そんなJESUの今後の活動方針として、早川さんは選手強化を最優先課題と位置付ける。2026年9月19日〜10月4日に愛知県名古屋市で開催される「第20回アジア競技大会」では、eスポーツが正式種目となることが決定しており、「日本人金メダリストの輩出を目指す」と意気込んだ。
また選手層の拡大、すなわちeスポーツの「裾野」を広げることの重要性も訴え、「中高生の部活動にeスポーツを取り入れたい」と語った。日本の部活動システムが選手育成において「非常に優秀」であるとし、そこにeスポーツを組み込むことで、野球やサッカーのように草の根レベルからの普及を目指す考えを示唆した。
「部活動のようなシステムは海外にはないため、日本の強みになり得る」というのが早川さんの考えだ。
選手強化については特定のゲームタイトルに偏らず、「全てのタイトルでレベルの高い選手が生まれるように強化できれば」と目標を掲げた。
JESUは全国各地で開催されるさまざまな大会の成績を注視し、有望な選手がいればJESU公式大会以外であっても選抜し、「ハイパフォーマンススポーツセンター」(ナショナルトレーニングセンター)のような施設を活用して強化を進める方針だ。
JESU自体が定期的な育成機関を持つわけではないが、他のトラディショナルスポーツと同様に、行政が運営する選手強化施設を活用することで、競技力の向上を図るという。
国内大会については、全国規模の大会をJESU主導で継続し、将来的には「規模拡大して別の形」での実施も検討中だという。具体的な実施時期は「2026年か2027年ぐらい」を目指すとのことだ。
国際的なルールや競技タイトルの選定においてJESUは直接決定権を持たないものの、海外のeスポーツ団体やアジアオリンピック評議会(OCA)と連携し、タイトル選定に影響を与えるべく働きかけを行っているという。
日本政府、特にスポーツ庁もeスポーツに「非常に期待」しており、協力的な姿勢であるとしている。政府関係者が海外のeスポーツ大会を視察するなど、その人気の実態を把握しようと動いており、内閣府の“骨太の方針”にもeスポーツに関する言及が盛り込まれていることからも、政府の姿勢は明らかと言えるだろう。
今回の大阪・関西万博でのイベント開催も、「世界中から人が集まり、eスポーツを知らない一般層にも情報発信できる」という政府との共通認識が背景にあると説明した。
早川さんは、「早ければ2026年(のアジア競技大会)でヒーローやヒロインが出てくる」ことを期待しており、「オール金(メダル)を取るつもりでいる。それも1人と言わずに何人か」と意気込みを語る。
そうなることでeスポーツがより広く一般に認知され、その魅力が伝わることを願っているという。また、ゲームの種類についても、国際大会では世界的にプレイされているスマートフォンタイトルやコンソールタイトルなど、「いろいろなタイトルを増やして」いきたいとの意向を示している。
日本人にもなじみあるタイトルが中心となった今回の万博のイベントは、そんな裾野を広げるイベントの1つとして大きな盛り上がりを見せ、他のパビリオンに見向きもせずイベント会場直行で来場する観客も少なくなかった。
最後に、マウスコンピューターの軣さんに本イベントの感想を聞いた。
「来場いただいた多くのお客さま、さらに体験コーナーで試遊されているお客さまの熱量を直接感じることができました。このようなイベントに協力できて、素直に“良かった”と思いました。来場いただいているお客さまにおいては、世代を問わず、家族ぐるみ/友人同士がみんなでゲームをしたい、見たい、応援したいなど理由はざまざまでありますが、このイベントで少しでも多くの方がeスポーツに興味を持っていただけたらと思います」
日本ならではの強みを生かした、eスポーツ界のエース登場に期待したい。
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