8月7日午前10時(米国太平洋夏時間)、OpenAIが満を持して発表した「GPT-5」はAGI、いわゆる「汎用(はんよう)人工知能」への重要なマイルストーンとして華々しく登場した。
最新世代へと進化した新しいモデルを紹介する記者説明会で、OpenAIのサム・アルトマンCEOは自信に満ちた表情で次世代AIの可能性を語り、数学/科学/コーディングの主要学術ベンチマークにおいて、最先端の成績を記録したことを誇らしげに報告した。
特に実世界のコーディング課題としてよく使われる「SWE-bench」での正確性において、74.9%というスコアは
「GPT-4o」の30.8%はもちろん、コーディング性能向上のためにアップデートされた、Anthropicの「Claude 4.1 Opus」の74.5%をわずかながら上回る。
「Aider Polygot」ベンチマークでは、推論モードで88%という正確性を達成し、AIME 2025では史上初の100%完全スコアを記録するなど、AIモデルのベンチマーク上の数値は、明らかに新時代の到来を告げている。
GPT-5に関する発表は、確かに素晴らしい内容だった。
「GPT-4」のリリースから2年4カ月という月日を経て生まれ変わったこのモデルは、「博士号クラスの専門知識と推論力」(アルトマンCEO)を備える他、40万トークンのコンテキストウィンドウと12.8万トークンの出力ウィンドウという圧倒的な容量を誇る。
マルチモーダル機能は、「テキスト」「コード」「画像」「音声」「動画」を単一のモデル内で処理可能で、リクエストに応じて自動的に推論の深さを調整できるという、まさに、次世代AIの理想形を体現している。
さらに画期的だったのは、毎週7億人以上が利用する「ChatGPT」の標準モデルとして、無料ユーザーを含む全員が利用可能ということだ。従来の生成AIサービスでは「最新モデルの利用は有料会員限定」ということが多かったが、これまで有料の壁に阻まれていた最先端AI体験が、いきなり“万人の手に届く”時代が到来したのである。
デモンストレーションでは、非エンジニアでも自然言語プロンプトから即座に高品質なソフトウェアを生成する「ソフトウェアオンデマンド」の世界が披露された。英語の話者を対象とするフランス語学習Webアプリが数分で自動生成され、約700行のコードとゲーム要素を含むインタラクティブな機能まで瞬時に実装される様子は、まさに魔法のようだった。
GPT-5の紹介サイトではいくつかのコーディングサンプルが並んでいるが、いずれも結構出来がよい。
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