ここまでは比較的“一般的”なテストを実施してきたが、実際にゲーミングノートPCを選ぶ人は、ゲームコンソールの代わりを考えていることが多いはずだ。
ゲームコンソール向けの注目度の高いタイトルはPC向けにも用意されていることが多く、そうしたゲームタイトルがちゃんと動くゲーミングノートPCを選びたい。
そこで今回は重量級と名高い「Cyberpunk 2077」「モンスターハンターワイルズ」のベンチマークを実行し、TUF Gaming A16のパフォーマンスをチェックした。
Cyberpunk 2077のテストはゲーム内に設けられたベンチマーク機能を用いて行った。設定はプリセットの中で最も重たい「レイトレーシング:オーバードライブ」を選択し、DLSS 4によるフレーム生成を有効にしている。
ゲーム解像度は本機のディスプレイ解像度に最も近い「1920×1080」(フルHD)、ウィンドウ設定はフルスクリーンに設定している。
テスト結果だが、平均フレームレートは「136.98fps」と、ゲームコンソールが対応する上限フレームレートである120Hz(120fps)を超える結果を記録した。
続いてモンスターハンターワイルズのテストを行った。こちらは公式で用意されているベンチマークソフトを利用しテストを行っている。
比較的新しいタイトルであり、筆者の元にも「モンスターハンターワイルズを、なるべく高画質で遊べるPCはどれか」と質問される機会が多い。
そこでベンチマークソフトの画質設定は最も高画質の「ウルトラ」、そして一般的な「中」の2パターンで計測を行っている。また、こちらもDLSS 4でのフレーム生成を有効にしてテストを行った。
テスト結果だが、最高画質となるウルトラでは「設定変更を推奨します」とも表示されてしまった。ベンチマークの設定画面でも「ビデオメモリが不足する可能性がある」と表示され、テスト実行前から良好なテスト結果は得られなさそうな気配はあったのだが、結果は平均フレームレートでも60fpsを切り、シーンによっては30fpsを切るようなかなり動作が厳しい場面もあった。
そして設定を2段階下げた「中」だが、こちらは「非常に快適にプレイできます」と表示され、平均フレームレートでもゲームコンソール以上を記録した。
「中」まで下げると少しだけ、グラフィックの精細感は失われてしまうのだが、これがデスクトップPC向けの大型のディスプレイで遊ぶのではなく、16インチのノートPCのディスプレイで遊ぶのであればそこまで気にはならないと感じた。
筆者自身のこれまでの経験になるが、ビデオメモリが8GBだとモンスターハンターワイルズの高画質設定は動作が厳しくなることが多い。
もしどうしてもモンスターハンターワイルズを最高設定で遊びたい場合は、現行世代であれば「GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPU」搭載のモデルを選ぶといいだろう。
だが、上に書いたように、ノートPCのディスプレイサイズで見る限りであれば「中」設定であってもそこまで気にはならないため、購入店舗でベンチマークテストを動かしてもらうなどして確認してから選ぶと間違いない。
ゲーミングノートPCの醍醐味(だいごみ)は基本性能の高さだけでなく、その性能をチューニングする機能や、RGBライティングのカスタマイズにもある。
TUFシリーズであっても、ROGシリーズ同様に「Armoury Crate」がプリインストールされており、ここからさまざまな設定を確認、変更しながら自分だけのゲーミングノートPCにカスタマイズしていくことが可能だ。
ホーム画面ではPC全体の仕様を一覧で確認するだけでなく、ワンクリックで動作モードの変更を行うことができる。
例えばサイレントにすればCPUやGPUのブースト機能を抑制し、空冷ファンの回転数を落とし動かすことができるので、静かなカフェなどでゲーム以外の作業を行うといった使い方にも、TUF Gaming A16を活用できる。
また、GPUパフォーマンスの再起動は必要になるが、こちらもワンクリックで複数のモードを切り替えることができる。
もう少しゲームの画質設定を高くして快適に遊びたい、もう少しフレームレートが出てほしいなど、その「少し」を追い求める場合には、こちらで設定を変更してみるといいだろう。
キーバックライトのRGBライティングの変更もArmoury Crateから変更が可能だ。ASUS製のゲーミングデバイスを始め「Aura Sync」対応をうたうデバイスを接続した場合は、こちらから一括してイルミネーションのカスタマイズを行うことも可能だ。
ノートPC向けの新たなGPUであるGeForce RTX 5060 Laptop GPUだが、いくつかのテストを通して筆者は「ノートPC向けのGPUとして、ちょうどいい性能」だと感じた。
同じ「5060」でも、デスクトップ向けでは、最近のトレンドとしてWQHDや4Kといった高解像度のディスプレイに組み合わせられることも多く、そうした高解像度でゲームを遊ぶにはいささかパワー不足も否めない。
しかし、ノートPCの画面サイズで「普段のPC作業も、そしてゲームも遊ぶ」となったとき、万人が見やすく使いやすい解像度はフルHDであり、その解像度いっぱいで満足にゲームを動かせる、GeFoce RTX 5060 Laptop GPUの性能はちょうどいいといえるだろう。
また、TUF Gaming A16の仕様もちょうどいい。TUFシリーズらしく高負荷状態でも極端にパフォーマンスが落ちるようなこともなく熱への対策もバッチリだ。
MILスペック準拠の頑丈なボディーも相まって、性能以外の部分でも安心して長く使えるだろう。
価格もASUSの直販ECショップ「ASUS Store」で25万9800円と、30〜40万円台のゲーミングノートPCも増えてきた中ではお手頃で、この価格で重量級のゲームも十分に遊べる性能があるとなれば、ゲームコンソールからの乗り換え先や、今まで使っていたゲーミングPCからの買い替え先としても、予算を工面しやすい。
質実剛健を売りにしたボディーと仕様の部分の華は少ないが、万人に向けた“ちょうどいい”ゲーミングノートPCとして、実によくまとまった1台だ。
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