これまでのiPhoneで最薄となる約5.6mmの厚さ。世の中にはもっと薄いスマホもある。それでもiPhone Airの方がすごいと感じてしまうのは、画面の美しさからも伝わってくるその高い性能や、ぜい肉なくしっかりと詰まった印象を与える重量バランスかもしれないiPhone Airのサイズ感は、6.5型のディスプレイに数mmの額縁を加えただけの約74.7(幅)×156.2(奥行き)×5.64(厚さ)mm、重量は約165gだ。実はこれまでで最薄のスマートフォンでもなければ、最軽量のスマートフォンでもない。
軽いスマホなら、2024年登場の「Xperia 10 VI」が約164g(厚さは約8.3mm)だし、薄さなら最近話題となったSamsung Electronics(サムスン電子)の折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold7」が開いた状態で約4.3mm(重量は約215g)だ。
だがiPhone Airは、ただ軽いだけでもなければ、ただ薄いだけでもない。Appleは本体を軽くするならちゃんと驚くような薄さにするし、薄くするからには、しっかりと頑丈さにも気を配る。
実際、Appleは同製品をお尻のポケット入れたまま椅子に座っても壊れない頑丈な作りにすべく、耐荷重試験と設計変更を繰り返してこの製品を作っている。最も折れやすい縦方向中央付近に60kg近い圧力を加えても本体がしなりはするが、その後、きちんと元に戻り、大理石の上を画面を向けて滑らせると、真っ平らなままであることが確認できる。
最新iPhoneの厚さ比較。左端からiPhone Air、iPhone 17、iPhone 17 Pro、iPhone 17 Pro Max。ProとPro Maxが質実剛健な道具路線に変更して分厚くなったこともあるが、それにしてもやはり薄いと感じさせるもちろん、製品を見ただけでは伝わらない部分もある。表面は「Ceramic Shield 2」、裏面は「Ceramic Shield 」というガラスの質感や側面のグレード5チタンに触れたり、それらが隙間なく精密に組み合わされた造形を目にしたり、手に持った際もバランスの取れた重量配分やモノとしての密度を感じると、この製品がヤワな存在ではなく、表層では分からない裏側で膨大な試行錯誤を重ねて洗練されてきたモノだということが伝わってくる。
側面から見た状態が美しいのはもちろんだが、本体を手に構え少し斜めから見た時が最も薄さを感じる。プラトーと呼ばれる起伏部分が、どこから起伏し始めているのか分からない緩やかな曲線を描いて盛り上がっている様子も美しい。
しかし驚いたのは、この小さなプラトー部分に、以下で紹介する高い性能を支えるスペックの全て、スマホとしての頭脳と目の全てが収められていることだ。それ以外の薄い本体部分はほぼバッテリーで、だからこそこれだけ薄型ながらビデオ再生で連続27時間という長時間バッテリー動作を実現している。
薄型化に貢献したものは、もう1つある。従来のSIMカードを廃止し、電話機能の付与はeSIMで行っていることだ。ネットでは、このeSIMへの移行で情報を失うリスクなどを過剰に心配する声もあるが、不安な人はショップの人などに移行を手伝ってもらえばいい。
一度eSIMに移行すると、スマホに電話の契約情報を登録するためだけに、あの小さなカードを出し入れしていたことがばかばかしく思えてくる。プライベート用回線と仕事用回線の2回線を登録して使い分けることも簡単なら、海外出張時に安くデータ通信が可能な現地のeSIMを登録するのも、QRコードをスキャンして情報を入力するだけで簡単に行える。
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