セキュアなアプリを企業の“専用ストア”で配信、BYOD支援も――Symantecの「App Center」

» 2012年10月16日 19時31分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo 最適なセキュリティポリシーを設定した業務アプリを配信できる「Symantec App Center」

 スマートフォンやタブレット端末は、業務効率化や生産性の向上を支援するツールとして、今や欠かせないものになりつつある。しかし、フィーチャーフォンに比べて端末の購入や運用にかかるコストが高いことから、導入に二の足を踏む企業も少なくない。

 こうした中、新たな導入手法として注目を集めているのが、社員が個人で所有しているスマートデバイスを業務で活用するというBYOD(Bring Your Own Device)だ。企業側は端末の導入コストを抑えることができ、社員は使い慣れた端末を業務に利用できるなど、双方にメリットをもたらすことから採用を検討する企業が増えている。

 しかし、このBYODも万全ではなく、端末の運用・管理面などで解決すべき問題がある。その1つがアプリやコンテンツの管理だ。業務で利用するアプリやコンテンツは、情報漏えいを防ぐ観点から、コピーや共有を制限したり、不要になったデータを端末から削除したり、パスワードによる管理を義務化するなど、企業のセキュリティポリシーに合った運用が求められる。もう1つは退職時などにデータを削除する際、業務データと一緒に個人のデータも消されてしまう点だ。

 こうした課題を解決するためのソリューションとして、シマンテックが10月16日から提供するのが「Symantec App Center」。これはいわば、企業専用のアプリポータルといえるもので、管理者は業務用のスマートフォン向けアプリ(ネイティブアプリ、Webアプリ)やコンテンツに、個別の最適なセキュリティポリシーを適用し、社員がダウンロードして使えるようクラウド上に登録できる。iOS、Android OS、BlackBerry OSに対応しており、1つのポータルで複数プラットフォームのデバイスにコンテンツを配信することが可能だ。

 社員はスマートフォンからSymantec App Centerにアクセスし、セキュリティが施された業務用アプリをダウンロードして利用する。ダウンロードしたアプリにはApp Centerのマークが付いており、退職時にはこのマークが付いたコンテンツのみを削除できるので、個人の情報を失わずにすむという。

Photo 私用端末の導入フロー。メール内のリンクをタップしてApp Centerアプリをインストールする
Photo App Centerから業務アプリをダウンロード。App Centerのアプリはアイコンの右上にマークが入っている。ここではGmailにコピー禁止のポリシーが適用されており、範囲選択してもコピーの項目が出ない

アプリはラッピング方式で保護、ポリシーの変更も容易に

 アプリやコンテンツには「データの暗号化」「コピー&ペースト防止」「外部アプリとの連携制限」「ユーザー認証の要求」「オフライン環境でのアクセス許可」「ローカルストレージの使用許可」「脱獄された端末の使用許可」「APIの制限」「ネットワーク接続の制限」「アプリ終了時の消去」といったポリシーを設定できる。

 シマンテックでエンタープライズセキュリティプロダクトマーケティングマネージャーを務める金野隆氏によると、アプリに個別にセキュリティポリシーを設定する場合には、サンドボックス環境を利用するのが一般的だという。しかし、この手法はソースコードやAPIを理解する必要があるほか、ポリシーの変更時にはアプリを再ビルドする必要があるなど、導入企業にとってハードルが高いのがネックになっている。

 App Centerでは、アプリそのものには手を加えず、「ポリシーで既存アプリを包み込む」手法を採用していると金野氏。これは「アプリをいじらず、アプリを動かすための周辺環境と連動するような仕組み」(同)で、容易にポリシーを変更できるという。なお、このラッピング技術は、同社が4月にBYOD対応の強化を目指して買収したNukonaの技術をベースに開発したものだ。

Photo サンドボックスアプローチとの違い(画面=左)。ネイティブアプリだけでなく、Webアプリやコンテンツにもポリシーを設定できる(画面=右)

 金野氏は、「セキュリティに縛られて、モバイルの活用が抑制されるのはもったいない」と話し、App Centerはセキュリティを担保しながら、企業の業務効率化や生産性の向上をサポートできると自信を見せた。

Photo クラウド型とオンプレミス型を用意。クラウド型は、MDMソリューションを含むEnterprise Editionと、既にMDMソリューションを導入済みの企業向けのStandard Editionの2種類から選べる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月06日 更新
  1. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  2. NHK受信料の“督促強化”に不満や疑問の声 「訪問時のマナーは担当者に指導」と広報 (2025年12月05日)
  3. 「スマホ新法」施行前にKDDIが“重要案内” 「Webブラウザ」と「検索」選択の具体手順を公開 (2025年12月04日)
  4. 三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」の実機を触ってみた 開けば10型タブレット、価格は約38万円 (2025年12月04日)
  5. 「楽天ポイント」と「楽天キャッシュ」は何が違う? 使い分けのポイントを解説 (2025年12月03日)
  6. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  7. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  8. ドコモが「dアカウント」のパスワードレス認証を「パスキー」に統一 2026年5月めどに (2025年12月05日)
  9. NHK ONE、簡単には「閉じられないメッセージ」表示へ 目的は“NHK受信料”の徴収 なぜ強引な仕様に? (2025年11月12日)
  10. 鉛筆デザインのiPad用スタイラスペン「Nelna Pencil」発売 物理ボタンに9機能を設定可能 (2025年12月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー