AirPods Pro 2で話題になったヒアリング補助機能は、AirPods Pro 3でも引き続き利用できる。AirPods Pro 2/3を簡易的な補聴器として利用することで、聞き取りづらい音声を明瞭にする機能だ。
軽度から中程度の難聴を対象としており、ヒアリングチェックを受けることで、個人が聞き取りづらい特定の周波数帯を増幅できる。なお、AirPods Pro 2や3は医療機器ではないものの、このヒアリングチェック(ヒアリング補助プログラム)は、プログラム医療機器として日本でも正式に承認を受けている。
実際に試してみたところ、筆者は両耳とも軽度難聴と診断された。人との会話が聞き取りづらいと感じることもあったのだが、これが原因だったのかもしれない。
その後、ヒアリング補助機能を有効にしたところ、これまで聞こえなかった音が驚くほど鮮明に聞こえるようになり、衝撃的な体験となった。聞こえ方が大きく変化するため、慣れるまでは違和感があるものの、常用したくなるほど効果的な機能だ。
ただし、カナル型のイヤフォンを常時装着することによる耳への負担も考慮すべきだろう。最近では、イヤフォンが原因の外耳道真菌症(いわゆる「耳カビ」)も増加傾向にあるという報告もある。Appleには、ヒアリング補助機能が使えるオープンイヤー型イヤフォンの開発も期待したいところだ。
アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能はさらに強力になり、Appleは「世界最高のインイヤーアクティブノイズキャンセリング」をうたっている。ノイズ除去性能は、先代のAirPods Pro 2と比較して最大2倍、初代AirPods Proと比較すると最大4倍に向上したという。
実際に試してもANCは非常に強力で、耳元で動作している3Dプリンタの音なども気にならないレベルにまで低減される。ただし、ANCが強力になった分、人によってはANC特有の圧迫感が気になる可能性もある。
そのような場合は、リスニングモードを「適応型」に切り替えることで、没入感は減少するものの圧迫感も軽減される。外部ノイズをどの程度許容するかは、スライダーで細かく調整可能だ。
音質については全体的に非常にクリアで、特に中高音域の解像感が高い。人によっては低音が物足りないと感じるかもしれないが、不自然に増強されていない自然な音質は、長時間のリスニングでも疲れにくい。
バッテリー持続時間は、ANCを有効にした状態で最大8時間となり、前モデルから2時間延長された。逆に充電ケース併用時の総再生時間は最大24時間と、AirPods Pro 2の最大30時間から6時間短縮している。充電ケースには、第2世代のApple超広帯域チップが搭載されているので、これが影響しているのかもしれない。
なお、ヒアリング補助機能を外部音取り込みモードで利用する場合には、最大10時間の使用が可能だ。必要ない時にはケースに戻すという運用をすれば、1日を通して快適に使用できるだろう。
約4万円という価格は決して安くないが、AirPods Pro 3は単なるイヤフォンを超えた価値を備えている。ライブ翻訳による言語の壁の突破、ヒアリング補助による聴覚支援、ワークアウト時の心拍測定など、「聞くデバイス」から「聞き取る/伝えるデバイス」へと進化した印象だ。
音質だけを求めるなら他にも候補はあるが、Apple製品との連携や多機能性を考えると、AirPods Pro 3は現時点で最も完成度の高いイヤフォンの1つと言えるだろう。
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