ハードウェアの進化と呼応するように、OSの体験も次なる次元へと昇華されている。本機に搭載される「macOS Tahoe」は、新たなUIデザイン「Liquid Glass(リキッドグラス)」を採用した。
半透明のガラスのような質感を持つこのUIは、背景のコンテンツをリアルタイムに屈折/透過させる。賛否両論あるデザイン変更ではあるものの、実際に「Pixelmator Pro」や「Pages」などのアプリケーションを開いて作業してみると、ツールバーやサイドバーが主張しすぎず、背後のキャンバスや映像素材の色彩を柔らかく取り込みながら自身の“存在感”を消していることに気が付く。
これにM5 Maxチップが駆動する、リフレッシュレート最大120Hzの「ProMotionディスプレイ」が組み合わさることで、指先の軌跡に吸い付くように滑らかに動作する。クリエイターとコンテンツの間に介在する「OSのノイズ」を最小限に抑え、作業への没入感(フロー)を深めてくれる。
ところで今回、新しいMacBook Proと同時に「Studio Display」も刷新されている。
今回試用できたのは上位モデルの「Studio Display XDR」だったが、従来よりも高画質になっているのはもちろんだが、スピーカーとWebカメラの質が数世代分、一気に改善された印象だ。中途半端な外部スピーカーやWebカメラはあるだけ“邪魔”となりがちだが、「そんなことは言わせない!」と言わんばかりで、他に対抗できるディスプレイは恐らく存在しない。
そしてStudio Display XDRも、リフレッシュレートは最大120Hzとなる。コードやWebページなどをスクロールさせた場合の滑らかさはもちろんだが、動きボケが抑制されることで内容を高速スクロール時に追いやすくなる。高価ではあるが、それに見合う素晴らしい性能と機能を持つディスプレイだ。
最後に「価格」について触れよう。
M5 Maxチップ搭載の14インチMacBook Proの最小構成価格は59万9800円となる。だが、今回試した“ほぼ最上位”構成だと82万4800円となり、(実は触れずにいたのだが)評価機はディスプレイに「Nano-textureガラス」を適用しているため、さらに2万4000円増しの84万8800円となる。ただでさえ目が回りそうなところに、さらに目まいが強まりそうな価格だ。
「円安時代でなければ……」とも思うが、今回は最小ストレージ容量が倍増(2TBからのスタート)となったこともあり、価格面でのハードルがより上がっている。一般的なユーザーにとっては手が出ないだろう。
しかし、パフォーマンスの高さで金額に見合うだけの成果(稼ぎ)を出せる「プロフェッショナル向け」という意味では妥当な金額ともいえる。ローカルでAIモデルを検証したり、AIを使ってコーディングしたりと、M5 Maxチップの応用範囲は広い。
その是非はともあれ、DGX Sparkと比べて「特別高価でもない」のもポイントだ。メモリやSSDの価格高騰を考えると、まだ頑張っている部類ともいえる。
また、今後のApple Siliconを考える時、Fusion Architectureの進化がさらなるスケールアップをもたらす可能性も見えてくる。共有メモリの高い性能を維持したまま、さらに暴力的な数字のマルチコア/ヘテロジニアスのプロセッサを作り上げることもできるはずだ。今回は「18コアCPU+40コアGPU」だが、コア数とメモリ容量がその2倍以上になっても驚きはしない。
また、これだけの性能を小さなボディーに放り込めるのだから、新型のMac Studioが出たらどんなパフォーマンスになるのだろうか? かつての巨大なタワー型ワークステーションと同等パフォーマンスがモバイルノートで出せる現代において、デスクトップ型がどこまで行けるかにも期待したい。
6月にはAppleの開発者会議「WWDC(World Developers Conference)」が開催される。この時には、256GB以上のメモリを搭載し、ローカルで1220億パラメーター級のLLMを回してコーディングを行えるMac Studioが登場するのだろうか……?
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