“本業に専念できる環境作り”をiPadで――FileMakerが変える、中小企業の現場(2/2 ページ)

» 2013年05月03日 10時00分 公開
[佐々木千之、後藤祥子,ITmedia]
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―― FileMaker Proは、自社の業務の流れを把握している社員が自身で業務システムを開発できるのが大きな特徴です。しかし、最近では、「より本業に専念したい」という考えから、コストが折り合えばシステム開発を外注したいという中小企業も増えています。また、自社で開発した業務システム同士を連携させたり、基幹システムと連携させるような込み入った仕組みを必要とする企業には、開発のハードルが高いのも事実です。こうした場合には、業務システムの開発を外注せざるを得ないケースも出てきますが、ファイルメーカーとして、どのようなサポート体制を用意していますか。

荒地氏 ファイルメーカーは、FBA(FileMaker Business Alliance)を組織しており、FileMaker製品のコンサルタントやトレーナー、ソリューションプロバイダ、ホスティング会社らが日本国内だけでも117社(2013年4月時点)参加しています。自社でのシステム開発が困難な場合は、FBAのメンバーに相談することをおすすめしています。当社のWebページにメンバー各社の情報が掲載されているので、ソリューションや事例を見ながら、自社の業務に合ったソリューションを開発しているメンバーに相談するといいでしょう。FBAのメンバーは、FileMaker Proのセミナーやワークショップで講師をすることも多いので、こうした場で相談するという手もあります。

 また、5月8日〜5月10日にかけて開催される「第3回 スマートフォン&モバイル EXPO春」(東京ビッグサイト)の当社ブースに、11社のFBAメンバーがミニブースを構えてiOSソリューションの紹介をしているので、ここで相談することもできます。

 小規模なシステム開発なら、無料で参加できるFileMaker Technical Network(FileMaker Proの開発者向けコミュニティ)のディスカッションボードで「こんな業務システムを作りたい」と投稿すれば、FBAの方やフリーのエンジニアが手を挙げる場合もあるので、試す価値はあると思います。

 ほかにも、iPadやiPhone、デスクトップPCで利用できる有償のパッケージソリューションやプラグイン、バーコードリーダーなどのハードウェア、トレーニング用ツールの情報を集めたサイト「Made for FileMaker」も役に立つのではないかと思います。ここでは、完成したソリューションを紹介していますので、業務に適したソリューションがあれば、開発元から購入し、インストールするだけで、すぐ使い始めることができます。

Photo ビジネスソリューションのパッケージを購入したり、デモ版をダウンロードしたりできる

260%のROI、1年経たずに投資を回収したケースも

―― スマートデバイスとそれに対応する業務システムの導入については、「費用対効果」「スマートデバイス対応」「どれだけ時間や手順の無駄を省いて本業に専念できるようになったか」が問われます。FileMaker Proとスマートデバイスを導入した事例で、こうした効果が顕著に表れた案件があったら教えてください。

荒地氏 1つは、石川県で青果の仲卸業を営む丸友青果の事例です。丸友青果は当初、競り落とした青果の売り上げをまず紙の伝票に入力して、2人のパンチャーが紙の伝票を見ながらデータを入力し、基幹システムに送っていました。この紙の伝票をiPadで入力できる伝票に変更し、現場で入力した売上データが基幹システムと連携するソリューションを導入しました。開発期間はプロトタイプが1週間、本サービスのシステムが1カ月ほどでした。

 投資額は、外注したシステム開発費の120万円と、iPadなどのハードウェア購入費の30万円で、合わせて150万円。2人雇っていたパンチャーの作業費年間360万円と、大量に使っていた複写伝票の年間コスト40万円の計400万円が削減できたので、ROI(投資回収率)は260%。1年も経たずに投資額を回収しています。

 このケースでは、作業効率も大幅に改善されています。時間がかかっていた伝票入力作業がなくなったため、1日の作業が終わる15時頃には売上から仕入、粗利までのすべてを確認できるようになり、伝票の書き忘れや転記ミスも減ったそうです。また、売り上げがすぐに見えるようになったことで、社員の業務に対する意識が変わってきたのも大きな効果といえるでしょう。

Photo 青果のせり場でiPadから売上を入力。入力したデータは、社内の基幹システムにリアルタイムに送られる

 このケースでは、「開発コストが、ひとケタ違うのでは?」といわれることもしばしばですが、開発コストを抑えられるのもFileMaker Proの大きな特徴です。例えば、基幹システムとFileMaker Pro間のデータのやりとりは、基幹システム側にODBCのドライバさえあれば、FileMaker Pro側の設定をするだけで済み、新たに必要なプログラムを開発する必要がありません。このように、すでに開発済みのさまざまな機能がFileMaker Proには実装されているので、コストを抑えた業務システムの開発ができるというわけです。

Photo データ入力の入り口にFileMaker製品を利用し、そのデータを基幹システムと統合することもできる

 もう1つが、東京で商品容器やパッケージのデザイン、金型開発、試作品の製造販売を手がけるワークキャムの事例です。もともと同社は受発注から営業、見積もり、製作、材料、在庫の管理まで、経理以外のほぼすべての業務システムをFileMaker Proで構築しており、さらなる業務改善効果を狙ってiPadとFileMaker Goを導入。月に400件にものぼるパッケージの製作に必要な情報をどこからでも参照でき、製作機器に入力できるようにしたのです。

 iPadを導入したことで、営業現場では打ち合わせの途中でもリアルタイムで変化するパッケージの設計情報を確認しながら、デザインの微調整や納期について即答できるようになり、製品開発の計画が立てやすくなりました。また、1つの小さなミスが1時間、2時間のロスにつながってしまうような製造現場で、iPadで正確な情報を確認した上で作業ができるようになったことから、ミスが約3%減ったそうです。作業効率も20%向上するなど大きな導入効果を上げています。

 スマートフォン&モバイル EXPO春の当社ブースでは、丸友青果のソリューションを開発したFBAのメンバー企業のデモを見ることもできます。ファイルメーカー社員もブースに詰めているので、「FileMakerシリーズで何ができるのかがよく分からない」「FileMaker製品で実際にどこまでのソリューションを構築できるのか知りたい」という方々には、ぜひお越し頂きたいと思います。


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