マナーモードの“そもそも論”(1/2 ページ)

» 2004年01月14日 15時21分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 携帯電話が普及してきた頃から、“利用マナー”についてはたびたび話題になってきた。しかし、「態度や行儀作法」という単なるマナーから、徐々にルールへと変わってきているのが携帯利用の実態だ。「マナーからルールへ」──タバコの標語のようでもある。

あちらもこちらもルールだらけ

 ルール化されたいい例は、関東の17鉄道事業者が定めた電車内の携帯電話利用だろう。優先席付近では携帯電話の電源を切り、それ以外ではマナーモードを設定するというもの(2003年8月の記事参照)。通話が禁止されると共にメールやWebの利用は事実上黙認された。

 自動車運転中の携帯利用もルールが強化されようとしている。運転中の携帯利用は危険──という理由により、携帯を手に持って利用するだけで罰金を科すというものだ(2003年12月の記事参照)。

 病院内や航空機内の“電源オフ”も、現在ではルールと言っていいだろう。こちらも規制が強化されるという話がある。※1月15日に国土交通省は航空機内での携帯電話利用に罰金を科す改正航空法を施行した(1月15日の記事参照

 電波に限らず、カメラ利用もルール化を望む声が挙がっている。スカートの中を撮影するなどといった盗撮は言うに及ばず、研究所や学校内、コンサート会場などでも携帯カメラによる盗撮が問題視されており(2002年11月の記事参照)、ルール化の“手段”さえあれば、すぐにでも対応が始まりそうだ。

 ルール化一歩手前のものとしては、劇場や映画館、コンサート会場などでの電源オフ。マナーモードのバイブレータさえ迷惑だということで、開演前には必ずと言っていいほど「携帯電話の電源をお切りください」というアナウンスが入る。

 このように携帯を取り巻く環境のルール化は進む一方だ。しかし問題の携帯電話は……というと、マナー/ルールへの対応が進んでいるとはとても言い難い。

こんなにある“マナー”モード

 現在、ほぼすべての携帯が備えているマナーモード。一般的なのは、着信音を消して代わりにバイブレータを作動させるものだ。

 ただし、「マナーモードにすればいい」というシーンは限られており、それに伴って携帯の新機種はさまざまな“モード”を備えるようになってきている。

 ドコモ端末を中心に比較的搭載例が多いのが「ドライブモード」。相手に運転中であることをアナウンスし、着信履歴だけを残すというものだ。au端末などで多いのが、複数のマナーモードを設定できるタイプ。ユーザーがカスタマイズすることでドライブモード的な機能を追加したり、中には「アウトドアモード」といって着信音量を最大にできるものもある(なぜかないのが電車モード。ドライブモードよりも電車モードを、という意見も)。

 もうひとつ、携帯の多機能化に伴って登場したのが電源オフの代わりに使える「セルフモード」(ボーダフォンでは「オフラインモード」、auでは「電波OFFモード」などとも呼ぶ)。要するに、電波の送受信を行わず、カメラや内蔵ゲームなど端末だけで動作する機能を利用するためのモードだ。

 さまざまなモードが用意されてはきたが、これらを実際に使い分けている人は皆無だろう。その理由のひとつは、周りから見てルールを守っているのかどうか判断できない点にある。

 電車の優先席付近で電源をオフにする理由は「ペースメーカー利用者への配慮」だとされている。病院や航空機内で電源をオフにするのも、「電波が機器へ影響を及ぼす可能性がある」からだ。理屈としては、実際に電源を切る必要はなく、セルフモードにすれば済む。しかし実際のシーンではおそらくルールを守ったことにならないだろう。

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