AMDがHeliosで目下のライバルとしているのが、NVIDIAのVera Rubinだ。HeliosとVera Rubinを見比べると、両者には拡大戦略に大きな違いがあることが分かる。
両者は、ハイパースケーラーや巨大AIデータセンターで採用されている「OCP(Open Compute Project)」ベースのラックを用いている点では共通している。しかし、Vera RubinがNVIDIA独自のエコシステム「CUDA(Compute Unified Device Architecture)」を軸にした垂直統合型ソリューションを志向しているのに対して、Heliosは「ROCm(Radeon Open Compute)」を軸に、オープン戦略を展開してパートナーの取り込みを重視していることが異なる。この違いは、以前のレポートでも書いた通りだ。
また、ハードウェア的にもNVIDIAが独自仕様の「NVLink」によるノード間の密結合で高速化を実現し、いわゆる「ターンキー型」の(すぐに使える)高性能ソリューションを志向しているのに対し、AMDはオープン標準であるUALinkなどを採用しつつ、導入者が自らのデータセンターに合わせて仕様をより安価にカスタマイズできるようにしている。
もう1つ、AMDは先ほども触れたHeliosの最大31TBというHBM4メモリ空間の存在も強みとして強調している。
システムとしての総合性能、特に学習方面ではNVIDIAのシステムの方が優位な部分もある。しかし、AMDのHeliosは、推論の実行において1ラック内でデータ処理が完結するような動作も可能なため、処理速度と消費電力面においてVera Rubinに対して有利だという。
基調講演ではスーCEOが「Heliosが競合(Vera Rubin)に対して平均して10〜15%程度高いパフォーマンスを発揮する」と説明しつつ、「Heliosは高パフォーマンスのみならず、1ドルあたり最大で30%多くのトークンを提供可能で、これは非常に優れた価格提案力だと考えている」と強調している。
今後、AIデータセンターにおける推論処理の重要性がより高まることを考えれば、メモリ容量と帯域幅の優位性は強い訴求ポイントになるだろう。
AMDがサーバ/HPC向けの「第6世代EPYC」「Instinct MI400」を発表 搭載製品は順次市場投入
NVIDIA“一強”を突き崩すか AMDのAIソフトウェア「ROCm」と次世代GPU「Instinct MI400」がもたらす新たな選択肢
新GPU「NVIDIA Rubin」が量産体制に 2026年後半からプラットフォーム製品に実装
AMDの「Instinct MI350シリーズ」は競合NVIDIAよりもワッパに優れるAIドリブンなGPU 今後の展開にも注目
AMDのGPUアクセラレーター「Instinct」のロードマップを公表 「Insinct MI350X」は2025年内に登場Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.