MX MASTER 4は単体のハードウェアの性能だけでなく、ソフトウェア面での充実も大きな魅力だ。ロジクールの提供する専用ユーティリティーのLogi Options+から各ボタンやホイール、そしてActions Ringまで細かく機能カスタマイズが可能となっている。
ただし、原稿執筆時点でMX MASTER 4に対応したLogi Options+は提供されておらず、実際の使用感などはまだ不明な点もある。
ただし、Actions Ringについては2025年8月以降、全てのMXデバイスで利用可能になっているため、MX MASTER 3での使用感をお伝えする。
Actions Ringはジェスチャーボタンなど、Logi Options+で「Actions Ringを表示」を割り当てたボタンを押したときに起動するオーバーレイメニューだ。マウスカーソルの周囲に8つのアイコンがリング状に表示され、そのアイコンをクリックすることで指定したアクションを実行することができる。
Actions Ringは、ちょうどメニューとショートカットキーの中間的な位置付けと考えれば分かりやすいだろう。メニューからマウスで項目を選択する場合は、マウスカーソルをメニューまで移動させることになるが、大型のディスプレイを使用している場合は作業領域からメニューが遠くなりがちだ。
しかも、メニューを選択した後に再び作業領域に戻ってこなくてはならず、メニューを選択するためだけに画面の端から端まで移動することになりがちでもある。一方、ショートカットキーはマウスがどこにあろうが一発で意図する操作を行うことができる。しかし、アプリケーション特有のショートカットキーは覚えるのが大変だ。
そこで、メニューの「分かりやすさ」とショートカットキーの「どこでも」を両立するのがActions Ringだ。マウスカーソルがどこにあってもActions Ringボタンを押せばカーソルの周り(通常は意識が向けられているところ)にメニューが現れるので、マウスを大きく動かすことなく、そこから選択すればいい。
また、アプリケーションごとにプロファイルを設定すれば、現在アクティブなアプリケーションに応じてActions Ringのメニューを切り替えられる。
例えば、Webブラウザ使用時とPhotoshop使用時でそれぞれ異なるボタン操作を設定することで、そのときに必要な操作に素早くアクセスすることが可能だ。
これらの実現方式にはロジクールが提供する各アプリケーション用のプラグインをインストールする方法と、キーボードショートカットを割り当てる方法がある。その他、メディアコントロールやエクスプローラー、システムの操作についてはデフォルトで用意されている。
実際にMX MASTER 4をメインマウスとしてしばらく使用してみた感想としては、MX MASTER 3ユーザーであれば迷わず購入だろう、というものだ。MX MASTER 4を使うまで気付かなかった欠点(中には経年劣化によるものもあるだろう)があぶり出され、もう戻れそうにもない。
エルゴノミクス形状によるホールド感は抜群で、大きめのボディーにも関わらず手になじみ、長時間の使用でも疲れにくい。これは前モデルでも同様のはずだが、今回刷新された表面加工やグリップパターンなど、「よく分からないけどなぜか手になじむ、疲れない」という、感覚に直接訴えかける変化が随所にある印象だ。
静音ボタンに関しても、必要だったのは音じゃなくてクリック感だったということを改めて実感した。マウスボタンのクリックフィーリングはキーボードのスイッチに比べるとそこまで注目されるものではないが、MX MASTER 4は控えめで、上品でありながらもタクタイル的な感触が心地よい。
ただし、前モデルのMX MASTER 3Sユーザーにとってどうかという点は正直悩ましい。当モデルをスキップした筆者としては、静音ボタンのフィーリングにどれほどの違いがあるのか判断しかねること、MX MASTER 3ほどの経年劣化をしていないであろうこと、2万オーバーという価格設定はとりあえず買い換えるにはハードルが高いこと、Actions RingはMX MASTER 3Sでも利用可能なこと、そして注目機能であるハプティックをまだ十分に試せていないことなどから、判断は保留とせざるを得ない。
とはいえ、現時点で最高峰の非ゲーミングマウスの1つであることは揺るぎない。「MX MASTERといえばこれ」というフィーリング、機能を維持/改善した新モデルの登場は喜ばしい限りだ。
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