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» 2004年03月03日 23時31分 UPDATE

IC CARD WORLD 2004非接触型ICカードの主流へ、準備着々――FeliCa最前線

国内で非接触ICカードの主流になりつつあるFeliCa。ICカードの総合展示会「IC CARD WORLD 2004」では、昨年末に国際標準規格として認められ、今夏には携帯電話に内蔵した「モバイルFeliCa」も登場するなど話題の多いFeliCaの最新動向が紹介されている。

[西坂真人,ITmedia]

 定期券など交通系カードや電子マネー、住民基本台帳カードなどで普及が進む「非接触型ICカード」。中でもSuica(JR東日本のICカード乗車券)やEdy(プリペイド型電子マネー)に使われている「FeliCa」の普及は目覚しく、国内では非接触ICカードの主流になりつつある。

 東京ビッグサイトで開催されているICカードとRFIDに関する総合展示会「IC CARD WORLD 2004」では、FeliCaの最新動向が紹介されている。

photo 東京ビッグサイトで開催されている「IC CARD WORLD 2004」

 FeliCaの通信方式をベースにした新しい近距離無線通信規格「NFC(Near Field Communication)」が昨年12月に国際標準規格(ISO/IEC 18092)として承認された(別記事を参照)。ISO/IEC 18092となったNFC IP-1は、FeliCaやPhilipsの「Myfare」といった通信方式を包括しており、両者間には通信互換性が確保されている。つまり、FeliCaが国際標準の通信方式になったといえるのだ。

 FeliCa推進の旗振り役であるソニーのブースでは、「世界標準」をテーマにFeliCa技術方式や応用アプリケーションのデモンストレーションが行われている。

 注目を集めていたのが、携帯電話にFeliCaカードと同等の機能を付加できるICチップ「モバイルFeliCa ICチップ(仮称)」。昨年10月にソニーとNTTドコモが、同チップをドコモの携帯電話に搭載して展開する新サービスを発表している(別記事を参照)。現在、Edyを運営するビットワレットやSuicaのJR東日本など27社が参加してモバイルFeliCaのフィールド実験が行われている。

photo モバイルFeliCa ICチップを内蔵した試験端末「SO504iC」。このSO504iCと、N504iSをベースにした「N504iC」とをそれぞれ2500台ずつ計5000台を使ってフィールド実験が行われている。「モバイルFeliCa内蔵の携帯電話が登場するのは今年夏頃。試験端末とはまったく別の新端末で登場する」(同社)
photo 電子マネー「Edy」をモバイルFeliCaに組み込んで、携帯電話を“電子財布”として利用する例
photo ビットワレットのブースでは、アミューズメント機器の料金システムにFeliCa(Edy)を導入した事例を紹介。アミューズメント施設「クラブ セガ 大崎」では、2月20日から全台にFeliCaリーダー/ライターが設置されるなど電子マネーシステムが本格導入されている。この店ではモバイルFeliCaのフィールド実験も行われており、携帯電話をかざすだけでゲームが楽しめる(下)
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フラットな新パソリはモバイルFeliCaのため

 FeliCaを利用したアプリケーションとして普及/認知度ともに高いEdy。コンビニなどでの“電子財布”として以外に、PCに専用FeliCaリーダー/ライター「パソリ」を接続することで、オンライン決済にも利用できる。このパソリの新モデルも参考出展されていた。

photo パソリ新モデル

 従来のパソリは、Edyカードを置きやすいようにカードを立てかける溝が設けられていた。だが、新モデルは読み取り面がフラットになっており、机に平らに置いて使用するように変更されている。

 「新モデルがフラットなのは、今夏登場のモバイルFeliCaでの利用を考慮してのこと。従来のパソリでは、携帯電話をかざした時にカードを立てかける溝が邪魔をして、通信可能な距離(3ミリ以下)を確保できないケースが出てくるからだ。また、カードを立てかけるスタイルだった従来型に対して、新モデルでは上に置くというカタチになる。携帯電話のようなカード形状をしていないFeliCa内蔵機器が今後増えてくるのに対応した」(同社)

 そのほか、プリント配線基板にハロゲン系燃焼材を使用せず、はんだ付けには無鉛はんだを利用するなど、環境に優しい仕様になっている。

接触型ICカード&FeliCaの複合カードが年内にも登場?

 非接触型のFeliCaは交通系ICカードや電子マネーなどで広く普及しているが、金融系では外部読取装置にカード接点端子を接触させてデータのやりとりを行う「接触型」のICカードが依然として主流となっている。理由は、1980年代には欧州で金融システムに実用化されていたといった「歴史の古さ」と、金融取引用ICカードの国際規格「EMV」が接触型対応になっているため。金融系以外でも、接触型に対応したインフラがすでに整備されている分野も多く、コスト面からもこれらを非接触型に置き換えるのは難しいのが現状だ。

 そこで近年注目されているのが、接触型と非接触型の両方の機能を持った「ハイブリッド型ICカード」。FeliCa以外の非接触型ICカードでは、このようなハイブリッドカードが登場していたが、磁気タイプのクレジットカードにFeliCa機能を組み込んだカードは存在したものの、接触型ICカードとFeliCaを複合したハイブリッドカードはこれまでなかった。

 ソニーブースでは、接触/非接触の両方に対応した「デュアルインタフェースチップモジュール」を参考出展。VISAのICカードとして使えるOS「Visa Global Platform」を搭載した高機能32KバイトEEPROMタイプと、ベンダー独自OSに対応した普及型16KバイトEEPROMタイプの2種類が用意されている。

photo 接触/非接触の両方に対応した新FeliCaカード

 ハイブリッド型ICカードは、1枚のカードに接触用と非接触用という2つのチップを搭載して別々の用途で使用させるため、それぞれのサービスやデータを両方式で利用することはできなかった。今回参考出展されたカードモジュールは1つのICチップで接触/非接触両方の方式に対応したいわゆる「コンビネーション型」。接触/非接触のどちらのインタフェースでも外部のリーダー/ライターと通信が行える。

 「例えば、パソリで金融系カードの情報を読み書きしたり、銀行の口座からEdyに直接入金することも可能になるなど接触/非接触のアプリケーションを相互利用できるようになる。実は昨年のIC CARD WORLDでも紹介していたのだが、ようやく製品化のめどがついた。モジュールは今年秋頃に出荷する予定。今年末か来年にはデュアルカードが登場するだろう」(同社)

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