プロナビ

他社に勝てる、ユーザーが本当に求めている製品を徹底的に議論していく レノボ・檜山社長がこだわる、ハードウェアメーカーだからこそできることIT産業のトレンドリーダーに聞く!(2/4 ページ)

» 2023年10月06日 06時00分 公開
[大河原克行ITmedia]

サービスおよびサポート部門を強化 法人/個人で変える打ち手

―― 2023年4月からスタートしている2023年度が半年を経過しました。どんなことに取り組んできましたか。

檜山 コンシューマー分野では、販売店に対するサポートをしっかりとやっていくことに力を注いでいます。もともと販売店比率が高いビジネスを行っていましたが、コロナ禍では、販売店や直販を通じたeコマースの比率が上昇し、それに合わせてeコマースを強化してきた経緯がありました。

 2023年度は市場環境が変化し、販売店店頭にもお客さまが戻ってきていますから、今後の動向を捉えながら、販売店に対するサポートの強化と、eコマースの強化を同時に進めていくことになります。特に地方都市では、売れているPCが特定のモデルに集中する傾向があり、ユーザー目線に立って、最適な製品を提案していくための活動を進めたいと思っています。

 例えば、使っているシーンはどうなのか、持ち運んで利用することでどんなメリットが生まれるのか、今後、生成AIが広がる中で、どんなPCが適しているのかといったことも提案していきたいですね。

レノボ・ジャパン NECパーソナルコンピュータ 檜山太郎

 一方で、コマーシャルPCでは、エンドトゥエンドで伴走する「カスタマーサクセスへのコミット」に加えて、エッジコンピューティングや仮想現実の活用、コラボレーション体験の最適化を進める「新たなコンピューティング活用領域」の提案、導入障壁を下げることで、あらゆる地域のデジタル活用を次の段階に進める「デジタル活用格差の解消」に取り組みます。

 さらに、ThinkPadやレノボブランドのPCでは、「CO2オフセット・サービス」を開始し、企業において意識が高まっている環境問題に対して、新たな提案を行っていきます。

 これも、デバイスを扱っているハードウェアメーカーだからこそできる提案だといえます。私は、この数字を最初に聞いたときには、とても驚きました。ThinkPadでは、お客さまに製品を届けるまでの設計/調達/生産/配送の段階と、それを5年間使用した場合のCO2排出量の合計で1〜1.5トンにも達するのです。そこで、CO2オフセット・サービスでは、レノボグループがこの分の削減活動を行い、ThinkPadを利用しているユーザーは、それをオフセットすることができるようにしました。

 このオフセット権を購入すれば、ThinkPadを大量導入しても、企業活動としてCO2排出量の削減に貢献していることを証明できます。これは、グローバルのプログラムとして用意しているものですが、NECブランドのPCやモトローラのスマホ、ThinkSystemやThinkAgileといったサーバでも実施していく考えです。

レノボ・ジャパン NECパーソナルコンピュータ 檜山太郎 今後は、法人ユーザー向けのカーボンオフセットサービスにも力を入れるという

―― 日本において、体制を強化している領域はどこですか。

檜山 この2年間に渡って、積極的に増員している領域の1つが、サービスおよびサポート部門です。これまでは、販売した機器に対する問い合わせ対応や修理が中心でしたが、群馬県太田市のNECパーソナルコンピュータ群馬事業場を活用して、コンフィグレーションを行ったり、お客さまの利用環境をもとに検証したりといったことも行っています。

 コマーシャルPCでは、さまざまな製品を組み合わせ、お客さまの環境を理解した上でサポートが行えるように強化し、サービスレベルを高めることに投資をしています。サービスおよびサポート部門においても、お客さまとのタッチポイントに関わる人員を増やしています。

レノボ・ジャパン NECパーソナルコンピュータ 檜山太郎 修理サービス拠点である「NECパーソナルコンピュータ群馬事業場」。NECブランド製品で培った修理ノウハウを生かすべく、2016年から全てのレノボ製PCやタブレットの修理を開始している

 また、パートナー戦略にも力を注いでいます。パートナー向けプログラムである「Lenovo 360」を通じて、「ポケットからクラウドまで」の幅広い製品を、パートナーが一元的に取り扱えようにしたり、レノボグループだけではカバーできない付加価値が求められる市場に向けては、パートナーとの連携によって、新たな提案を行ったりしています。パートナー向け会員制ポータルサイトである「Partner Hub」への訪問者数は、前年比で2.5倍になっており、活発な情報提供がパートナーからも評価されています。

 さらに、これまでは首都圏中心であった活動を、地方に広げていくことにも力を注ぎます。そのために、地方都市に対するキャラバンを開始しています。社内では「ホワイトリセラーキャラバン」と呼んでいますが、レノボ製品を扱っていないパートナーに、レノボを知ってもらうための市場開拓およびパートナー開拓を進めていきます。

レノボ・ジャパン NECパーソナルコンピュータ 檜山太郎 パートナー向けの会員制ポータルサイトである「Lenovo Partner Hub」の訪問者数は、1年間で約2.5倍に増えた(日本におけるユニークビジター数の比較)

 幅広いレノボグループの製品の中には、まだしっかりとリーチできていない領域のものがありますし、コロナ禍で状況が変わり、市場ニーズも変化しています。そこに対して、レノボグループとしての何ができるのかといったことを、地方都市の販売現場や中小企業の利用シーンに向けて提案していくつもりです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月10日 更新
  1. 新型「iPad Pro」がM3チップをスキップした理由 現地でM4チップ搭載モデルと「iPad Air」に触れて驚いたこと (2024年05月09日)
  2. 個人が「Excel」や「Word」でCopilotを活用する方法は? (2024年05月08日)
  3. 「M4チップ」と「第10世代iPad」こそがAppleスペシャルイベントの真のスターかもしれない (2024年05月10日)
  4. M4チップ登場! 初代iPad Proの10倍、前世代比でも最大4倍速くなったApple Silicon (2024年05月08日)
  5. Core Ultra 9を搭載した4型ディスプレイ&Webカメラ付きミニPC「AtomMan X7 Ti」がMinisforumから登場 (2024年05月08日)
  6. NECプラットフォームズ、Wi-Fi 6E対応のホーム無線LANルーター「Aterm WX5400T6」 (2024年05月09日)
  7. SSDの“引っ越し”プラスαの価値がある! 税込み1万円前後のセンチュリー「M.2 NVMe SSDクローンBOX」を使ってみる【前編】 (2024年05月06日)
  8. iPad向け「Final Cut Pro 2」「Logic Pro 2」登場 ライブマルチカム対応「Final Cut Camera」アプリは無料公開 (2024年05月08日)
  9. これは“iPad SE”なのか? 新型iPadを試して分かった「無印は基準機」という位置付けとシリーズの新たな幕開け (2022年10月24日)
  10. “NEXT GIGA”に向けた各社の取り組みやいかに?──日本最大の教育関連展示会「EDIX 東京」に出展していたPCメーカーのブースレポート (2024年05月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー