ティーピーリンクジャパン(TP-Link)のブースで強調されていたのは、法人向け製品における“管理無料”≪という特徴だ。
TP-Linkの法人向け監視(ネットワーク)カメラは、遠隔管理が完全無料となっている。担当者は「例えばレストランチェーンで、大阪や札幌の店舗を東京本社から管理できます。それが無料です」と説明する。他社では月額ライセンス料が必要なのに対し、TP-Linkなら機器代金(と通信料金)だけで使えるということになる。
カメラの価格も1万〜4万円と競合他社の約半額で、30〜40種類のラインアップから用途に応じて選べる。駐車場にはバレット型で威圧感を演出し、レストランにはドーム型で威圧感を避ける――そんな使い分けも可能だ。
他の法人向けネットワーク機器も同様に、無料で管理可能だ。ルーター、スイッチ、アクセスポイントの統合管理が無料で行える。不具合箇所の特定はもちろん、再起動、トラフィックの監視、SSIDの作成まで追加料金なしでできるのは大きなメリットだ。管理にかかるデータは、AWS(Amazon Web Services)の日本国内リージョンで行っているという。
価格競争力と無料管理システムという組み合わせは、特に中小企業にとって魅力的に映るだろう。
ネットギアジャパン(NETGEAR)では、法人向けネットワークスイッチ/ルーターの製品展開を「IT向け」と「AV(オーディオ/映像)機器向け」で明確に分けていることが特徴だ。ブースの展示も、IT向けとオーディオ向けに分けていた。
IT向け製品は10Gbpsイーサネット(10GbE)対応製品が中心で、10GbEルーターの他、40ポート対応10GbEハブやWi-Fi 7対応アクセスポイントなどを展示していた。Wi-Fi 7対応かつ10GbE対応のアクセスポイント「WBE750」は、想定価格が20万90円だという。
IT向け製品コーナーでは、クラウド管理システム「Insight」も紹介していた。機器の状態確認や設定変更、ポート監視、トラフィック確認などをリモートで行える。利用料金は1年目が無料、2年目以降が1台あたり年間2500円となっている。
「10GbEの導入を検討する企業は、映像系が多いですね」と担当者は語る。確かに、4K/8K映像を扱うようになると、多くの企業で導入されている1000BASE-T(1Gbpsイーサネット)では速度が不足する。編集データをイーサネット上で行う場合、コマ落ちを防ぐためにも高速化は欠かせない。
そういう意味でも、AV向け製品の展示は興味深いものが多かった。プロAV向けイーサネットスイッチ「SM4310」は、仮想LAN(VLAN)で設定した色分けが、ポートのLEDにも反映される機能を持つ。ソフトウェアで赤に設定すれば、物理ポートのLEDも赤く光る。ケーブルを「赤に挿して」「青に挿して」という指示が可能になるわけだ。
さらに、このスイッチは非圧縮映像/音声伝送規格「SMPTE ST 2110」の伝送にも対応しており、放送局にも導入できる本格的な仕様だ。
プロAV専用のWi-Fi 7アクセスポイントも用意されており、コントロールパネルの無線化需要に応えている。
グーグル(Google)のブースでは、ChromeOSとChrome Enterpriseの展示が行われていた。中でもChromeOSのセキュリティ機能の説明は印象的だった。
「ChromeOSにおけるランサムウェア被害はゼロです」と担当者は断言する。その理由はシンプルで、ChromeOSはWindowsの「exeファイル」を一切実行できないからだ。マルウェアもランサムウェアの多くはWindowsで稼働するPCを標的、基本的にexeファイルとして侵入する。それを根本から防げるのだ。
Googleの公式発表でも、これまでChromeOSでのランサムウェア被害は報告されていない。ただし、ChromeOSにも脆弱(ぜいじゃく)性の報告はあり、ソフトウェア更新によるパッチも行われている。それでも、他のOSと比べて報告数が少ないのは、ChromeOSのアーキテクチャの効果と言えるだろう。
ChromeOSはコスト面でも魅力がある。CPUは「Core i3」「Ryzen 3」以上、メモリ容量は8GBというスペックでも、Windowsと比べると快適に動作する。管理も楽で、トラブルが起きたら初期化してもらえばいい。Wi-Fiに接続して企業アカウントでログインすれば、IT管理者が設定したポリシーが自動適用される。「初期化して」で済むサポートは、IT管理者の手間を大幅に軽減する。
文教市場向けというイメージが強いChromeOSだが、企業導入も着実に進んでいる。ロッテは約2600台を一気に導入し、日本郵便はリモートワーク端末として活用しているとのことだ。
Chrome Enterpriseでは、Chromeブラウザの管理機能を提供している。無料プランである「Chrome Enterprise Core」でも300以上のポリシー設定やURLフィルタリングに対応する。有料プランの「Chrome Enterprise Premium」になると、DLP(データ損失防止)やカテゴリー別フィルタリングなども利用可能だ。
さらに「Google Agentspace」という新しいソリューションも展示されていた。社内データの横断検索プラットフォームで、Slack/Microsoft Office/Microsoft SharePoint/Salesforceなどと連携可能。出典を必ず明示する仕組みになっており、IDベースのセキュリティで閲覧権限も考慮される。
ネットギアのクラウド管理システム「NETGEAR Insight」が法人向けマネージスイッチ2シリーズに対応
リプレースを迎える小中学校の「学習用端末」 PCメーカー各社が「Next GIGA」向けPCを展示
「Interop Tokyo 2024」で各社の最新テクノロジーとソリューションを見てきた!
ミニPCを中心に見どころたくさん! 「Japan IT Week 春 2025」ブースレポート
AI PC時代の製品選び 展示会「第33回 Japan IT Week 春」で目にしたもの AI活用やDX化を推進したい企業は要注目!Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.