生きている時間、死んでいる時間結果を出して定時に帰る時短仕事術

所詮、数秒の違いでしょ――。PCのショートカットキーや辞書登録によって効率化する話をすると、こんな感想を抱く人もいます。確かに、なんでも単純に時短すれば生産性が高くなる、というのは誤った考え方。しかし、自分の時間を見直し、「死に時間」を少しでも省き「生き時間」に変えることは必要ではないでしょうか。

» 2010年08月11日 15時19分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

 「そんなところまで、あくせく時短しなくてもいいんじゃない? 所詮、数秒の違いでしょ」

 PCのショートカットキーや辞書登録によって効率化する話をすると、こんな感想を抱く人も少なくありません。例えば、数秒の積み重ねで1日10分が節約できた時に「10分も節約できた!」と考える人もいますが、「なんだ、たいした効果じゃないや。バカバカしいから止めよっ」と思う人もいます。

 こんな時、わたしは昔、一緒に仕事をしていた経営者の言葉をよく思い出します。それは、次のような言葉でした。

 「カネには生き金と死に金があるんやで」

数秒の積み重ねはバカバカしいか?

 例えば、ボールペンのようにどれを使っても機能が果たせればよいものなら、1円でも安いものを探す。しかし、優秀な人材を採用する、将来の稼ぎ頭になるかもしれない商品の開発、人脈を作るための交際費……こうしたコストはケチっちゃいけない。金と手間のかけ方で将来が変わる、というわけです。

 わたしは当時「ボールペン代をケチったところで、1ダース買っても12円しか経費削減にならないのに、人材募集の広告に数百万円かけるのはいかがなものか」と反論したのですが、今ではその経営者の気持ちがよく分かります。

 つまりお金の価値は、それを何のために使うかで決まるということです。一時の快楽や面倒くさいからという理由で「無駄に支払うお金」はすべて「死に金」です。一方「将来のための投資」はすべて、「生き金」です。経営者なら、常にお金は「生き金」として使わなければなりません。お金の絶対額だけで、その価値を比較してはいけないのです。 

 このことは時間にもあてはまります。時間も、単なる時間の長さで論じではいけないのです。あくまで、時間を何に使ったか数秒の積み重ねはバカバカしいか?――それで時間の価値が決まるのです。

大切な人に接する時間は、ケチらない

 なにげなくやっている単純作業、ボーっと見てるテレビ、電車を待っている時間……。こうした何も生み出していない、あるいは将来に結びつかない時間は、それが数秒間であっても「死んだ時間」です。無駄なのです。ですから、少しでも工夫して、「生きた時間」に変える必要があります。

 逆に、将来のために活動する大切な時間は、それに長時間かかっても問題はありません。例えば、大切なスタッフの悩みを聞く時間、みんなと将来を語り合う時間などは「生きた時間」です。なんでも単純に時短すれば生産性が高くなる、というのは誤った考え方です。自分の時間を見直してみましょう。「死に時間」となっている無駄な時間を少しでも省き「生き時間」に変えましょう。

集中連載「結果を出して定時に帰る時短仕事術」について

 本連載は、6月26日発売の書籍『結果を出して定時に帰る時短仕事術』(ソフトバンククリエイティブ刊)から抜粋・再編集したものです。

 残業ゼロで成果を倍増する仕事効率化術――。と言っても、単に効率化だけではダメ。人生の価値マネジメントから始めるタスク管理としくみ作りを実践しましょう。「ワークライフバランス」と言っても単に時間バランスだけとっても意味はありません。

 ビジネスパーソンは、顧客の要望を上回る成果を出しながらも、自分の時間をしっかり確保して、プライベートの充実と自分の付加価値を高めるための将来に向けた事故投資を両立する必要があります。

 本書は、しっかり結果を出しながらも、将来の自分価値を高めるための「時短仕事術」を紹介しています。人生の価値感管理から日常生活のタスク管理まで、生産性戦争に打ち勝つためのテクニック満載です。

  • 1時間目:残された時間を価値あるものに
  • 2時間目:仕事も人生もうまくいく! 理想の時間割
  • 3時間目:最少の労力で最大の成果を上げる知的生産の方程式
  • 4時間目:必ず目標を実現する! スケジュール&タスク管理術
  • 5時間目:集中力が劇的にアップする!すきまアクションとじっくりアクション
  • 6時間目:時短の達人が教える! 生産性を高める小さな習慣
  • 7時間目:ITを味方につけなければ、生産性戦争に勝てない!
  • 8時間目:最短で問題解決するための時短思考のツール
  • 9時間目:チームの生産性が飛躍的に高まる! 時短会議のススメ
  • 資料編:時短の達人になるためのチェックリスト

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister


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