ここからはMind 2sの性能を各種ベンチマークテストを通じてチェックしていく。ベンチマークテスト時の設定はWindowsの電源プランで「バランス」を選択して実施している。
Mind 2sのスコアは3Dテストに限り、内蔵グラフィックスに加えデスクトップPC向けの「GeForce RTX 4060 Ti」を搭載するMind Graphicsに接続して実施したものも掲載する。
比較用として、可搬性の高いゲーミングノートPC「ASUS TUF Gaming A14(2024)」「ASUS TUF Gaming A14(2025)」のスコアを参考スコアとして掲載する。順に「NVIDIA GeForce RTX 4060 Laptop GPU」「NVIDIA GeForce RTX 5060 Laptop GPU」を採用したモデルだ。
3Dレンダリングを通してCPUの性能を確認する「CINEBENCH R23」の結果は以下の通りだ。
シングルコアでは比較用のゲーミングノートPCに近いスコアを記録したが、マルチコアでは大きく差がついてしまった。
理由はいろいろ考えられるが、独自端子を経由していること、Mind 2sの超小型のボディーでは熱を逃がしきれず、CPUの性能をフルに発揮できる時間が短かったなどが考えられる。
また、Mind 2sに搭載されているCore Ultra 255Hは、合計16コアといえど性能よりも電気効率の高いEコアやLP Eコアを多く採用しているので、全てが高性能コアを搭載するAMD Ryzen AIシリーズに比べると、どうしてもマルチコアでのスコアが出づらいことも要因だろう。
続いて、PCの総合ベンチマークテスト「PCMark 10」の総合スコアを見てみよう。
こちらのテスト結果では、CINEBENCH R23に比べて比較対象のゲーミングノートPCとの差が小さい。
PCMark 10のテスト内容はブラウジングやWord文書のようなドキュメントの作成、ビデオ会議や簡単な画像編集など「一般的なPC操作」のパフォーマンスを計測しているが、こうした用途であれば超小型のMind 2sと、ゲーミングノートPCでは動作の快適さにそこまで差がないということだろう。
また比較用スコアに掲載はしていないが、一般的なビジネスノートPCやモバイルノートPCで、同じテストを行うと5000〜6000ポイントくらいのスコアを記録するため、Mind 2sはこんなに小さなボディーながら、普段使いの範囲では大きく性能や使用感で劣るということはないということだ。
では、3D性能はどのくらいあるのだろうか。PCの使い道として、日中は仕事、夜はゲームなど趣味のために使うなど、昼夜で用途が大きく変わるケースは珍しくない。
ゲーミングノートPCなどはまさに昼間は高い性能を持て余すほど、仕事での利用は快適に行え、さらに夜の自由時間には性能を存分に発揮してゲームに活躍する、1台2役の存在だ。ここからのテストでは、Mind 2sとMind Graphicsを組み合わせた場合も実施している。
3D性能の一番手は定番の「3DMark」だ。実施したのはDirectX 12をテストする「Time Spy」シリーズ、DirectX 11をテストする「Fire Strike」と、レイトレーシング性能をテストする「Port Royal」を実行し、パフォーマンスのチェックを行った。総合スコアは以下の通りだ。
さすがにMind 2sのCPU内蔵グラフィックスでのゲームプレイは厳しそうな結果となった。DirectX 11をテストするFire Strikeシリーズのうち、フルHDでのテストとなるFire Strikeはテスト中でもなんとか遊べそうなくらいの動きをしていたが、それ以上の解像度や処理が重たいTime Spyシリーズのテストでは、スコアの通りまず動かないと思った方がいいだろう。
ただ、ここにデスクトップ向けGPUのGeForce RTX 4060 Tiを搭載するMind Graphicsを接続すると、当然ではあるが、かなりスコアが伸びる。
ゲーミングノートPCも十分に性能が高く、重量級のゲームタイトルもかなりの高画質で遊ぶことができるが、それと変わらないスコアを記録しているため、超小型PC+デスクトップ向けGPUの組み合わせであれば、ゲームは十分に遊べると考えていいだろう。
では、実際のゲームをベースとするベンチマークテストはどうだろうか。「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー(FF14)」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION(FF15)」のベンチマークアプリを試してみよう。
ベンチマークテストは解像度をフルHD(1920×1080ピクセル)に、画質設定はどちらも最も高い設定にしてテストを行った。結果は以下の通りだ。
こちらのテスト結果も、傾向としては先に行った3DMarkに近い。やはりCPU内蔵グラフィックスではゲームのプレイは難しく、結果は「設定変更を推奨」「重い」と散々な結果になってしまったが、Mind Graphics接続時は「とても快適」「快適」と、不満なく遊べるであろう結果になった。
実際、Mind 2sを使うとすればだが、例えば普段のデスクにはMind Dockを設置し、そこにPCモニターや周辺機器を接続し「PC」として使うと便利だろう。グラフィックス性能を求められない日常的な使い方であれば、ベンチマークテストの結果の通り、十分に高速、快適に使えるはずだ。
そしてMind GraphicsはTVなど、PCディスプレイとは別の大画面に接続しておくと良さそうだ。仕事が終わった後に一度Mind 2sをスリープにして、Mind Dockから取り外し、Mind Graphicsにセット。Mind Graphicsにはゲームパッドなどゲーミングデバイスを接続しておけば、すぐに仕事からオフに切り替えてゲームプレイモードにスイッチ可能だ。
部屋が無限に広ければ、仕事用のPCデスクとゲーム用のPCデスクを別々にできるが、なかなかそうした広さを確保するのは難しい。
日中、仕事用のデスクの上にゲーミングデバイスがあっても邪魔になり、ゲームをプレイするときに日中使った仕事道具が並んでいても邪魔だ。
これを片付けモードを切り替えるような手間を、Mind 2sであれば「場所ごと変えてしまう」という、半ば強引な方法ではあるが実現できるのはなかなか面白い。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.