今回、PFUが有線専用モデルとしてClassic-Sを投入した理由の1つには、有線ニーズが継続的に高いということが挙げられる。
PFUによると、既存の無線対応モデルを有線で利用しているユーザーが約3割いるという結果が出ているそうだ。その理由はいくつか考えられるが、1つは無線よりも有線の方が安定しているということだろう。
もちろん、最近のBluetoothは以前と比べものにならないくらい高速で安定している。だが、無線である以上は外部の影響を受けやすいし、昨今はスマートフォンなどBluetoothを利用する機器に常に囲まれている状態だ。有線が使えるのであれば有線で、と考える人は少なくない。
最近はリモートワークと出社のハイブリッドワークのため、従業員にはノートPCを支給、座席はフリーアドレスにして、そこにUSB Type-C用のハブと外部ディスプレイを設置しているというオフィスも多い。そういった環境であれば、Bluetoothが利用できても、バッテリーや安定性を気にすることなく、さくっと有線で利用したいと考えるのは自然だろう。
その一方で、静音性に対するニーズは引き続き大きい。もちろん、メカニカルキーボードのように心地よい音を求める層も一大勢力としてあることは事実だ。しかし、ことHHKBに関して言えばスコスコとしたキータッチが特徴である静電容量無接点方式スイッチを採用しているということ、持ち運びしやすい小型軽量デザインであるだけにオフィスやカフェなどの自宅以外での利用が多く見込まれることなどから、静音性が歓迎されやすい製品だといえる。
だが、有線だけで十分であっても、静音性を求めるのであれば、もしくは日本語配列を求めるのであれば3万6850円のHYBRID Type-Sを選択せざるを得なかった。
そういったユーザーにとって、3万1900円のClassic-Sは、有力な選択肢となり得るだろう。本音を言えばもう一声、3万切りとなってほしかったところではあるが、Classic-Sのポイントはコストを削った廉価版ではなく、必要な機能に絞り込みながらもバリエーションを増やした最適版として仕上がっているところだ。
HHKBのスピリッツを踏襲したミニマルデザインは電池ボックスを持つHYBRID系では得られない魅力だ。
また、Classic-Sに付属しているUSBケーブルは、両端がType-Cプラグになっている。これは外部ポートの少ないノートPCでの利用を念頭に置いた選択だろう。
HHKB Professional Classicからの大きな変化は、キーマップ変更が可能になったことだ。「Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツール」を起動し、キーマップ変更を選ぶと、Classic-Sのキーレイアウトが表示され、各キーにキーコードの割り当てを行える。キー単体で押下したときと、Fnキーと同時押しのときの2レイヤーで設定できるなど、HYBRIDモデルの機能との違いはない。
ただし、FnキーとFn+Q、Fn+Zなど、一部のFn併用キーの設定はできない。これらはHYBRIDモデルでBluetoothのペアリングや解除などに割り当てられているキーなので、統一性を持たせるためには除外した方がよいであろうことは理解できる。
ただ、キーマップ変更ツール上、Fn+CtrlやFn+Qが無効のキーとして表示されているのに対し、Fn+ZやFn+XはZ、Xが割り当てられた上で変更できないという点にはやや不整合を感じる。気にするほどのものではないが、キーマップ変更ツールのアップデートで対応できるのであれば検討してもらいたい。
変更したキーマップはHHKB本体に書き込まれるので、一度設定を行えば接続先が変わっても同じ設定で利用できる。もともと、HHKBにはそのような用途のために一部のキーマップを変更できるDIPスイッチが用意されているが、キーマップ変更ツールによって上書きされるものもある。
このあたりは機能が整理されていないというよりも、古くからのHHKBユーザーのためにあえて残しているという側面もありそうだ。
なお、キーマップ変更ツールは2026年3月をめどに機能強化されることが発表されている。内容はまだ予定ながら、HHKB Studio専用キーマップ変更ツールに含まれる機能が取り入れられる見込みで、「複数キーを同時押しするショートカットを1キーに割り当てる」「スリープに入るまでの時間の任意設定機能」などが挙げられている。
有線専用のClassic-Sでのスリープが重要視されるシチュエーションとしては、バッテリー駆動のノートPCでの操作など限定的にも思うが、これも利用環境の変化の現れなのかもしれない。
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