次に恩恵を実感できるのは、フロントカメラの進化だろう。新しいフロントカメラには「センターフレームフロントカメラ」という名称が付いており、カメラを自分の方に向けると自分が中心に映るようにいい感じでズームをしてくれるのだ。
世界中にフロントカメラを使った自撮り文化を広めるのに貢献したiPhoneとInstagramだが、この時、正面に突き出した手でiPhoneを安定させやすく、シャッターも押しやすいという事情で、「縦長写真」も一気に広まった。しかし、実はグループなどで大勢で一緒に移りたい場合は、当然、横長の写真にした方が都合がいい。
センターフレームフロントカメラが画期的なのは、iPhoneそのものは縦向きに構えていても、横長の写真を撮ることができることだ。
縦長の写真の上下を切り落として横長にしているのではない(それでは写真の解像度が落ちてしまう)。レンズから入ってきた映像を受け止めるセンサーは、これまでiPhoneと同じ方向に伸びていたが、これを正方形に変えることで、横長写真でも同じ解像度の写真を撮れるようにしたのだ。もちろん、画面上での表示はiPhoneを横向きに構えた時よりも無駄なスペースが多く小さく表示されてしまうが、拡大するとディテールまでちゃんと写っている。
しかも、顔認識をして自動的に画角を決めてくれる。自撮りがかなり楽しくなる機能で、上位モデルのiPhone 17 Proシリーズはもちろん、iPhone Airでも使える、この秋以降に発売するiPhoneのスタンダード機能なので、ぜひ試してみてほしい。
3つ目の特徴はA19チップの採用で、6コアCPU、5コアGPU、16コアニューラルエンジンを搭載しており、当然ながら前のモデルよりも高い性能を示す。ただ、劇的に速くなっているわけではなく、iPhoneがそろそろ乗り換えのタイミングと考えている4年前のモデル「iPhone 13」と比べてCPU処理で50%、GPU処理で2倍高速といった感じだ。
これに加え、A19(およびA19 Pro)は、ハッカーによる侵入に強いメモリ設計になっている。ハッカーの侵入は、ユーザーが気が付かない間に、メモリ上の情報を勝手に書き換えることが常とう手段となっているが、この勝手な書き換えが起こらないように常にメモリの状態を監視する仕組みが標準で組み込まれたという。
筆者にこのことを教えてくれた京都在住のIT企業家、Kristopher Tate(帝都久利寿)さんは、「この機能のためだけにA19搭載iPhoneに乗り換える価値がある」、と指摘している。その高度なプロテクション技術を、詐欺などの標的になりやすい一般モデルでも導入しているあたりにも、Appleがいかにユーザーの安心安全を第一に考えているかが伺え、iPhone 17を安心して人に勧められる重要な材料の1つとなっている。
バッテリー動作時間も、前モデルのiPhone 16と比べて8時間長くなり、連続ビデオ再生で30時間動作するようになった。このバッテリー動作時間延長を可能にしたのが、携帯電話の通信契約情報などが書き込まれたSIMカードの利用を廃止し、同じ情報をソフト的に取り扱うeSIMに完全移行したことだ。
物理的にカードを入れ、それでいて防水対策をするための機構が不要になり、その分、バッテリーの容量を大きくすることができた。
eSIMは特に難しいことはなく、むしろいったん移行してしまえば、家庭用とは別に仕事用の回線を追加したり、海外で利用する回線を追加したりといったことがもっと簡単にできたり、次回以降の機種変更も簡単にできるようになる。
しかし、たまに従来のSIMカードからeSIMへの移行で戸惑って移行を失敗することもあるようなので、心配な人は、今回に限りiPhoneを店頭購入にして店員さんに移行を助けてもらった方が安心かもしれない。
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