PC周りに置いておきたいスマート文具って何だろう？：アイデア発想実践記（2/2 ページ）

[シックス・アパート 中山順司，Business Media 誠]

　ということで、あらためてテーマはこちら。

　今回のお題「PC周りに置きたい、今までにないスマート文具を発想してみる」

　実践したのは誠 Biz.IDの鷹木編集長と上口さん、そして中山の三人です。以下、各ステップを事実と心の動きを、客観的に淡々と描写してみます。

予想に反して、苦しい時間帯が長い

　3人全員がデスクワーク中心の働き方なので、それぞれが思う「こんな文具がデスク周りにあれば仕事がはかどるだろう」という理想がきっとあるはずです。よって始める前は実体験に基づいたアイデアがたくさん生まれそうな気がしていました。

　では実際のアイデア出しはどうだったでしょうか。今回はマス目が25（5×5）個あるので、1マス1分として、制限時間は計25分としました。

　正直、25分もあればかなりの数が出せる自信がありました。ただ、始めてみると思うようにアイデアが出ません。これまでの経験から、発想のコツ的なものはつかんできた自信があったので、なぜ急にペンが止まってしまうのか、我ながら驚きでした。自分だけかなと2人に目をやると、どうやら私と同じように苦しんでいるようで、口をへの字にしたり、腕組みして唸っています。

1アイデアに1分以上費やしてしまった

　そして、25分後に集まったアイデアの数は、鷹木さん28個、上口さん8個、中山17個の計53個でした。

　いつも通りというべきか、鷹木さんが半分近くを稼いでいます。上口さんは相当苦労したようで、3分の1も埋められませんでした。私はちょうど2人の間。全員に共通しているのが、過去の他の手法よりはるかにアイデアが生み出せなかったという点です。これまでは「30秒で1アイデア」発想できていたのが、マトリクス法では「1アイデアに1分以上」かかっていたということで、効率は悪いです。

　アイデアマンの鷹木さんでさえ「こんなはずじゃなかったんだけど……」と言いたげな表情を浮かべています。

　集計後に、持ち回りでアイデアを発表していきました。以下、全員のメモを公開してみます。

鷹木さん：28個

	PCを壊したくない	動きたくない	遊び心＆オシャレ	持ち運びしやすい	仕事がデキる感
Web連携	・PCを冷やせる文鎮	・念じるだけで動くマウス ・自分に近づいてくれるケース	・iPhoneを入れて遊べる危険なお手玉ケース（落とすのが怖い） ・ブラウザの内容に反応して光る電飾	・プロジェクタ機能付きデジタルペン（書いている内容がリアルタイムでカベに表示）	・男子向け超高級筆箱（あちこちに窓がある、小学校時代に男子が夢中になったようなヤツ）
片手で操作	・キーボードを守るデジタルペン	・肘置き付きチェア（文具というより家具？） ・手のひらカレンダー	・電子タバコ（文具か？）	・片手で運べる折りたたみ式書斎セット（空港でおもむろに広げて使う）	・片手でネクタイを美しく締められるピンのようなもの（カガミがなくてもOK）
倒れない	・PCから逃げていくコップ（よってこぼれても問題なし）	・倒れずに動く書類フォルダ	・AKB48全員分のクリアフォルダ（欲しいだけ？）	・自立して倒れない傘	・倒れない心を生み出すカレンダー（名言的なメッセージが書かれていて、励ましてくれる）
ゴミが出ない	・アイスを片手で食べてもたれてこないスティック	・食べられる弁当箱	・食べられる消しゴム（カスも食べられるけど体に悪い）	・めちゃめちゃ軽いコピー用紙（羽毛のように軽い。書けるのか？）	・机の上にゴミを堆積させ、たまったらベリっと剥がして捨てられる
繰り返し使える	・ジュース缶に付けられる取り外し式キャップ	・インクが亡くならないペン（夜にうまいこと補充してくれる）	・ソックスが降りてこないタッチペン	・（ペン、プロジェクタ等の会議セットを）ひとまとめにして持ち運べる	・過去に書いたアイデアをPUSHで通知してくれるノート

　何だかんだいって、全てのマスを埋めるところが鷹木さんのすごいところ。もちろん、実現不可能なもの、意味不明なものも混じっています。そういったアイデアに意味はないのではと感じる方がいるかもしれません。しかし、実際の発想の現場ではとても貴重なのです。理由は、発想会議で最も避けたい沈黙を吹き飛ばしてくれるから。アイデアのジャブを切れ目なく撃ちこんでくれる鷹木さんのような人は、発想会議にぜひほしいタイプの人です。

上口さん：8個

	PCを壊したくない	動きたくない	遊び心＆オシャレ	持ち運びしやすい	仕事がデキる感
Web連携			・紙を切ると、切った軌跡に沿って出力してくれる（用途は分からない）	・ホワイトボードプロジェクタ（書いた手書き内容をPCに送信してくれる）
片手で操作	・柔らかい素材でできた消しゴムの木（フワづわしてPCを衝撃から守る）	・ミシンみたいなホチキス（書類をものすごい勢いで閉じてくれる）	・手首にはめて使うメモパッド（急な電話対応のとき便利？）
倒れない					・名刺の立体駐車場（縦置きで、1000枚くらい入り、検索するとものすごい勢いで回ってかっこいい）
ゴミが出ない			・レインボーカラーのノート（何層にもなっていて、いろんな色を楽しめる）
繰り返し使える		・デスク一体型メモパッド（ブギーボードみたいな？）

　一番苦しんでいたのが上口さん。アイデアがゼロだった列はありませんでしたが、本人も残念そうでした。確かに、ウンウンうなっている時間が長かったです。しかし、（後述しますが）大絶賛のアイデアをたたきだしてくれました。

中山：17個

	PCを壊したくない	動きたくない	遊び心＆オシャレ	持ち運びしやすい	仕事がデキる感
Web連携		・ブギーボードの小さい版のようなメモ型タブレット（既にある）	・ノートPCのケースだが、開けるとiPadとメモ用紙が入れられるなんちゃってケース	・字を自動で読み取ってクラウド共有したり、pdfを作成してくれるホワイトボード	・見た目がスマホのメモ帳（既にある）
片手で操作		・ペンを挿しておけるマウス（さっと取り出せる）
倒れない	・コーヒーカップの裏とデスクが弱い磁石てくっつく ・山の形をした末広がりのマグ（安定感がある）	・起き上がり小法師的なゴミ箱（蹴っ飛ばしてもOK）		・ビジネスカバン用の自立式三脚（外でも倒れない）
ゴミが出ない		・デスクにおけるパーソナル小型ゴミ箱（ガムの紙のようなちょっとしたゴミ専用）	・Googleカレンダー連動式のデスクトップカレンダー		・デスク上のお菓子をすっぽり隠せるので恥ずかしくない箱「オトコの菓子箱」
繰り返し使える	・クッション入りハードシェル型ノートPCケース（メッセンジャーバッグに入れても安心）	・デスクを覆い尽くすような超大型ノート（全員で同時に書きこめる）	・タスクを書き込める積み木（ジンガのように積み上げて、終わったら崩す。視覚で達成感が味わえる）

　鷹木さんと上口さんのちょうど中間くらいの数を出せました。意図しているわけではないのに、アウトプット数はいつも「鷹木＞中山＞上口」の順になってしまいます。これまでは30秒で1アイデア出せていたのが、1分で1個未満という結果なので、個人的には非常に不満があります。

　この後は各自の発表に入っていきます。全員が苦しみながら出したアイデアの質と内容は？　それぞれの評価は？　さらにはどんな広がりを見せるのか？　ベストアイデアに選ばれるのはどれか？　詳しくは後編に続きます。