シェア低下はiPhoneの影響、2010年は前進の年に――Symbianのフォーサイス氏Mobile World Congress 2010(1/2 ページ)

» 2010年02月23日 13時02分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 2月15日から4日間にわたって開催されたモバイル業界最大のイベント「Mobile World Congress 2010」。多種多様なAndroid端末が登場し、Windows Mobile OSは新バージョンがお目見えするなど、既存のモバイルプラットフォームにさらなるみがきがかかってきた。

 スマートフォンOSのパイオニアであり、いまだ最大のシェアを持つSymbianは、この状況をどう見ているのか。Symbian Foundationのリーダーシップチームで技術&デリバリーマネジメントを担当するジョン・M・フォーサイス(John M. Forsyth)氏に聞いた。

シェア減少の大きな原因は“AppleのiPhone”

Photo Symbian Foundationのジョン・M・フォーサイス氏

ITmedia(聞き手:末岡洋子) Symbian OSは最近、シェアを落としていますが、こうした事態にどう対応するのでしょうか。

ジョン・M・フォーサイス氏(以下、フォーサイス氏) スマートフォン市場は急成長しており、われわれの出荷台数も伸びています。Symbianは今でも最大のシェアを持っていますが、シェアが減少していることも確かです。シェア減少の大きな原因はAppleのiPhoneが登場したことです。

 これまで営利企業だったSymbianが、非営利団体のSymbian Foundationを立ち上げ、ソースコードを公開するまでには移行期間がありました。その間にもSymbianを採用してきたベンダーはSymbian搭載機を開発していますが、外部企業はどちらかというと静観する姿勢だったようです。

 Symbian Foundationは2月4日のソースコード公開に続き、2010年の後半には「Symbian^3」もリリースします。われわれは^3をこの5年で最も重要なリリースと位置づけており、今年は移行期間から前進する年にする計画です。

 シェアは現在、43〜50%を占めており、移行期間中の目標は、シェアを維持することでした。この点については“まずまずだった”と評価しています。今後の目標値は発表していませんが、もちろん増加を目指します。具体的にはハイエンドのシェアを維持しつつ、ミッドレンジにも拡大することを狙っています。

躍進するAndroid、「あと2〜3年すれば、ラッシュ状態は終わる」と予想

ITmedia 今年のMWCは、同じオープンソースプラットフォーム、Androidの躍進が目立ちました。こうした動きをどう見ていますか。

フォーサイス氏 Androidがオープンソースかという点には、疑問を感じます。明らかなのは、さまざまな人がAndroid、Googleの意図や展開方法に疑問を持ち始めているということです。アナリストの中には、「最もオープンに見えて最もクローズドなのがAndroid、最もクローズドにみえて最もオープンなのはSymbian」という人もいます。

 Androidはまったく新しいプラットフォームであり、(ベンダーが)新しいものを採用することで差別化を図りたいと考えたり、一番に採用して話題を集めたいと考えるのはごく自然な流れです。われわれは、あと2〜3年すれば、このようなラッシュ状態は終わると予想しています。なぜなら実際に出てきているAndroid端末はどれも似通っていて、差別化されていないからです。

 業界はこれまで、同じようなサイクルを繰り返してきました。過去にMicrosoftがWindows Mobileの最新版を発表した際、“○台が開発中”とうたっていたのに、実際に出てきた端末数はそれを下回っていたこともありました。

ITmedia 端末ベンダーの多くがマルチプラットフォーム戦略をとっている中、Symbianを利用するメリットは何でしょう。

フォーサイス氏 モバイル向けに開発された堅牢なOSであるということです。

 Symbianでは年に2回リリースし、その間にソースコードを公開します。^2はNokiaとSony Ericssonらが搭載機を提供しました。^3も搭載機種が多数登場するでしょう。2011年にリリース予定の^4は、数週間前にUIを一新すると発表しており、注目を集めています。^4ではUIに大きくフォーカスします。

 2009年10月にスタートしたアイデア交換プロジェクト「Symbian Ideas」では1000以上のアイデアが集まっており、^4にはOpera Softwareのデフォルトブラウザ選択機能などが盛り込まれる予定です。この中には、日本企業が貢献したものも含まれます。

Photo Symbianのブースでは^4のユーザーインタフェースを紹介していた。このUIはNokiaの貢献によるもの。モダンではないといわれてきたSymbianだが、「そのイメージを払拭したい」と説明員。SymbianのUIはクロスプラットフォームのUI開発ツール「Qt」で容易に開発できるのもポイントだ。Qtは「Maemo」と「Moblin」がマージする「MeeGo」にも対応する

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