CEATEC JAPAN 2004で、1つの見どころになっているのが「1セグ放送」(モバイル向け地上デジタル放送)対応端末だ。端末メーカー数社が、競うように開発中の端末を展示している。
各メーカーとも既存の端末をベースにチューナーなどを搭載しているが、端末の作りこみやH.264への対応状況などは異なるようす。順に確認してみよう。
三洋は、予告どおりH.264対応の1セグ端末を展示。ダイバーシティ受信方式とダイレクトコンバージョン方式を採用しており、「アンテナのほかにイヤホンアンテナを付ければ、ダイバーシティ受信が可能」(説明員)という状態になっている。
実際に展示用実験局を用意して電波を飛ばし、端末側で2チャンネルから選局できるようにするなど、かなり実環境に近いデモだった。通信の変調方式はQPSK 1/2で、総ビットレートは312Kbpsと本放送を想定。ほかのメーカーに比べて、先行している印象を受ける。
東芝ブースでは“携帯でない端末”で1セグ放送を受信する構想が披露されている。先日発表された端末群が(9月28日の記事参照)、一般向けにお目見えしたかたち。
いずれもSDカードスロットを搭載した「1セグ放送受信端末」。デモでは、内蔵のMPEG-4映像を表示させていた。「1セグ放送は、携帯で受信するとなると画面が小さい。もう少し大きな画面で、ということで専用端末にした」(説明員)。
まだ構想段階だが、価格は「3万円前後だろう。液晶が量産されればもっと下がる」(説明員)。逆にいうと、3万円以下に抑えなければいけないのだが「有機ELを搭載した端末は価格を抑えることが厳しい」――との本音も聞かれた。
ソニーブースでは、1セグ放送のイメージモックを見ることができた。「電話にテレビを載せるだけでなく、それによってどう生活が変わるかを考えた」(説明員)
ほかに、携帯にMPEG-4の映像を表示させるデモも行っていた。映像は有線経由で伝送していたが、ブラウザはBMLに対応していた。また、ソニーがH.264に取り組んでいることをアピールするコーナーも設けられていた。
松下電器は、H.264対応のシステムLSIを展示。「特に携帯向けというわけではない」(説明員)というものの、その横ではMPEG-4の映像を携帯上で表示させるデモも行っており、1セグ放送を意識した展示であることをうかがわせた。
日立のブースでは、以前NHKの「技研公開」で公開した端末が展示されていた(5月28日の記事参照)。特に、アップデートされたポイントはないようだ。
H.264への対応を聞くと、「処理に負荷がかかるのでそれなりのチップを準備する必要がある」(説明員)との答え。
ルネサス テクノロジのブースでは、MPEG-4/H.264両対応のビデオデコーダが展示されていた(7月26日の記事参照)。現在はソフトウェアベースだが、ハードウェアとして「VPU4」を開発しており年末からサンプル出荷の予定という。同社はまた、ブース内で1セグ放送をシミュレートできる端末型の開発環境も展示していた(7月5日の記事参照)。
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