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Wi-Fiルーター「Aterm」のふるさとは先端技術の“試験場” NECプラットフォームズ掛川事業所の中核工場を見てきた【後編】(1/4 ページ)

» 2025年12月10日 17時00分 公開
[大河原克行,ITmedia]

 NECプラットフォームズの掛川事業所(静岡県掛川市)は、NECブランドのWi-Fi(無線LAN)製品「Aterm(エーターム)」を中心にネットワーク機器の生産を手掛けている。同事業所は、1969年に静岡日本電気として設立された歴史のある拠点でもある。

 筆者は同事業所を取材する機会を得た。別記事では、NECプラットフォームズと掛川事業所の概要を紹介している。

 この記事では、掛川事業所の主力工場である「新A棟」で同社が進める取り組みを紹介する。

今回取材したNECプラットフォームズ掛川事業所 今回取材したNECプラットフォームズ掛川事業所。1969年に「静岡日本電気」として誕生した歴史ある拠点だ

掛川事業所の主力工場「新A棟」

 掛川事業所の生産棟は複数あるが、かつての主力は「旧A棟」だった。旧A棟は1970年から稼働し、かつて白黒TVなどの生産にも使われていた。

 NECプラットフォームズではこの旧A棟を「新A棟」として建て替えを進め、2023年3月に落成した。同社では、この新A棟を現場力とNECの先進技術を融合した“最先端工場”と位置付けている。

A棟の歴史 掛川事業所の「A棟」の歴史。当初は新日本電気(日本電気ホームエレクトロニクスを経て解散済み)の白黒TVを生産していた

 新A棟は鉄骨コンクリート造りの地上4階建てで、生産フロア面積は9315m2、延べ床面積は1万5632m2、各フロア2430m2という面積となっている。生産品目は5Gモバイルルーター/5Gホームルーター/ホームゲートウェイ/企業向けLANスイッチ/無線LAN製品といったネットワーク機器で、年間約300万台の生産能力を備えている。

 NECプラットフォームズの早川彰一氏(掛川工場長)は、A棟を建て替えた目的を「サプライチェーン網の強靱(きょうじん)化や経済安全保障の観点から、国内生産体制を強化するため」と説明する。

新A棟 2023年2月に完成した新A棟。掛川事業所の工場棟の中で主力と位置付けられている
概要 新A棟の諸元
早川さん NECプラットフォームズの早川彰一氏(掛川工場長)

 新A棟の1階は、天井高が4.2mあることから大型製品やカスタマイズ製品を生産している。次世代ネットワーク機器の生産にも対応できるようにしているという。

 2階は隣接する物流棟(新開トランスポートシステムズ掛川事業所)と直結しているため、物流効率を高める観点などから基板の「SMT(表面実装)ライン」を設置している。

 このラインで生産した基板を3階に移送して後付け部品を実装し、4階の組立ラインで製品として完成させ、検査/梱包(こんぽう)を行い、出荷される。

 新A棟の屋根には、年間約281MWhを発電する能力を持つ太陽光パネルを設置している。このパネルの電力を含めて、新A棟が消費する電力の約10%は再生可能エネルギーで賄っているという。これにより、年間CO2排出量は約120トン(一般家庭の約40世帯分相当)を削減している。

新A棟 新A棟のフロア構造
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