Intelは10月9日(米国太平洋夏時間)、クライアントPC向けの新型CPU「Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)」の技術的概要を発表した。
この発表に先駆けて、同社は米アリゾナ州フェニックスで報道関係者向けイベント「Intel Tech Tour 2025」を開催した。このイベントでは、本CPUに関する技術的なセッションも設けられ、CPUコアやGPUコアはもちろん、I/O(入出力)回りの仕様について解説を受けることができた。
本稿では取材した内容を元に本CPUの技術的概要を解説していく。CPUコア(Compute Tile)、GPUコア(GPU Tile)やI/O回りの解説は、後日別記事で取り上げる。
Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)は、従来「Panther Lake」という開発コード名で呼ばれていた。現時点では具体的なモデル名や最大動作クロックなどに関する情報は公表されておらず、2025年末に一部を出荷し、2026年初頭にラインアップが拡充されるということだけは明らかとなっている。
ただ、今回のイベントではパッケージが3種類存在することが分かった。分かりやすく解説すると、CPUコアは8基と16基の2種類、そしてGPUコアは4基と12基の2種類で、これらの組み合わせで3種類のパッケージを製造するのだという。「あれ、それなら『2種類×2種類=4種類』じゃないの?」と思うかもしれないが、12基構成のGPUコアは16基構成のCPUコアに限り組み合わせるので、計3種類ということになる。
そしてCPUコアだが、高性能コア(Pコア)は一律で最大4基となる。要するに、今回発表されたパッケージはハイエンドなゲーミング/ワークステーション用途向けではないということが伝わってくる。
一方、消費電力を抑えた高効率コアは、通常の「Eコア」とより省電力な「LP Eコア」の2種類が存在し、8コアパッケージではLP Eコアのみ4基、16コアパッケージではEコア8基とLP Eコアを4基(計12基)搭載している。
そして全てのCPUコアは、SMT(同時マルチスレッディング)、Intel用語でいう「ハイパースレッディング」には対応しない。これはIntelがCore Ultraプロセッサ(シリーズ2)で下した「ハイパースレッディングに対応させるくらいなら、高効率コアを増やした方がマシなんじゃね?」という設計判断を継承したものだ。
パッケージを一目見ると、先代に相当するCore Ultra 200Vプロセッサ(開発コード名:Lunar Lake)との大きな違いがすぐに分かる。メモリチップがオンパッケージではなくなり、別体実装に戻されたということだ。
Panther Lakeでは、16コアCPU+12コアGPUパッケージを除きDDR5とLPDDR5Xの両規格のメモリモジュールに対応しており、DDR5規格では最大128GB、LPDDR5X規格では最大96GBまで搭載できる。メモリのアクセス速度は、LPDDR5X-9600メモリ利用時が最大毎秒153.6GBまで高速化できる一方で、DDR5-7200メモリ利用時は最大毎秒115.2GBにとどまる。
なお、16コアCPU+12コアGPUパッケージは、LPDDR5Xメモリのみ利用可能だ。
メモリモジュールはDDR5とLPDDR5X規格の両方に対応している。説明会のスライドでは「最大96GB」という表記が目立っていたのだが、これはLPDDR5Xメモリを使う場合の値で、速度は落ちるがDDR5メモリであれば最大128GBまで搭載できるパッケージとしては3種類となるPanther Lakeだが、歩留まりの関係でCPUコアやGPUコアの一部を無効化したバリエーションモデルも投入される予定だ。
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