MM総研は2月4日、携帯電話のリサイクル状況と中古携帯電話市場の展望に関する調査結果を発表した。調査は「クロス・マーケティング」のモニターを活用し、2009年12月15日から18日まで、個人名義で携帯電話・PHSを利用している15歳以上のユーザーを対象に行ったもので、回答数は2000件。
同調査によれば、「現在利用している携帯電話が初めての携帯電話ではない」と回答したのは1824人で、そのうち「直前に利用していた製品をリサイクルに出した」という回答は223人(12.2%)に留まった。
リサイクルに出す以外、直前に利用していた携帯電話をどうしたかを聞くと、「現在も何らかの機能を利用している」が13.3%、「利用せずに家で保管している」が64.9%で、合わせて78.2%の回答者が利用の有無に関係なく、自身で保有していることが分かった。
これに対して、「家族・友人・知人に無償で譲渡した」が1.9%、「家族・友人・知人に売却した」が0.1%と、合わせて2.0%が家族・友人・知人との取引を行っている。「分別ゴミとして捨てた」「一般ゴミとして捨てた」「民間の不用品業者に処分を任せた」「紛失」「その他」という5つの合計は6.6%だった。なお、中古携帯電話市場への売却・下取りとして、「リサイクル(中古取り扱いショップ)で売却・下取りした」と「ネットオークションで売却した」がそれぞれ0.5%で、合わせて1.0%となった。
現在利用している携帯電話が初めてはでない回答者1824人に、「過去に利用していた携帯電話で、利用せずに家に保管している台数」を聞いたところ、平均台数は1.92台となり、市場全体で約2億台の使用済み携帯電話が利用されずに保管されていると試算される。
全回答者に、携帯電話をリサイクルに出すきっかけとして必要と思うことについて聞くと、「リサイクルに出すと新しい携帯電話が安く買えるようにする」が66.0%で最多となり、以下「個人情報の漏えいをなくす」が61.9%、「現金に相当する商品券やポイントなどがもらえるようにする」が56.6%、「リサイクルに出すと毎月の基本料金が安くなるようにする」が48.3%と並んだ。
全回答者に携帯電話の買取り、下取り制度を利用したいかという質問には、「利用したい」が29.4%、「利用を検討したい」が39.2%となり、合わせて68.6%が利用意向を示した。
全回答者に中古携帯電話の購入経験を聞くと、「ある」という回答は3.5%にとどまった。購入したいかどうかについては、全回答者の1.6%が「購入したい」、12.4%が「購入を検討したい」と回答するなど、中古携帯電話の購入意向を示した回答者は合わせて14.0%にとどまった。これに対して「購入したくない」は31.9%、「あまり購入したくない」は37.2%と、約70%が非購入の意向を示した。
MM総研は、中古携帯電話の市場規模を、2010年度は81万台、2011年度は113万台、2012年度は142万台、2013年度は184万台となり、2013年度には2008年度の3.5倍になると予測している。MM総研は2013年度の新品販売市場を3448万台と予測しており、中古市場が新品と中古を合わせた全体の5.1%を占める計算になる。
中古市場が新品市場を脅かす存在となる可能性は非常に低いと考えられるが、スマートフォンの普及を含め、携帯の“複数台持ち市場”の拡大が、手軽に購入できる中古携帯電話の市場を押し上げる可能性もあるとしている。また、キャリアが買い取りや下取り制度などに積極的な戦略を採用し、すべての携帯電話販売店舗で中古製品が新品同様に並ぶようになれば、総販売台数の2割程度まで上昇する可能性もあると分析する。
その際、買い取り・下取り制度による買い替えサイクルの長期化緩和効果が見込めるため、新品市場が減少し中古市場が増加するという単純な図式に陥ることはないと予測。携帯電話のリサイクルや買い取り・下取り制度を有効活用することで、携帯電話市場が活性化することも期待できるという。
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