V602SHの画質が変化したワケ

» 2004年08月02日 13時51分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 「300万に突入するか、光学にいくか」。200万画素+オートフォーカスの後、カメラの進化方向を巡って、シャープ内でも議論があった。結果的に、ボーダフォン向け「V602SH」では世界初の光学2倍ズームを搭載したわけだが(5月11日の記事参照)、ここにはどんな理由があったのか。

 そしてV602SHは光学2倍ズーム搭載と共に、シャープらしい画質が失われた(7月15日の記事参照)。この原因はどこにあったのか。

写真印刷時にメリット

 2003年末にオートフォーカス付き202万画素カメラを搭載した端末を投入したシャープ。カメラの次の一手として、選択肢に上がったのは300万画素と光学ズームだった。

 カシオのように320万画素を選択するメーカーがあるなか(6月11日の記事参照)、シャープが選択したのは光学ズーム。そこには2つの理由があった。

 まず「タイミング的には光学のほうがミートしていた」とV602SHの企画を担当した井之村憲一主事。カメラモジュールの仕上がりのタイミングとV602SHの登場のタイミングがうまく一致していた。光学2倍ズームのカメラモジュールは3群5枚のレンズを採用。そして同じ202万画素でも、CCDも異なっている。V601SHなどに使われた1/2.7型ではなく、より小型の1/3型が使われた。

 もう1つ、光学ズームのほうが写真印刷時に効果が大きいことがポイントだった。「300万画素の選択肢もあったが、(印刷時に)効果が出るのは2L判以上に印刷したとき」(井之村氏)。通常プリントに使うサービス判ならば、ほとんど差がないという判断だ。ズームを考えた場合も、光学2倍ズームと同じようなデジタルズームを実現するには800万画素が必要になる。

光学ズームを入れるための回転2軸ヒンジ

 そして決め手になったのは回転2軸ヒンジの採用だ(5月11日の記事参照)。「デジカメとの進化をミッション」(井之村氏)としたV602SHのコンセプトを元に、ファインダーをできるだけ大きくし、かつカメラデバイスが収まる形状が探し求められた。

 「このコンセプトが先」にあって、回転2軸ヒンジ(スウィーベルスタイル)が出てきた。「スウィーベルスタイルが決め手になった」と、同社デザインセンターの小山啓一主任デザイナーは話す。

 例えばパナソニック モバイルが「P900iV」で採用したようなヒンジ部にカメラを入れ込む構造では難しかった。高さ方向には余裕があっても「四角いものが入る余裕がない」(小山氏)。

光学ズームであることを意識してもらう

 タイミング的にも形状的にうまく搭載できた光学2倍ズームだが、その仕上がりには完璧とはいえない部分もあった。

 光学ズームは2段階の切り替えでありリニアにはズームしない。またリニアに動くデジタルズームとは連動しておらず、光学ズームは別途動作させる必要がある。「光学ズームの具合で、距離によってピントが変わる。そのため敢えて(光学とデジタルを)切り離して、逆に光学ズームであることを意識してもらう」(井之村氏)。

シャープの画質が変化したワケ

 光学2倍ズームという偉業を達成したV602SHだが、「これまでのシャープ端末と画質が変化した」という声も聞かれる。この理由はどこにあったのか。

 V602SHは、256K VアプリVer.2に対応すると共に、グラフィックスアクセラレータとして東芝製の「T4G」を搭載している(5月12日の記事参照)。今回カメラで撮影した画像は直接T4Gに送られ、JPEG圧縮をT4Gで行う仕様とした。シャープ製端末の課題としてたびたび挙げられていた、保存時間の短縮のためだ。

 これにより保存時間自体は大幅に短縮されたが、直結には問題もあった。カメラの画質はCCDやレンズの性能だけでなく、各社が積み上げてきた画質補正のフィルタ処理で大きく変化する。T4Gを利用することで、独自のノウハウが生かせなくなってしまったのだと井之村氏は言う。「ソフトでパラメータを設定できない。これまでシャープが持っていたノウハウをなしにしていいのか?」(井之村氏)。

 この点を改善するため、ギリギリのタイミングながら、微妙な改善も行われた。カメラモジュールからいったんデータを取り出し、シャープのノウハウである補正フィルタをかけた後にT4Gに戻してあげるというオプションが用意されたのだ。

 [画質設定]画面で右ソフトキーに「フィルター」という項目が用意されている。これをオンにすれば、多少保存に時間がかかるようになるが、シャープの絵作りが反映された写真が撮れるようになる。残念なのは、タイミングの問題でデフォルトではフィルターはオフに設定されていることだ。

 画質がどうも違う……と感じた方は、一度フィルターをオンにして試してみるのもいいだろう。

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