KDDIとデジタルハリウッドは5月31日、15〜30秒のクリエイティブな着ムービーを募集したコンテスト「EZアワード2」の表彰を行った。会場にはKDDI執行役員、コンテンツ・メディア本部長の高橋誠氏が駆けつけ、次代のクリエイターたちを祝福した。
会場では、携帯電話のデジタルコンテンツについてパネルディスカッションも行われた。討論に参加したクリエイターからは、“携帯コンテンツ”の活性化に向けて高橋氏に対してさまざまな要求が飛んだ。
パネルディスカッションに参加したのは、音楽アーティストのサエキけんぞう氏、メディアレイピストの宇川直宏氏、アスキー取締役兼アスキー編集主幹の福岡俊弘氏、それに高橋氏の4人。
コンテンツクリエイターの視点から、携帯電話でコンテンツビジネスが成立するには「リスクテイクする事業者が足りない」と話すのは、サエキけんぞう氏だ。
「宇多田ヒカルさんのように、米国デビューで数億円の契約を結ぶような才能もあるが……。我々はレコード会社のロイヤルティーがないと(世間に)出てきようがなかった。それこそ、“趣味の世界でずっと俳句を書いている”ようなことになる。(携帯クリエイターが)社会で華々しくやるなら、音楽業界のレコード会社のように(才能を発掘すべく)リスクをしょってくれるところがないと」
この発言を受け、司会を努めるデジタルハリウッドの杉山知之学長が「KDDIにレコード会社のような役目をしてくれ、とお願いするのは……」と高橋氏に話をふると、高橋氏は「ひゃ―」と苦笑。
横から宇川直宏氏も、「KDDIほどの規模の会社なら、“レコード会社”ごと飲みこむ(買収して運営する)ぐらいしてくれ」とした。
高橋氏は、KDDIは携帯電話のプラッットフォームを提供する企業であると前置きした上で、「今の携帯は、JPEGにもGIFにも対応しており、Flashにも対応するという話になっている。そういった中で、(クリエイターのために)オーサリングツールをしっかり整備するということは考えていきたい」とコメント。
同氏はまた、今回のEZアワードもクリエイターを盛り立てようとする試みの一環と位置付け、「このような取り組みを継続的にやっていきたい」と話した。
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宇川直宏氏は、いまやクリエイターはインターネットを通じて、世界に向けて作品を発信できる世の中になったと強調する。
「資本がなくても、DIY(Do It Yourself)で世界のネットワークを築ける」。ただし、そこで重要になるのが課金インフラであり、そこはプロフェッショナルの手を借りる必要があると言及。KDDIに期待する姿勢を見せた。
サエキけんぞう氏は、「高橋さんはレコード会社でいったら部長のようなもの。しかしミュージシャンは、なかなか部長・社長クラスには会えない」と話す。
「そうなってくると、ディレクターが必要になる。常時Webを見てもらって、才能を発掘する部隊を社内に作ってもらえないか」とリクエストしていた。
これらの話を聞いていた高橋氏は、「今日は宿題をいただいた」とコメント。
KDDIといえば、携帯電話の“メディア化”をうたう事業者。定額専用コンテンツとして「EZチャンネル」を提供するなど、新たなコンテンツモデルの構築を目指している(5月28日の記事参照)。同氏は今後、携帯向けクリエイターが参加できるビジネスモデルを構築したいとして、「ご期待いただきたい」と締めくくった。
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