60%サイズなのに100キーある“キー分割”キーボード「Hesper64(100)」を試す 革新性に挑戦する価値はアリ:武者良太の我武者羅ガジェット道(1/4 ページ)

» 2026年01月27日 13時15分 公開
[武者良太,ITmedia]

 近年は小型キーボードの新モデルを見かける機会が増えています。この分野ではPFUのHHKBをはじめ、KeychronやRazer、ロジクールといった有名メーカーや著名ブランドが参戦し、しのぎを削っています。

 特に両手をホームポジションに置いたまま全てのキーに指が届くような、60%キーボードと呼ばれる製品は小さくて軽く、机の上の占有スペースも減らせます。ノートPCとの相性も良く、お気に入りの製品を見つけることができれば作業場所を選ばず快適に入力できるようになります。

 一方で、小型化のために上部のファンクションキーや特定のキーが省略されているため、キー操作は複雑になりがちです。キーとキーの同時押しショートカットが増えるため、動画編集やイラスト制作など、さまざまなコマンドを頻繁に使う作業では、入力作業そのものがボトルネックとなります。

 そんな中、中国Nicsが面白いキーボードを繰り出してきました。今回取り上げる「Hesper64(100)」は、一部のキーを物理的に2分割し、それぞれに別機能を割り振ることで、60%キーボードのサイズ感を維持しつつキー数を増やしたロープロファイルキーボードです。

 価格はデュアルアクション機構のキーが多いフルバージョンが2299香港ドル(約4万5450円)、ノーマルバージョンが2169香港ドル(約4万2900円)で、カラーバリエーションはサンドベージュとミスティナイトです。

photo ESCキー、ファンクションキー、そして一部の英字/記号キー部が2列になっている

 「これは使いやすいの?」「大丈夫なの?」──1つのキーを分割するという大胆な発想に驚きつつも、以前から関心を寄せていました。今回、実機を試す機会を得られたため、その使用感を詳しくレポートします。

「キーキャップの小型化」は、なかなか受け入れられない世の中

 狭いキーボードの限られたスペースの中でキーの数を増やす手段として、これまではキーピッチを狭めたり、特殊配列に置き換えるといった手法がとられてきました。これは8〜10型前後の小さなディスプレイを搭載したウルトラモバイルPCなどでよく使われてきた手法です。

 読者の皆さんの中には「W-ZERO3」シリーズや「BlackBerry」シリーズといった物理キーボードを搭載したスマートフォンを思い出す方もいるでしょうか。

 キーやキーの配置を変形させることで、限られたスペースに多くのキーを配置することができますが、操作が難しくなりがちです。キーの幅や大きさ、形状が不均一になると、指を動かす距離と角度が微妙に変わっていくため、指の運びが安定しなくなり、せっかくマスターしたタッチタイプの感覚も崩れます。

 さらに周辺キーの段差や隙間が不均一になると、指先がどこに触れているか分かりにくくなります。結果として、ミスを回避するために目線を手元に戻す回数が増え、キー入力全体のテンポが悪化します。

 一方、Hesper64(100)は、一部キーを上下に分割して使うという「デュアルアクション機構」を採用しています。キーキャップの大きさやキーピッチ、キーレイアウトは一般的なキーボードと同じままキーの数を増やしているので、指の移動距離もあまり変わらないという構造です。

photo 一見すると普通の60%キーボードに見えるが、2段にわけられた一部キーが同モデルの多機能性をアピールする
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