にPCとしては初めて、太陽光にも含まれる波長360〜400nmの可視光を照射する「バイオレットライトLED」を搭載しています。40周年にふさわしい製品ができたと思っています。4000台限定での販売となりますが反響が大きく、予想よりも早く販売が終了することになりそうです。年末商戦前には完売すると見込んでいます。
また、ThinkPadやLAVIEシリーズも継続的に進化させていますし、ゲーミングPCでは、Lenovo Legionシリーズに加えてLenovo LOQシリーズを加えたことで、ゲーミングPC市場の拡大にも貢献していきたいと考えています。
ただ、このようなとがったPCや新規領域の製品だけでなく、多くのユーザーが利用するPCについても、しっかりとしたモノ作りを進めていきます。ざっくりというと日本では、年間で約1200万台のPCが出荷され、そのうちコンシューマーPCが約500万台、コマーシャルPCが約700万台という構成です。
ここでは基本性能が求められ、安定的なニーズがある領域だと表現することができます。そこに対して、満足をしていただける製品を提供することは重要な役割です。新たな製品ポートフォリオによって、市場に刺激を与えるだけでなく、お客さまが欲しいPCとは何か、それによってお客さまは何ができるのかといったことを重視したモノ作りをしていきます。
―― 今後、日本市場に向けて、どんなPCを投入したいと考えていますか。
檜山 私自身、東芝時代から「こんなPCを作りたい」ということを積極的に要望していました。うまくいったものもあれば、あまりうまくいかなかったものもあります。市場が急成長していたり、あるいは縮小したりする市場に対しては、斬新なアイデアを出すことも必要ですが、今は市場環境が変化する中で、基盤ともいえる製品領域において、ユーザーが本当に必要にしているデバイスを作ることが大切だと思っています。こうしたユーザーが求める製品領域において、勝てる製品を出していきます。
今、製品企画チームとかなり深く議論をしているのは、新たな機能や技術を採用する際に、それを搭載することで他社に勝てるのか、勝てる理由は何かという点です。この技術によってユーザーにはどんなベネフィットがあるのか、この技術を他社は出してこないのか、どれぐらいの期間、優位性を保てるのか。そういったことを総合的に判断して、新たな技術や機能を採用した製品を投入することになります。いくらいい技術であっても、価格が高ければユーザーの期待値との間に格差が生じます。そこも厳しく議論をしていきます。
もちろんビジネスですから、単なるアイデアだけでなく、製品化した際に、これまで以上に強い製品になるのか、これまで以上に多く売ることができるのかといったことも重視します。そのためにはユーザーの視点に立って考え、ユーザーは何を求めているか、何を欲しいのか、何を実現するとユーザーに付加価値を提供できるのかといったことを、徹底的に議論していきます。
一方で、まだまだユーザー視点のPCにはなっていないと感じる部分があります。例を挙げると、NECパーソナルコンピュータには歴史があり、長年に渡る成功体験があります。ThinkPadの歴史も同様です。その成功体験をベースにして、技術者は製品を開発し、営業部門は販売施策を展開します。そして、国内のPCユーザーもその成功を知っていますから、その流れを期待し、それを前提した製品を求めます。
しかし別の見方をすれば、それは過去の流れを継承した後継モデル作りに陥りやすいともいえます。この新製品の延長線上で、本当に3年後に通用するのか。今やっておかなくてはならないことは何か。ユーザーの視点は日々変化していますから、ユーザー視点によるモノ作りができるカルチャーをもっと植え付けていく必要があります。
また、このカルチャーが、私が社長を辞めたら無くなってしまったというのでは意味がありません。大変な取り組みであることは理解していますが、このカルチャーがNECレノボグループの基本的な姿勢として、組織の中に定着するところまで挑戦したいと思っています。
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