外観や中身についてはこれくらいにして、続いて各種ベンチマークテストを通してMS-A2のパフォーマンスを詳しく見ていこう。
なお今回テストしたのは、AMD Ryzen 9 9955HXを搭載したモデルだ。主な構成は以下の通りだ。
以上の構成で、直販での価格は17万5990円となっている。OSとメモリ、ストレージが付属しないベアボーンキットは13万4390円だ。いずれもクーポンなどで割引される場合もあるので、直販サイトをチェックしてみるといいだろう。
まずはCrystalDiskMark 9を使ったテストを通してMS-A2に採用されている「Crucial P3 Plus 1TB」の性能をチェックしてみた。ファイルの読み書きによる結果は以下の通りだ。
【テストデータサイズ:1GiB】
PCI Express 4.0対応のTLC NVMe SSDということもあって、シーケンシャル読み出しは毎秒約5199MB、シーケンシャル書き込みは毎秒約4758MBと、非常に良好な結果が得られており、なんとカタログスペック以上のパフォーマンスを発揮している。
ランダム読み出し、書き込みアクセスも非常に高速ながら、発熱の激しいPCI Express 5.0対応のNVMe SSDと比べ、アイドル時は34度、負荷テスト時は47度と発熱量も小さい。もちろんMS-A2の冷却機能も相まっての結果だが、PC周辺が熱くならない点は好ましい。
続いて、テストサイズを1GiBから64GiBに変更した際に、どれほどパフォーマンスに影響が出るかチェックしてみた。結果は以下の通りだ。
【テストデータサイズ:64GiB】
テストデータサイズが大きくなると、HMBキャッシュとのやりとりが増えるため、ランダムアクセス時のパフォーマンスがある程度低下する。1GiBテスト時と比べると、特にランダム書き込みのパフォーマンス低下が顕著に現れているが、それでも引き続き高いパフォーマンスを示している。利用においては大きな性能低下は感じられないだろう。
続いて、MS-A2に搭載されているAMD Ryzen 9 9955HXのパフォーマンスを測るため、3Dレンダリングを行ってCPUの性能をテストする「CINEBENCH R23」を実行して、それぞれのモデルの実力を測ってみた。結果は以下の通りだ。
なお、参考までにMinisforum MS-01(以下、MS-01)のIntel Core i9-13900Hモデルで計測したスコアと比較しているので参考になれば幸いだ。
こうして結果を比較してみると、Intel Core i9-13900Hは14コア20スレッド、それに対してAMD Ryzen 9 9955HXは16コア32スレッドという差を考慮したとしても、MS-01比でマルチコアスコアは約205%、シングルコアスコアは約115%と大きな差が開く結果となった。
ベアボーンキットの価格で比較すると、MS-A2は実売13万4390円、MS-01は実売9万6980円と約3.7万円の差があるが、予算に余裕があり、Intel AMTを使ったリモート操作が不要であれば、MS-A2を選ぶと良さそうだ。
MS-A2の実機を基に、ハードウェア仕様やパフォーマンスについて詳しく見てきたが、高負荷ワークロードにも、サーバ用途にも十分耐えうる性能、ハードウェア要件を満たす非常に強力なミニワークステーションだ。
MS-A1にはCPU選択の自由度と、搭載できるNVMe SSDの数が多いメリットがあるものの、正直なところワークステーションや、サーバ用途に使うには少し中途半端なスペックという大きな弱点があったが、MS-A2でその弱点を克服している。
評価機を試用している筆者自身も、かなりMS-A2に引かれており、リプレースを予定している仮想基盤クラスタのメインサーバとしてぜひ購入したいと感じている。
筆者のような“逸般の誤家庭”のユーザーにとっても深く刺さる製品だと思うので、サーバのリプレースを検討している方は、ぜひMS-A2を購入候補として挙げてはいかがだろうか。
(製品協力:MINISFORUM)
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