1月に発売されたウェアラブル型有機ELディスプレイ「Legion Glasses Gen 2」では、ファームウェアの更新に3D立体視に対応することが発表された。この更新は無料で、11月をめどに提供開始するという。また、基調講演は触れられなかったが、Lenovoでは2025年内にポータブルゲーミングPC「Legion Go 2」への対応も行われるとのことだ。
3D立体視に対応するゲームは、現時点で20タイトルほどを予定している。展示会場で動作していた「Shadow of the Tomb Raider」の他、「God of War: Ragnarok」「Death Stranding: Director's Cut」「Cyberpunk 2077」「Black Myth: Wukong」「Fallout 4」などが対応リストに上がっている。
これらのタイトルで3D立体視を楽しむ際に、いわゆる「MOD」を含むゲーム側のプログラム修正は不要だ。Lenovoのユーティリティーアプリ「Legion Space」のランチャーから対応タイトルを起動すると、立体視で楽しめるそうだ。
3D立体視の実現方法だが、Legion Spaceが「ゲームが描画する映像フレーム」と「フレームに対応する深度マップ」を抽出し、これらを元に左右の目それぞれに向けた映像を再構築する「リアルタイムコンバージョン」を採用している。これは、3D TV全盛時代に規格化された「2D+Depth(2D+Z)方式」あるいは「Depth-Image-Based Rendering(DIBR)法」と同じテクニックとなる。
筆者は会場でShadow of the Tomb Raiderをプレイしてみたが、さすがマイクロ有機ELパネルを採用しているだけあって、コントラスト感は素晴らしく、残像感がほぼ皆無でプレイしやすかった。
片目の解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)/視野角は45度程度なので、VRゴーグルのようなイマーシブ(没入)体験ではない。しかし、目の前に30型クラスのゲーミングディスプレイがあるような感覚でプレイできるので、「VR酔い」が心配な人も安心かもしれない。
プレイ時のレスポンスは常時良好で、大きな遅延は感じられなかった。Tomb Raiderのような、普通の3Dアクションゲームであれば不満なくプレイできると確信している。
Glasses Gen 2を装着して3D立体視の体験をしている筆者。立体視はDIBR法で実現しているため、立体感がちょっと怪しいところもある。しかし、今回プレイした限りは実用レベルには達していると感じた展示会場には、コンセプトを含めて面白い展示が他にもあったのでサクッと紹介していきたい。
一般的なノートPCの画面中央上部には、Webカメラが埋め込まれている。Lenovoは「この場所に好みの周辺機器を搭載できると便利なのでは?」と考え、11本の電極(ポゴピン)と強力な磁石による脱着機構が特徴の独自インターフェース「Magic Bay」を2023年からThinkBookの一部モデルで展開している。独自とは言うものの、通信プロトコルはUSB 3.2 Gen 1(USB 5Gbps)そのものである。
これまで、Magic Bay対応デバイスとして「Webカメラ」「照明」「LTEモデム」などが発売されているが、今回はショーケースでは、新しいデバイスとして小型ディスプレイ「Magic Bay HUD」が参考展示されていた。
会場では、このMagic Bay HUDに時計ウィジェットやアプリ起動ショートカットボタンなどを表示するデモが行われていた。タッチができたら便利そうなのだが、タッチには非対応とのことで残念だ。
こちらは参考展示だが、実際に発売する前提で開発を進めているという。価格は未定だ。
基調講演の最後にアナウンスされた、ユーザーの顔をトラッキングするノートPCスタンド「Smart Motion Concept」の実機も、会場に実動状態で展示されていた。
これまでにも、「ユーザーの顔面をトラッキングする、可動スタンドのようなもの」は存在したが、“本当に”可動するノートPCスタンドを作ってしまうとは驚きである。Lenovoには、かなりの「マッドサイエンティスト」がそろっているのだろうか(笑)。
このスタンドは、てっきりクルクル回転するだけかと思った。しかし驚いたことに、上下動にも対応している(メカ的には上下の傾きも変更可能)。しかも、回転や上下動の際に「ウィーン」というモータの稼働音が盛大に鳴る。なかなかに面白い。
このシステムをビデオ会議で活用した場合、こうしたモーターのノイズは、AIによってカットされるのだろうが、少なくともその場にいる人々の耳には聞こえ続ける。この音をどうにかしない限り、ビデオ会議には活用しづらそうだ。
どうしても気になったので、説明員に「これでいいのか?」と聞いてみたところ「これは放送するスタジオ側に置くことを想定しているので、モーター音は聞こえても問題ない」というスタンスなのだそうだ。
撮影スタジオにある「PTZ(パン/チルト/ズーム)カメラ」と同じようにノートPCを動かせるビックリドッキリメカが「Smart Motion Concept」だ。普通のPTZカメラじゃダメなのか、とかいろいろツッコミたくなる会場には、子会社のMotorola Mobility(モトローラ・モビリティ)製のスマートフォンも展示されていた。
Motorola Mobilityのミドルレンジスマホ「edge 60 neo」。SoCはMediaTek製の「Dimensity 7400」で、6.36型有機ELディスプレイを搭載している。アウトカメラのメインセンサーは、約5000万画素の「Sony LYTIAセンサー」を採用している。バッテリーは5000mAhだ今回のショーケースで、最も注目度の高かった、携帯型ゲーミングPC「Legion Go 2」については、別記事で、深く掘り下げる形で紹介することとしたい。
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