聞くだけで彼女ができる?「奇跡の着うた」の謎に迫る(1/2 ページ)

» 2004年09月02日 18時01分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 聞くだけで集中できる、記憶力が高まる、やせる、巨乳になる、彼氏ができる、彼女ができる……そんな“奇跡”をうたう着うたが登場した。

 ティー・オー・エスはiモードとEZweb向け「魔法のメロらんど」で、上記の効果をもたらすという「奇跡の着うた」を各種提供している。脳機能学者、苫米地英人氏の長年の研究成果を応用し、脳に特殊な刺激を与える音源を着うたに埋め込んだという。

 着うたを聞くだけで女性にモテるなら、非常に興味深い話。ただしにわかには信じがたい、なかなかに「アヤシイ」話でもある。どういった仕組みの着うたなのか。それを探るべく、研究を行った苫米地氏本人に聞いた。

photo 苫米地英人氏
異能の研究者、苫米地英人氏

 苫米地英人氏とは、どんな人物なのか。

 同氏は、「脳機能学者」という肩書きを持った研究者。催眠術や洗脳のプロセスに詳しく、“洗脳原論”という著書がある。外部から依頼されて、オウム真理教の信者を「脱洗脳」(=洗脳状態を解除する)したこともあり、オウム関連の話題でしばしばマスコミに登場している。

 苫米地氏はまた、P2Pの技術にも詳しい。自身、著作権保護機能付きのP2Pプレイヤーの開発を手がけているほか(2002年5月30日の記事参照)、日本MMOのP2Pサービス「ファイルローグ」が著作権侵害だとする訴訟が法廷で争われていた際には、「日本の健全な発展のためにP2Pを禁止すべきではない」とする意見書を地裁に提出している(2002年12月の記事参照)

ポイントは「同調」とサブリミナル効果?

 それでは、着うたがどうやって視聴者に“影響”をもたらすのか。苫米地氏の話を聞く限り、原理としては「脳波を同調させる」こと、それに「サブリミナル効果」を用いるようだ。「プラシーボ効果」も利用するという。耳慣れない言葉にとまどうユーザーもいるかもしれない。

 順番にいこう。苫米地氏は、「人間の脳波は、外部の刺激に応じてバイオフィードバックにより同調を起こす」と説明する。

 「たとえば、左耳に440Hzの音を聞かせ、右耳に448Hzの音を聞かせる。そうすると、その差分である“8Hz”のうねりが生じる。この8Hzに、脳波が誘導される」

 人間の脳波にはいくつかの種類がある。眠くなったときに表れるシータ波、精神活動していることを表すβ波などがあるが(2003年11月13日の記事参照)、このうちリラックスしているときに表れるといわれるα波は、8Hz〜13Hz未満の周波数を持っている。前述の方法により脳波を8Hzに誘導すると、α波が出ている――すなわち、リラックスした状態になるという。

 「もちろん、α波だけを出すというのではない。脳内では全周波数帯が出ているが、α波が強い、『α波優位』の状態にする」

 実は、このような手法を用いてα波を出させる「癒し」グッズはほかにも存在する(2003年6月20日の記事参照)。苫米地氏は、機器によっては、脳波をシータ波優位にして(すなわち眠い状況にして)――それからデルタ波優位に切り替え(ぐっすり眠っている状態)――それからα波支配に切り替える(リラックス)など、精神状態を変遷させるプログラムを持つ機器もあると紹介する。

 今回の研究は、それを“さらに進めたもの”だと苫米地氏は強調する。

 「複数の周波数帯に、同時に“立体的”な仕掛けをする。これにより、人間の意識状態をコントロールすることができる」

 意識状態をコントロールすれば、ド―パミンやセロトニンといった神経伝達物質の分泌量を変化させることも可能だと同氏。同氏はここで、コルチゾール(cortisol)と呼ばれるホルモンが、脳細胞に与える影響を解説する。

 「コルチゾールは『ストレスホルモン』とも呼ばれている。個人的にはこの呼び方は嫌いなのだが、とにかく強いストレスを受けた時に、コルチゾールが出る。これが脳細胞に作用すると、海馬(=側頭葉にあり、記憶を司るとされる部位)が壊されることが分かっている。細胞が、物理的に死ぬわけだ」

 当然ながら、海馬の脳細胞が死ねば、記憶に悪影響がある。その逆に、「脳波を誘導して、コルチゾールを出せなくする、あるいは出しづらくするよう働きかければ、記憶力が向上することになる」。

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