“会社支給スマホ”に5つの悩み、“BYOD”に3つの課題――マクニカ山城氏が解説

» 2011年10月13日 11時04分 公開
[山田祐介,ITmedia]

 スマートフォンやタブレット端末を業務に利用しようという流れがこの1、2年で大きくなっている。導入の際には、会社がデバイスを用意して社員に配布するのが一般的だが、一方で社員の私物の端末を業務に活用するという「BYOD(Bring Your Own Device)」の考え方にも注目が高まっている。

 「ガートナーは、2014年までに企業の90%がパーソナルデバイスでコーポレートアプリケーションをサポートするとプレスリリースで予測を披露している。あと数年で9割の会社がBYODを導入する。この流れは止められない、本当に実現するととらえている」

photo マクニカネットワークス 第2営業統括部 第2部 第2課の山城健氏

 そう語るのは、企業向けITソリューションを提供するマクニカネットワークスの山城健氏(第2営業統括部 第2部 第2課)。同氏は10月12日に開幕したイベント「スマートフォン&タブレット2011秋」(主催:日経BP)のセミナーで、スマートデバイスの企業導入で配慮すべき課題を解説した。

端末支給の5つの悩み、BYODで解決

 会社がスマートデバイスを支給する際には、PCに似た、あるいはPCにはない運用の負担や課題がでてくる。山城氏はそのポイントを(1)OS管理の難しさ、(2)サポート(ヘルプデスク)の負担増、(3)PCレベルのキッティングコスト、(4)端末および通信費用の負担、(5)社員の2台持ち――という5つに分けて説明した。

 スマートフォンのOSはPCよりも頻繁にアップデートが実施されるだけでなく、古いモデルではアップデートができなかったり、逆に新しいモデルのダウングレードが難しかったりと、OSをPCのように統一管理することが難しいと山城氏。さらに、1モデルの販売期間が約1年程度と短いのが一般的なため、運用を続ければ支給端末の種類は増えていく。機種によって機能や仕様に違いがあり、それぞれの端末で起こるトラブルなどをサポートしようとすると、ヘルプデスクにはPC以上の工数がかかるという。また、アプリやネットワークの設定といった管理者によるキッティング作業にも、それなりの手間やコストが発生する。

 コストの負担増も頭の痛い問題だ。山城氏によれば、法人向けスマートフォンの端末価格は5万円程度が平均的という。一方で、利用年数は2年が平均的になるとし、利用年数の短さを考えると「PCと同等のコストがスマートフォンにかかることになる」と指摘する。さらにスマートフォンの活用はインターネットの利用が前提となるため、通信費も従来型ケータイより高くなるケースがほとんどとみる。また、会社支給と私物の2台を持ち歩かなければいけない、という社員の不満も発生する。

photo コストの比較
photo BYODに関するアンケート結果

 こうした管理のわずらわしさやコストの課題がある中で、社員自身の端末を活用してもらうことで各種の負担を減らそうというのがBYODの考え方だ。同社ではスマートデバイス導入のセミナーなどを通じてBYODの利用意向を調査しており、これまでアンケートに応えた96社の企業のうち46%がBYODを検討もしくは導入しているという。BYODは米国を中心に海外で盛んになっているが、国内においても「思っていたよりもBYODは進んでいる」と山城氏は話す。

 BYODの利点はまず、私物の端末を利用することで企業側が通信費や端末費用を軽減できる点にある。また、端末の全てを社内で管理する場合と比べ、管理工数の削減が期待できるという。例えばヘルプデスクでは、「アプリのサポートは必要だが、端末自体のサポートはしなくてすむ」(山城氏)。さらに、BCP(business continuity plan)の視点からもBYODが有効だと同氏は説明する。事故や災害が起きた場合でも、私物の端末ならば持っている可能性が高いからだ。

 社員にとってもメリットがある。端末を1台に集約でき、自分の好きな端末で業務ができる。また、BYODを導入している企業では通信費や端末購入費の一部を会社が負担するケースも多く、こうした点も社員にとっての魅力となる。

BYODにも留意すべき点

 しかし一方で、BYODでは支給端末にはない問題も生まれると山城氏。1つは、プライバシー保護の問題だ。業務の時間だけでなく、私用時間においてもWebの閲覧履歴やアプリの利用履歴といった各種のログが会社に送信されるのは望ましくない。

 また、2つ目の問題として、企業と個人の運用ポリシーの両立を挙げる。例えば、カメラやYouTubeといった機能は使わせないなど、業務利用においてはセキュリティなどの観点から端末にさまざまな設定を施すことになる。こうしたポリシーがプライベートな利用にも及ぶと、社員の不満につながってしまう。

 3つ目の問題がデータの保護にまつわる問題だ。業務に利用する端末を紛失した際にはリモートワイプを行うのが一般的だが、この際に端末全体の初期化が行われる場合が多いと山城氏は説明。「個人の写真データなども一緒に消えてしまう」といった点が利用のハードルになると指摘した。


 山城氏はこうしたBYODの課題を克服する1手法として、「ロケーションに応じたダイナミックなポリシー適用」を挙げる。社内無線LANのアクセスポイントへの接続やGPSなどを活用して端末の場所を特定し、社内の端末には企業ポリシーを適応して機能制限やログの収集を行い、社外ではこうしたポリシーをオフにするという発想だ。また、企業データをセキュアな領域に保存して、紛失時などには企業データのみをリモートワイプできる仕組みも必要だと山城氏は話す。

※初出時、製品の機能に関する説明を記載していましたが、実装が未定であるとの連絡を受け、該当箇所を削除しました。お詫びして訂正します

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