西川善司のパソコン遍歴――ゲーム三昧の青春時代は“おじさん”になった今も続く私のPC遍歴30年(4/5 ページ)

» 2025年09月04日 19時45分 公開
[西川善司ITmedia]
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「マルチなオタク」となった青年期

 高校時代から始めたOh!Xでの執筆活動は、大学に入学してからも続いた。

Oh!X 今は亡き、PC機種別専門誌の1つである「Oh!X」。写真は筆者が保存していたものだが、痛みが激しい。この表紙にあるような「コンピュータ音楽特集」では、筆者がメイン著者を務めていた

 一方、大学の長期休暇時にはゲームスタジオに泊まり込んで「別機種用の市販ゲームをシャープ製パソコンに移植する仕事」を行っていた。稼いだお金は、ほぼ全てをPC機材や趣味のコンピュータ音楽のシステム構築に使っていた。

 大学時代、筆者は自宅暮らしだったし、同年代と比べればそこそこ稼いではいたので、欲しかった主流PCは一通り買い集めて、それぞれのハードウェアの研究や実験を行っていた。具体的には、シャープの「X68000」、NEC(日本電気)の「PC-9821Ap2」「PC-8801FH」、セイコーエプソンの「PC-286VE」などが自室に並んでいた。

 一方で、富士通の「FMシリーズ」とAppleの「Macintoshシリーズ」は、特に深い理由はなかったが、結局手を出さなかった。

X68030 X68000シリーズの最終かつ最上位モデル「X68030-HD(CZ-510C)」。筆者はX68000シリーズの初代「X68000」から始まり、「X68000XVI」「X68030」と、“全て”を買いそろえた

 そして先述の通り、当時の筆者はコンピュータを使った音楽制作にも没頭していくようになる。部屋にはMIDI楽器類としてコルグの「KORG M1」「KORG WAVE STATION」、そしてボコーダー「KORG VC-10」、ローランドの「Roland S-330」「Roland U-220」「Roland R-8M」「Roland CM-64」「Roland SC-55」、ヤマハの「SY77」を取りそろえ、各社の24chミキサー(当時はアナログ)や各種エフェクターも所狭しと並んでいた。さながら、自室はほぼ音楽制作スタジオみたいな状態だった。

 執筆をしていたOh!Xでは、趣味だったコンピュータ音楽関連の記事を多く任されるようになり、その流れでオリジナルのコンピュータ音楽制作システムの開発に着手することになる。

 「Z-MUSIC」と名付けられたこのシステムは、楽曲をプログラミングできるシーケンサーの役割の他に、ゲームプログラムと連携したBGM再生や効果音再生にも対応する機能を実装し、Ver.3.0まで開発を続けた。

Z-MUSIC Ver.3.0 Z-MUSIC Ver.3.0では、MIDI最大64ch、FM音源最大8ch、ADPCM最大16chの音楽制作に対応した。最大同時再生トラック数6万5535本、最大同時演奏チャンネル数88本は、当時世界トップクラスだったと自負している

 プログラムの開発に際して、ある時期からシャープと協力関係を結んだこともあり、発売前のプロトタイプ「X68000XVI Compact」や「X68030」などが筆者宅にあったりもした。

 Z-MUSICは初期バージョン(Ver.1.0)からロイヤリティーフリーとして公開していたこともあり、「Asuka 120% Burning Fest.」「Mad Stalker: Full Metal Force」「ヴェルスナーグ戦乱」「餓狼伝説」シリーズを始め、そこそこの数のゲームソフトに採用された。

Z-MUSICを使って、FM音源とMIDI音源を同時に演奏させたデモ曲の一例

 なお、さらに詳細なZ-MUSIC 開発秘話については、2026年3月発売予定の「令和版 Oh!X」(8800円)に掲載予定だ。

 筆者の高校から大学時代は異性との甘酸っぱい思い出は皆無で、その青春はPCのプログラミングとコンピュータ音楽に費やされたのであった。

060turbo搭載! 写真は満開製作所が発売したX68060搭載アクセラレーター「060turbo」を搭載したX68030(通称「X68060 Turbo」)だ。巨大なZ-MUSIC Ver.3.0のソースコードを、超高速にアセンブルすることができた

 その後、1990年代半ばには「Windows 95」という“黒船”が到来し、独自アーキテクチャのPCはみるみるうちに淘汰(とうた)されていった。

 筆者の自室も、段々とWindows PCに侵食されるようになっていく。当時は「DOS/Vパソコン」と呼ばれることも多かったWindows PCだが、筆者が最初に購入したのは、今はメモリ屋として知られるMicronが作った、初代Pentium搭載のデスクトップPCだったと記憶している。これを最後に、自分で使うデスクトップPCは全て“自作”となった

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