SBLはその制度趣旨から、いざという時にはギリギリのタイミングでも、指定された日本企業(LNG受入基地)への販売・デリバリーを行うことが望ましい。
このため、LNG船が日本の港へ着港する15〜18日前までSBLを保有し続け、経済産業省の指示の下、指定された日本企業へ販売を行うことをSBL事業者の認定要件とする。
ただし、通常はこのような緊急指示は発出されず、SBLが無駄になってしまうことも想定される。このため、他国事業者に転売するなど、できる限り費用を抑えた形でLNGを処理することも要件とされる。
このほか、安定的な運用を確保するため、LNG取り扱いの経験や総合力を判断する観点から、以下のような認定要件が設けられている。
なお、民間事業者間の協力やSBLのみでは対応できない非常事態においては、電気事業法・ガス事業法のもと、国の外交力・信用力を背景にJOGMECによりLNGの調達が行われる。
日本政府は安定的な資源確保に向けて資源外交を積極的に展開しており、タイやマレーシア等の国々とLNG分野での協力覚書(MOC)を締結している。
また新規の案件(グリーン・フィールド)は立ち上げに長期間を要するのに対して、既存の液化プロジェクトを拡張し生産能力を拡大する「ブラウン・フィールド」案件は比較的リスクが低く、早期に追加生産が可能であるため、この獲得に向けた取り組みが進められている。
また国際連携の一つとして、「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)」が推進されている。
アジアには、LNGの生産国や消費国など様々な国々が存在するが、エネルギーの安定供給と脱炭素化の同時達成のため、日本からの支援とリーダーシップが期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.