1万円台から4万円台まで Razer/final/ソニーの最新ゲーミングヘッドセットの真価をチェックする武者良太の我武者羅ガジェット道(1/3 ページ)

» 2025年09月18日 12時30分 公開
[武者良太ITmedia]
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 長時間に渡るゲームプレイの快適性や、敵の足音といった効果音を確実に聴き取れる音響性能、ボイスチャットの明瞭さ──通常のヘッドフォンとは異なる思想で開発されている「ゲーミングヘッドセット」は、まだまだニッチな製品かと思っていました。

 しかし、気付けばヘッドフォンというカテゴリーの中でも一大勢力となっています。価格.comで調べたところ、新品購入できる通常のヘッドフォン745製品中、ゲーミングヘッドセットは324製品もありました。

 「多いよ!」とはいっても、誰しもがFPS(ファーストパーソンシューティング)ゲームでバンバン撃ち合っているわけではないようです。

 SNSで観測したところ、音楽ゲームで遊んだり、格闘ゲーム“スト6”を遊びながらDiscordでボイスチャットをするといった理由で、ゲーミングヘッドセットを選んでいる方も多く確認できました。

 そこで今回は、ゲーミングヘッドセットを作り続けてきたRazerの「BlackShark V3 Pro」、オーディオ専門メーカーとしてVRやゲームとマッチするモデルも手掛けてきたfinalの「VR3000 EX for Gaming」、総合メーカーであり、ゲーミングギア専門ブランドも強化しているソニーの「INZONE H9 II」と、各社の最新フラグシップ機について、FPSゲームのプレイ、または音楽視聴や映画鑑賞に使った際の音響クオリティー、マイク音質などをチェックしてみました。

photo 左からRazer「BlackShark V3 Pro」、final「VR3000 EX for Gaming」、ソニー「INZONE H9 II」

バランスが取れているRazer「BlackShark V3 Pro」

 2005年に5.1chサラウンド対応の「Barracuda HP-1」をリリースして以来、ゲーミングオーディオ市場を切り開いてきた開拓者といえる存在なのがRazerです。今回はその中でもハイエンドモデルとなるBlackShark V3 Pro(4万780円)をピックアップしました。

photo Razer BlackShark V3 Pro。公式サイトの価格は4万780円

 わずか10msという低遅延ワイヤレス環境を実現した技術「HyperSpeed Wireless Gen-2」(低遅延ワイヤレス)を採用、さらにハイブリッド型のアクティブノイズキャンセリングにより、さまざまなエンタメコンテンツに没入できる性能を持ちます。

photo ブームマイクは取り外しが可能で、3.5mm TRRSアナログ-USB Type-C変換ケーブルも付属します。USBレシーバー/トランスミッターはドングルタイプではなく、USB Type-Cケーブルを使って通信環境のいい場所に置くことができます

 接続は2.4GHzワイヤレス/Bluetooth/USB/3.5mmアナログと豊富です。2.4GHzワイヤレス使用時に最大70時間というバッテリー性能も頼もしい。

 基本的には自宅用ということでしょう。折りたたみ機構はありません。頻繁にゲーミングヘッドセットを持ち運ぶユーザーは限られているでしょうが、移動時にもゲーミングヘッドセットを使いたいという方は注意してください。

photo 主なコントローラーは左右のハウジングの下部に集中しています。この場所にあるボリュームはゲーム/チャットバランスホイール……ですが、ゲームとチャットの音量バランスの他にも、マイク音量確認、足音ブースターなどの機能を割り当てて使用できます。緑色のラインが入ったボタンはミュートボタンです
photo 左ハウジングの側面にあるボリウムは、全体の音量を調整する際に使います

 PC用のRazer Synapse、またはスマートフォン用のRazer Audioアプリで、イコライザープリセットやゲーム/チャットバランスホイールをカスタマイズ可能な上に、コントローラーの数も多く搭載しています。

 全体の音量を調整するボリュームが独立しているのは、BlackSharkシリーズの伝統といえるものですが、ゲームプレイ時にこれがとても使いやすいのです。ありがたみすら感じてきます。

photo 適度な広さと柔らかさを持つヘッドバンド
photo イヤーカップは通気性と吸湿性があるものを採用

 長時間のゲームプレイでは耳周りでも汗をかくものですが、BlackShark V3 Proは遮音性を持ちながら通気性もある2つの素材に加えて、形状記憶フォームクッションを採用しています。

 実際の装着感は側圧が控えめで優しさを感じるもの、約367gという重さが影響し、ラフに装着したまま使い続けていくと頭頂部に掛かる圧が多いことが分かります。

 左右のアームの長さを側圧を感じるくらいにまで縮め、頭頂部と左右のイヤーカップでうまく重量を分散できるようにセッティングしましょう。

 そして音質チェックです。PC版の「PUBG:BATTLEGROUNDS」をプレイすると、各効果音の方角を正しくつかめます。定位感、いいですね。

 そして、聞こえてくる音の直接音と間接音のバランスがいい。初期の頃のゲーミングヘッドセットにあった、高域と低域に無理やりピークを作って目立たせていた時代とは大違い。50mmという大径のドライバーを活用して、深みのある音も再現できています。もちろんアプリ側の設定により、ピーキーな音にすることも可能です。

 ミュージックモード/ムービーモードにセットして音楽/動画用として使うと、リバーブを生かした空間の質感が伝わってきます。ここでも直接音と間接音の表現の上手さを実感できます。

 ノイズキャンセリング機能もよく働いてくれます。空調ノイズなどは気が付かないレベルにまで消してくれるから、ゲームや動画への没入感がグッとアップしますね。

photo ブームを真っすぐに伸ばすと口の左下、息がかかりづらい位置になる

 ブームマイクの先には、Razer HyperClear フルバンド12mmマイクが収まります。12mm径のマイクカプセルを使っているのでしょう。フルバンド、というだけあってかなり広帯域。イコライザーをフラットな状態にして喋ってみると、声がリッチ。低域成分をしっかりと拾ってくれていることが分かります。

 マイク側にのノイズキャンセリング効果が影響しているのか、高域にはやや丸みを感じるので、滑舌が良いように聴かせたいならイコライザーを調整しましょう。マイクモニタリング機能があるので、PC側でループバックの設定をしなくとも声の音質を確認できるあたり、高く評価したいです。

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