「ソフトバンクの800MHz帯希望はエゴ」とKDDI

» 2004年12月15日 23時55分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 KDDIの小野寺正社長は12月15日の会見で、総務省が検討会を開いて議論している携帯電話の周波数議論についてコメントした。

 「ソフトバンクがTDD方式でやるなら、ぜひやっていただきたい。日本の産業のためでもある。ただし同じ方式(既存のW-CDMAやCDMA2000)で、800MHz帯という我々が使っている波を取り上げて使うのはエゴだと思う」

 ソフトバンクは、当初総務省が新規参入用に確保していたTDD方式2GHz帯への参入を検討していた(2003年12月4日の記事参照)。TDD方式は、新しい3G通信方式の1種。ところが一転して800MHz帯への参入を希望する(9月6日の記事参照)。通信方式もドコモやKDDIが採用しているのと同じ、W-CDMA方式またはCDMA2000方式の利用に変更したという経緯がある。

 小野寺氏は、新規参入自体は歓迎だが、ルールに基づくべきだと主張する。これまでアナログ方式(1G)のスタートで800MHz帯が、PDC方式(2G)のスタートで1.5GHz帯が、IMT-2000(3G)のスタートに当たって2GHzが新しく割り当てられてきたことを例に挙げ、「新しい方式が導入されるときに、新しい周波数が移動体に割り当てられてきた。この方式はどの国でも変わらない」と、これまでのルールのあり方を示した。

 ソフトバンクが800MHz帯で参入したいというのは、「いままでのルールがあるにもかかわらず、予定表にないことをやりたいと言っている。ルールがあるけど、壊してでも入りたい。そういう感じだと思う」と厳しく批判。

 小野寺氏は、800MHz帯だけでなくW-CDMAやCDMA2000といった既存の通信方式でソフトバンクが参入しようとしていることにも苦言を呈す。「(2GHzのTDDのような)新しい技術の導入は賛成だ。しかし既存の技術を使って既存の事業者が持っている周波数に入りたい──。それはいかがなものか。みんなが儲かりそうだからやりたいと手を挙げたらどうするのか。『人の周波数を取って事業運営できますよ』となったら誰も携帯の事業を運営できない」

 現在、総務省が開催している検討会についても、「あれは1.7GHz帯とか2GHz帯のTDDをどう利用していくのかの検討会で、元々800MHz帯は全く関係ない。本筋に戻すべきだろうと思っている。まず2GHz帯のTDDについて、きっちり割り当てて、事業者を決めて準備にかかるのが先決だ」と、同検討会の議論が脱線状態にあることを指摘した。

どうする? 海外メーカー製端末

 このところ、ボーダフォンをはじめとして(9月22日の記事参照)ドコモでも海外メーカー製の端末を国内でも販売する動きが出始めている(10月13日の記事参照)。ボーダフォンの場合、Vodafoneグループ全体で同一仕様の端末を採用することで、端末の調達コストを下げるのが狙いだ。

 KDDIもこの動きに追随するのか。

 「海外メーカーであっても、いいものであればそろえるつもりはある。ただしCDMA2000だということと、(上り下りが逆転している)800MHzという日本独自の周波数であるため、日本専用で作ってもらう必要がある。今の時点では海外メーカーに作ってもらう予定はない」(小野寺氏)

 ドコモやボーダフォンが海外メーカー製端末を採用できるのは、2GHz帯というIMT-2000の共通周波数帯を利用し、W-CDMAという世界共通の通信方式を採用した点が大きい。対するKDDIは、韓国および米国が中心のCDMA2000方式。さらに、海外と上り下りの周波数が逆転していることも問題となる。

 実際、KDDIが発売している海外ローミング可能な「GLOBAL PASSPORT」端末は、海外の周波数への対応のほか日本とは上り下りを反対にする必要がある(2003年12月4日の記事参照)。このためのコスト増がGLOBAL PASSPORT端末を増やせない理由だと小野寺氏は話す。

 さらに、「端末もサービスも、国民性がすごく影響していると思っている。海外メーカー端末が日本でどれだけ受け入れられるのか、アンノーン(不明)な要素が強い」と、海外メーカー製端末を販売することのリスクについて言及した。

現在のところ、新技術の導入予定なし

 やっと3Gが普及の途についたところだが、ドコモなどは新技術の導入に余念がない。2005年度には最大14.4Mbpsの速度を実現する新通信方式「HSDPA」を導入する予定だ(3月3日の記事参照)。

 KDDIが採用するCDMA2000方式でも、EV-DOのマルチキャストやRev.Aなど(2月13日の記事参照)、新技術自体は用意されている。これらの新技術導入に対するKDDIのスタンスはどうか。

 「来年度に具体的に導入する技術については考えていない。もう少し先になる。もう少し時間をいただかないとEV-DOの次は見えてこない」(小野寺氏)

 EV-DO(サービス名1X WIN)の際にも、数年の実験期間が必要だった。現時点では新技術へのアップグレードの予定はないというのが小野寺氏の回答だ。少なくとも3.5Gと呼ばれるEV-DOの導入では、ドコモのHSDPAよりも1年以上先行していることになる。

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