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» 2004年05月11日 22時42分 UPDATE

ビジネスシヨウ TOKYO2004:非接触IC――ボーダフォンの戦略は「多面展開」

ビジネスシヨウ TOKYO2004会場で、ボーダフォンが提供する非接触ICカード端末の概要やコンセプトが明らかになった。さまざまな規格に対応できること、メモリ容量を確保できること、PDAなどでの展開も可能なことなどがポイントだ。

[杉浦正武,ITmedia]

 ビジネスシヨウ TOKYO2004会場で、ボーダフォンが提供する非接触ICカード端末の概要とコンセプトが分かってきた。ほかのキャリアの動向も確認しつつ、同社の方針を見ていこう。

メモリカード型のメリット 〜多方面展開が可能

 携帯電話への非接触ICカードの搭載について、ドコモが既にICチップ「モバイルFeliCa」を内蔵した端末の投入を発表している(2003年10月27日の記事参照)。KDDIはUIM形状のICチップを開発しており(2003年12月12日の記事参照)、端末に内蔵したアンテナと組み合わせての利用を提案している。

 一方ボーダフォンは、いずれの方法とも異なる「端末にアンテナを内蔵、着脱可能なメモリカード(MMCカード)にIC機能を搭載」するかたちをとった。

 ボーダフォンの方法が意味するところは、“カードを変えればさまざまな方式の非接触ICカードを利用できる”ということだ。たとえば会場では、国内で標準化が進む「JICSAP2.0」仕様のカードと、TypeBのカードという、2種類の方式に対応することがうたわれていた。

 そもそも、ひとくちに非接触ICカードといってもさまざまな種類がある。10センチ以下の距離で通信を行う非接触通信は、「ISO14443」として規格化されているが、この中でもTypeA、TypeBなどの違いがある(2002年9月18日の記事参照)。

 TypeA(Mifare)は、Philipsが開発した欧米で主流になっている方式。TypeBは、PKIのような複雑・高度なセキュリティシステムに対応できる方式で、金融系や住基ネットなどのシステムに採用されている。

 なお、EdyやSuicaなどで利用されているソニーの非接触ICカード技術「FeliCa」は上記の2方式とは異なり、一般に「TypeC」と呼ばれている。

 これらをすべてサポートできれば、状況に応じて最適な方式の非接触ICカードを利用できるようになる。海外ではTypeAをサポートし、セキュリティが要求されるアプリケーションはTypeBを使う。もちろん、高速な識別の反応速度を要求される局面ではFeliCa(TypeC)対応カードを挿せばいい。FeliCaしか利用できない端末より、確かに自由度は高い。

 とはいえ、現実にはボーダフォンはFeliCaへの対応は検討中。これは、少々気がかりなところだ。

 ビジネスシヨウ TOKYO2004会場で、ドコモ広報は「やはりFeliCaは、デファクトスタンダードですから」と胸をはっていた。KDDIにしても、FeliCaプラットフォームを利用するSuicaは、「少なくとも載せる」とコメントしている(4月28日の記事参照)。来場者からも、「ボーダフォンはFeliCaには対応しないのか」との質問がしばしば聞かれた。

 ボーダフォンの説明員は「(FeliCaをサポートすることが)ユーザーの要望があるのは理解している。EdyやSuicaに対応させたい」と、対応に前向きな姿勢を見せた(5月11日の記事参照)。ただし、詳細が確定するまでは具体的なことはいえない様子だった。

 なお、将来的には複数の異なる方式に対応したカードも登場してくる可能性があるという。

 「ユーザーニーズを考えると、1枚で複数方式に対応できるカードが登場すれば……と考えている。仕様上は可能性があると聞いている」(説明員)

メモリ容量を確保

 非接触IC機能をメモリカードに搭載するメリットは、もう1つある。メモリ容量を多くとれる――というのがそれだ。

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 会場で示されたパネルによれば、このメモリカードにはICカード機能とフラッシュメモリが含まれている。両者は“コントローラ”によって制御され、連動するようになっている。

 非接触IC用のアプリケーションは、通常ICカード機能の領域に保存される。この部分の容量は、32K〜64Kバイト程度だ。

 一方、フラッシュメモリの領域には通常、携帯電話の外部メモリとしてカメラのデータなどを保存できる。もちろん、非接触ICに対応していない端末でも、データを読み取ることが可能。そして、この領域に場合によっては非接触IC用アプリケーションを保存することもできるという。

 「セキュリティを要求しないアプリケーションに関しては、容量を稼ぐためにフラッシュメモリの領域に分けて保存することも可能だ」(説明員)。これにより、メガバイトクラスの容量を非接触ICから活用できるという。

 なお、商用化時にはアプリケーションを携帯電話の通信機能によりダウンロードして、上記の領域に落とし込むことも想定しているという。実現すれば、極めて多機能な“非接触ICカード端末”を持ち歩くことも可能になるだろう。

PDAに対応も?

 もう1つ、メモリカード型の有利な点を挙げるとすれば「携帯電話だけでなく、PDA、カーナビなどでも使える可能性がある」という点だろう。携帯のメモリカードをほかの対応端末に挿し替えることで、非接触IC機能を移すことができる。

 ただし、現時点では端末側のアンテナと、メモリカードの非接触IC機能との間で通信を行う方式が標準化されていない。ここが明確にならなければ、ボーダフォンの提案する非接触ICカード方式に端末メーカーが参加してくることは難しい。

 現状で、ボーダフォンとして規格を公開するかどうかは不明。「新しい方式が登場すれば、そちらに乗り換える可能性もある」(説明員)とした。

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