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» 2004年08月05日 17時31分 UPDATE

CCDからCMOSへ〜変わる携帯カメラ (1/3)

携帯の高画質のカメラといえばCCDで、これまでCMOSは一段低く見られてきた。しかし130万画素を実現したCMOSセンサーが登場したのを機に、徐々に携帯電話のカメラがCMOSに移行していくかもしれない。CCDのほうがCMOSよりも高画質だった理由を構造面から再確認し、なぜ今CMOSなのかを探っていこう。

[斎藤健二,ITmedia]

 高画質のカメラといえばCCD、CMOSは写りが今ひとつ──。そんな固定観念は過去のものになるのかもしれない。

 au向け東芝端末「A5506T」では、CMOS初となる130万画素の東芝製CMOSイメージセンサー「Dynastron」を搭載(6月21日の記事参照)。携帯向けメガピクセルカメラの新たな方向性を示した。CMOSの弱点といわれた感度を大きく向上させ、大幅な画質向上を図っている。

 東芝セミコンダクター社のイメージセンサ応用技術第二担当の金子武彦担当課長は、「(端末メーカーも)CCD、CMOSこだわらないという動きに変わってきた。それだけCMOSセンサーの画質が認知されてきた」と話す。

 イメージセンサー製造元のCMOS化の流れは東芝に留まらない。「SO505i」などに130万画素CCDセンサーを供給した、CCD最大手のソニーも携帯向けではCMOSへのシフトを明確化している。

 「高画質化の要求に対応すべく取り組んだ結果、画質でCCDを凌ぐCMOSセンサーを開発することができた。したがって、今後のモバイル向けは、CMOSセンサーで取り組んでいく。2004年秋以降、メガピクセル級の製品の出荷を開始し、順次、携帯電話にも搭載されていく予定」(ソニー広報部)。

 CMOSセンサー技術にどんな変化が起きてきているのか。そしてCCDと比較したCMOSのメリット・デメリットはどこにあるのだろうか。

端末メーカーがCMOSセンサーを求める理由

 画質の面では原理的に優れるCCD(次ページ参照)。CMOSはさまざまな改良を施して、CCDに追いついてきたところだ。ところがCMOSへのシフトを進めるソニーのようなデバイスメーカーがあるだけでなく、端末メーカーもCMOSを求めている。

 「(端末メーカーは)性能で重視するのは感度とS/N比。そこが改善されればCMOSセンサーを使いたいと言っている。CMOSセンサーが出てこないので、CCDを使わざるを得ない」と金子氏は端末メーカーの要望を次のように代弁する。

 CMOSを求める理由はどこにあるのか。

メリット1:供給量の確保

 CMOSセンサーのメリットとしてまず第1に挙げられるのが供給面だ。CCDが専用のプロセスで作っているのに対し、CMOSセンサーはCPUやメモリと同じCMOSプロセスで製造できる。

 「CCDに比べて生産設備の展開が容易。別の工場で0.18μmCMOSプロセスのラインがあればそれを転用することもできる」と金子氏。

 ある端末メーカーによると、CCDの生産が追いつかず端末の供給を絞らざるを得なかったり、供給リスクの問題からメガピクセルカメラ搭載を見送った経緯もあるという。特に供給に対してシビアなのは海外メーカーだ。先日、Nokiaがメガピクセルカメラを搭載した端末を発売したが、もちろんCMOSである。

 「海外のセットメーカーはCCDは念頭にない。大きさや組み込みの難しさに加え、CCDは供給メーカーが限られる。携帯の世界なので供給量にリスクがある」(金子氏)

 現在、携帯向けのCCDセンサーの供給メーカーは5社。最大手のソニー、先駆けとなった三洋電機、自社端末を中心に搭載するシャープ、ハニカムCCDで知られる富士写真フイルム、松下電器産業しかない(2003年2月10日の記事参照)。

メリット2:組み込みの容易さ

 端末メーカーがCMOSを望む理由の1つは組み込みの容易さにある。「CCDのようにドライバ回路が必要ないので駆動回路がシンプル。電源回路も少なくて済む。CCDのようなアナログ信号処理が必要なく、センサー側でデジタル化されているので、処理に神経を使わなくて済む」(金子氏)。

 一般に携帯向けカメラはセンサーとレンズ、処理回路が一体となったモジュールで提供されることが多いが、モジュールの場合でも周辺のコンデンサも含めたチップ数に違いが出る。CMOSはサイズの小型化の面でも有利なことが評価されている。

メリット3:消費電力

 もう1つの理由は消費電力だ。12〜15Vという高電圧が必要となるCCDに対し、CMOSは低い電圧で済む。そしてプロセスが微細化していくほど、電圧の差は大きくなっていく。そして消費電力は電圧の2乗に比例している。これがCMOSが消費電力面で優位な理由だ。

 「高画素にしていくほど、消費電力で開きが出てくる。一般的にいわれるのは、VGAの場合でCCDは300〜400ミリワット(ドライバ、A/Dコンバータ含む)、これがCMOSなら30〜40ミリワット。これが1M、2M、3Mとなるほど差が開いていく」(金子氏)

 これまで画質の差が大きなことから、ユーザーだけでなくキャリア、端末メーカーからも敬遠されがちだったCMOSだが、130万画素化と共に重要な役割を担おうとしている。

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