前述のように毎年の価格改定(Microsoftの会計年度が変わる7月1日)とそれに伴う数%の値上げは通常通りなのだが、今回はそれが一気に上がったことで話題となった。
問題は「部品コストの大幅上昇からPC価格が上がった“このタイミング”でなぜ?」という部分だが、その理由の分析として2つほど考えられる。
下表は過去1年間の四半期ごとのWindows OEMならびにデバイス事業の売上の前年同期比の数字の推移だが、Windows 10 EOSにともなう駆け込み需要があったFY2026Q1(2025年7〜9月)以降は急速に売上が減少し、今四半期に至ってはマイナス7%となっている。
ここまで触れたように部品コストの大幅増加に伴うPC本体価格の急上昇もあり、買い換え需要は一段落し、ビジネス的には厳しい状況にある。少なくとも今後2年程度はこの本体価格上昇相場が続くと考えられており、ここから反転させることは難しいだろう。
ならばライセンス料金引き上げで対応……というのはライセンス元の選択肢としては十分に考えられる話だ。
| 四半期 | 前年同期比(YoY) |
|---|---|
| FY2026Q1(2025年7〜9月) | +6% |
| FY2026Q2(2025年10〜12月) | +1% |
| FY2026Q3(2026年1〜3月) | −3% |
| FY2026Q4(2026年4〜6月) | −7% |
冒頭の説明のように、クラウドならびにAI事業が好調なMicrosoftだが、足下ではデータセンター建設や部材調達、電力を含む運用のために膨大な設備投資(CapEx:Capital Expenditure)を行っており、この膨らみ続けるCapExについて決算会見では毎回アナリストらに説明を繰り返す状況になっている。
直近では2026年度第3四半期に約319億ドル、第4四半期に約410億ドルをCapExに費やしており、2027年度通年では約1750億ドル(日本円で約28兆円規模)を見込んでいるという。
同クラスの四半期あたりのCapExを計上するAIハイパースケーラーのライバルとしてはAmazonやAlphabet(Google)があるが、これだけの投資を継続するには資金回収を急ぐ必要がある。フロンティアモデルなどと呼ばれる最新のAIモデルを使った製品をフル活用するには従量課金モデルが適用されるなど、いかに早期に回収へ向かえるかが鍵の1つとなりつつある。
安心材料としては今四半期はクラウド事業が大幅に伸びて将来的な資金回収の目処が立ちつつある点だが、粗利益率(Gross Margin)は過去3年間でほぼ70%前後の水準で推移していたのが、2026年度に入ってから減少を始め、直近では約67.2%までに下がっている。
これは売上(Revenue)に対してどれだけ売上原価(Cost of Revenue)がかかったかを示す数字だが、つまり原価が重石になりつつあることを意味する。Microsoftの場合、この数字が増える原因の1つはデータセンターへの大規模な設備投資(CapEx)の減価償却費にある。
そして、膨大なCapExによる減価償却費が積み上がっている様子は、フリーキャッシュフロー(FCF)の推移でも見てとれる。もともと利益率の面では優秀なMicrosoftだが、過去2年ほどは営業活動で稼ぐキャッシュフローよりもCapExで外に出て行く金額の方が増えており、実際に稼いだほどにはFCFが増えないという現象に悩まされている。
このペースは2026年に入ってから加速しており、これが懸念材料として取り沙汰されている状況だ。
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