HUAWEI WATCH Budsを2年間使って確信したことは、この機種が「ネタ」だけで終わらない、高い完成度を持っていることだ。多機能を詰め込んだ製品は数多くあるが、ここまで「ワクワク」と「実用性」を両立させたプロダクトは珍しいと感じた。
余談だが、このスマートウォッチからイヤフォンを取り出す様子を他人に見せると、ほぼ毎回「それは何?」と質問される。ガジェットが会話のきっかけになるため、飲み会の席での話題にも最適だ。
使っていて不満に感じたことは耐久性やサイズに関すること。耐久性については、イヤフォンがIP54等級の防塵(じん)・防滴の性能も有しているものの、スマートウォッチは防水性能を有していない。そのため、雨の日や水回りで使うことはできず、スマートウォッチのアクティビティートラッカーとしての機能を十分に生かせないと感じる。
スマートウォッチにイヤフォンを収納する構造上、本体の大きさや厚みもそれなりにある。そのため、装着する人やシーンを選ぶ他、袖の狭い服を着ると引っ掛かりやすいという難点もある。
とはいえ、「スマートウォッチとイヤフォンの融合」というユニークなアイデアを、実用レベルかつスタイリッシュに仕上げたのはHuaweiだけだろう。市場を見渡しても、同じコンセプトを本気で製品化した例は他にない。HUAWEI WATCH Budsはニッチな存在かもしれないが、だからこそ唯一無二だと感じた。好きな人には深く刺さり、替えの効かないデバイスとなるだろう。
後継機が出るなら、防水機能の強化とウォッチ本体の薄型化を望む。決済機能(中国向けには搭載済みだ)も利用したい。これらがかなえば、最強のスマートウォッチになるだろう。
最後に、現在のHuaweiがグローバル市場で勝負するには、HUAWEI WATCH Budsのような飛び道具的な存在が不可欠だと感じる。米国の制裁によってプロセッサの使用に制限がある中、他社のように性能面で勝負するのが非常に難しくなっているからだ。
こうした状況を受け、性能ではなく、唯一無二のハードウェアで勝負する方針へと変わったように見受けられる。HUAWEI WATCH Budsはもちろん、当時最軽量を達成した折りたたみスマートフォンの「HUAWEI Mate X3」、3つ折りの「HUAWEI Mate XT Ultimate Design」、そして特徴的な画面比率の「HUAWEI Pura X」といった製品からも、その方針は見て取れる。
HUAWEI WATCH Budsはその先駆け的な製品として、多くのガジェット好きを熱狂させた唯一無二のプロダクトだったと評価したい。
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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