スマートウォッチの中にワイヤレスイヤフォンが収納されている――そんな前代未聞のガジェットがHuaweiから登場したのは2022年末だ。文字盤のディスプレイが開き、中からイヤフォンが現れるギミックは、まるでアニメの世界から飛び出してきたかのようなビジュアルの製品だ。
日本でも翌2023年の2月にクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」にて先行販売が実施され、同年5月には一般販売が始まった。
HUAWEI WATCH Budsを約2年間使用した結果、なぜ実用的な“変態ガジェット”だと感じたのかをレビューしたい。
HUAWEI WATCH Budsの文字盤にあたるディスプレイ部分は、本体下部のボタンを押すことでロックが解除され、軽く浮き上がる。そのままパカっと開くと、そこには左右どちらの耳にも装着できる小型のイヤフォンが格納されている。
この構造には心をつかまれた。ディスプレイを開閉させる動作が楽しく、しばらくの間は意味もなく何度もフタを開け閉めしていたほどだ。その異端ともいえるビジュアルは、まるでスパイグッズ、いや、人気漫画「名探偵コナン」に登場する時計型麻酔銃のような仕上がりだ。
実用的だと冒頭で述べたのは、日常的にありがちなカバンやポケットの中で「イヤフォンどこいった問題」と無縁になったためだ。仮にイヤフォンをカバンやポケットに入れ忘れても、手首にあるHUAWEI WATCH Budsがそのまま代役を果たしてくれる。イヤフォンがいつでも「身についている」という安心感は、一度体験すると手放せなくなるほどだ。
着信時はウォッチのディスプレイで「誰からの着信か」を確認でき、必要であればイヤフォンでハンズフリー通話もできる。近年、イヤフォン収納ケースにディスプレイを備え、通知などを表示できる製品も登場しているが、HUAWEI WATCH Budsはそのような製品の先駆けといる。
イヤフォンは小型ゆえに、音質や機能面についてあまり期待していなかったが、使用するといい意味で裏切られた。イヤフォン部分には4つのマグネットを採用した平面振動板ドライバーを搭載。高音質なAACコーデックに対応し、ノイズキャンセリングや外音取り込みの機能も備える。
イヤフォンの操作は本体ではなく、センサーを用いてこめかみ付近をタップして行う。コンパクトでも操作性を損なっていない点もいいポイントだ。イヤフォンのサイズは21.8×10.3×10.3mmと、500円玉に収まるくらい小さい。
イヤフォンの音質については、低音の迫力こそ弱めだが、中〜高音域の抜けはよくクリアなサウンドを楽しめ、当時の1万円クラスの機種とそん色ないレベルに迫る。音楽だけでなく、通話や会議用途でも実力を発揮する。
ノイズキャンセリングの効果や外音取り込み機能も優秀だ。上位モデルには引けを取るものの、不満なく利用できた。マイク感度も高く、音声通話をした際にこちらが発した声が聞き取りにくいといったこともなかった。
また、収納時の方向や装着時に左右を気にせず装着、収納ができる点は地味ながらありがたい。イヤフォンはウォッチのふた側にマグネットで固定されるため、収納時に装着位置がずれたり、落下したりしなかった。HUAWEI WATCH Budsは、実用面で困らないように“気が利く工夫”が随所にあり、変態ガジェットというカテゴリーながら、唯一無二の存在感を放っている。
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