「iPhone 17」「iPhone 17 Pro/Max」を比べて分かった進化の方向性 PixelやGalaxyなどとは違う写真の仕上がり(5/6 ページ)

» 2025年09月22日 15時00分 公開
[林信行ITmedia]

Fusionカメラで実現する光学8倍相当ズームの世界

 さて、カメラの話題に移ろう。iPhone 17 ProとiPhone 17 Pro Maxに魅力を感じているユーザーの多くは、筆者同様にカメラ性能に期待している人が少なくないはずだ。

 ただ、これに関しては文句なく多くのスマートフォンの中でも最高レベルの品質で、あえて語る部分は少ないかもしれない。iPhone Airの記事でも書いたが、Appleのカメラ設計のスタンスは、光学性能重視でとにかく撮像を正確に捉えることを重視し、できるだけ正直に再現することに徹している。

 コンピュテーショナルフォトグラフィーと呼ばれるiPhoneから広まった高精細スマートフォン写真は、デジタルのセンサーでは捉えきれないダイナミックレンジ(明暗差)やディテールを、露出を変えながら取り込んだ複数のイメージや、異なるレンズで撮影したイメージなどを比較しながら合成して作られている。

 iPhoneの絵作りは忠実さを最も重視するのが基本姿勢だ。コントラストの高い写真などでは、合成する複数映像の1つに引っ張られ過ぎてディテールが潰れてしまうことがよく起こる。しかし、iPhoneでは、写真をいくつもの細かいセグメントに分けて、それぞれのセグメントごとに最良の合成を行うので、例えば強い光も捉えながら、細かな繊維のディテールも逃さないような写真を撮る能力に優れている。

Apple Apple iPhone 17 Pro Air スマホ 道具 プロ iOS 26 カラー A19 3つのカメラが全て約4800万画素のFusionカメラとなった

 Googleの「Pixel」シリーズやサムスン電子の「Galaxy」シリーズなど、いくつか他社の注目製品の写真と見比べる機会があったが、iPhoneの写真は同じ被写体を同じ条件で撮った場合でも、写っていないディテールを勝手にAIで生成するようなこともなければ、肌などのディテールを大雑把に塗りつぶすようなこともない。

 できるだけきめ細やかで忠実に再現し、例えば肌を滑らかに見せたいのであれば、それは専用の写真加工ソフトウェアの処理に任せる、という基本スタンスをとっている。

 写真も動画も、必要であればセンサーが捉えたままのRAWデータで記録し、どのような色付け/味付けにするかの判断はクリエイターの側に任せる。これができるからこそProシリーズはプロ用機材として通用する。

 そんなProシリーズのカメラだが、今回も3レンズ構成なのは変わらないが、実はレンズが3つともFusionカメラになり、最大8倍相当のデジタル引き延ばしをしない光学品質の写真が撮影できるようになった。35mm換算で13mmの超広角から、24/28/35/48/100/200mmという7つの画角とマクロ撮影を楽しめる。

Apple Apple iPhone 17 Pro Air スマホ 道具 プロ iOS 26 カラー A19 iPhone 17 Proシリーズでは、多くの画角で撮影が可能だ

 FusionカメラとはApple独自の用語で、画素を複数のパターンで切り出せるセンサーを備えたカメラのことを指す。iPhone 17に搭載されているセンターフレーム対応のフロントカメラが正方形のセンサーから縦長/横長の映像を必要に応じて取り出しているのと同じ仕組みだ。

 iPhone 17 Proでは、13mm/24mm/100mmという3つのレンズを備え、それぞれで撮影したデータから異なる切り出し方をすることで、デジタル的な引き伸ばしに頼らずに、複数の焦点距離に相当する映像を得られる。

 もちろん実際の撮影時には、ダイヤル操作でこれらの中間の倍率を選ぶこともできる。しかしその場合は、一段階小さい焦点距離のレンズで撮影したデータを元にデジタル処理で拡大するため、拡大率が大きくなるほど画質は劣化してしまう。

 iPhone 16 Proは望遠性能がiPhone 17 Proよりも優れた120mm(5倍相当)の望遠レンズを搭載していた。しかしその結果、1.5倍(48mm)と5倍(120mm)の間の間隔が大きくなり過ぎた。例を挙げると4.9倍ズーム時も48mmレンズのデータを無理に拡大して使うしかなく、その結果、望遠域で撮影した写真や動画が歪みがちで画質が悪くなることが多かった。

 これに対してiPhone 17 Proでは、あえて超望遠レンズの仕様を100mm(4倍)に抑える選択を行った。これにより24mmから100mmまでの間をよりバランスよくカバーできるようになり、従来のように「1本のレンズの守備範囲が広すぎて画質が落ちる」という状況を避けられるようになった。

 さらにこの望遠レンズをFusionカメラにし、センサー中央部分の領域を切り出すことで光学8倍相当の写真/動画も撮れるようにして、結果的にiPhone 16 Proよりも望遠性能を上げている。

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