Intelの新型CPU「Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)」は何が変わった? Lunar Lakeからの進化をチェック!(2/3 ページ)

» 2025年10月15日 17時30分 公開
[西川善司ITmedia]

ダイのサイズは非公開だが推測してみる

 近年、IntelはCPUのダイサイズやトランジスタ数を非公開としている。

 しかし、今回のイベントでは「16コアCPU+12コアGPU」「8コアCPU+4コアGPU」のパッケージの実物が展示されており、これについては撮影も可能だった。比較用に25セント硬貨と一緒に写した上で、ダイのサイズをAIに推測してもらった。AIはこういう時に便利である。

 すると、16コアCPU+12コアGPUパッケージのダイ全体の概算面積は289mm2、8コアCPU+4コアGPUパッケージのダイ全体の概算面積は218mm2だという。Core Ultra 200Vプロセッサのオンパッケージメモリを除くダイ全体の面積は実測で220mm2だったという情報がある。そうすると、この概算値はPanther Lakeのダイとほぼ同じということになる。

 ダイのサイズはTDP(熱設計電力)と無関係ではないので、今回AIが写真から算出した概算値には、それなりの信ぴょう性がありそうだ。

16コアCPU+12コアGPU 16コアCPU+12コアGPUのパッケージ
8コアCPU+4コアGPU 8コアCPU+4コアGPUのパッケージ

製造の要「Intel 18A」プロセスと「Foveros-S 2.5D」パッケージ

 Panther Lakeは、クライアントPC向けの量産品CPUとしては初めて1.8nm相当の自社プロセス「Intel 18A」で生産される。ただし、実際のところは18Aプロセスで製造されるダイはCPUコア(Compute Tile)のみとなる。先述の通り、Panther Lakeでは8コアと16コアの2種類のCompute Tileがあるので、18Aプロセスでは2種類のタイルが製造されることになる。

 一方、GPU Tileは4コア版は自社の3nm相当プロセスとなる「Intel 3」で、12コア版はTSMCの3nmプロセス「N3E」で製造される。I/O回りをつかさどる「Platform Controller Tile」については、TSMCの6nmプロセス「N6」で作られる。

 これら複数かつ異なる工場/プロセスで作られたタイルを1チップ化する工程では、Intelが誇るパッケージング技術「Foveros-S 2.5D」が採用されている。

Panther Lakeの構造 Panther LakeはIntelの先進パッケージング技術「Foveros-S 2.5D」で製造される

 Foverosには幾つかの種類があるが、Panther Lakeの製造に活用されるFoveros-S 2.5Dは、下図にあるように、トランジスタやロジックを一切持たない、配線のみを形成した「Base Tile」(≒パッシブベースタイル)の上に、各種ダイを集約実装する方式となる。

 Foveros-Sの「-S」は、「シリコンインターポーザー」を意味している。もう少し具体的にいうと、パッシブベースタイルのことを指している。なぜ「3D」ではなくあえて「2.5D」と呼ぶのかというと、これは各ダイの集約実装をダイ同士を直付けするのではなく、“平面”たるBase Dieを介してマイクロバンプとTSV(Through Silicon Via)でつなぐ方式だからだ。

 上の図版で金色のマイクロバンプは「F2F(Face to Face)マイクロバンプ」とも呼ばれるもので、ピッチは36μmだとされる。銀色の方は「C4(Controlled Collapsed Chip Connection)バンプ」と呼ばれ、ピッチは100μm級となる。

 Intel 18Aプロセスでは「RibbonFET」(GAAトランジスタ)や「PowerVia」といった新技術も採用されているが、その詳細は別記事で紹介したい。

各タイルの接続方法にも特徴が

 Panther Lakeでは、Foveros-S 2.5Dによって積み上げた各タイルを「Scalable Fabric Gen 2(SFG2)」で束ねるような構造となっていることも特徴だ。

 SFG2は、単なるダイ同士のインターコネクト規格ではなく、CPU/GPU/NPU/PCH(チップセット)といった種類の異なるロジック同士の物理的な接続を、同じプロトコル(SFG2プロトコル)でやりとりできることが最大の特徴だ。

 つまり、SFG2はダイ同士の物理接続を一本化した上で、種類の異なる信号/データを送り合えるように論理層を多層化したファブリック層(チップ内接続ネットワーク)ということになる。異なる種類のプロセッサ同士におけるキャッシュコヒーレンシーの維持設定も行えるなど、中身はかなり高度なものだ。

 昨今、IntelとNVIDIAの協業計画が注目を集めたばかりだが、SFG2は、まさに異なるメーカーのプロセッサをIntelプロセッサに組み込む上で“要”となる技術といえる。思想としては、先行して実用化されているAMDの「Infinty Fabric」とよく似たものだともいえる。

SFG2 SFG2自体はCore Ultra 200Vプロセッサでも採用されているが、Compute Tile上に設けた接続ポイント「Fabric Access Point(FAP)」においてGPU Tileを始めとする他のタイル(ダイ)を接続する方式を取っていた
SFG2 Panther LakeのSFG2でも、接続ポイントとしてFAPを用いるのは変わりないのだが、各ダイが要所にあるFAPさえ接続すればダイをまたいだ相互接続を行ったことになる。この新たなスタイルこそが、Foveros-S 2.5Dによって実現できたものだと考えていいだろう

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