ドコモ、PHS事業から撤退へ〜FOMAに経営資源を集中

» 2005年02月28日 16時29分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 NTTドコモは、PHSサービスの新規申し込みを4月30日をもって終了すると発表した(2月28日の記事参照)。ドコモのPHS契約数は、2月27日の時点で約135万。新規申し込み終了後もサービスは継続するとしているが、PHSユーザーにはドコモの携帯電話やFOMAへの特典付きの移行策を提供し、将来的にはサービスを終了する意向。終了時期の見通しについて、NTTドコモの中村維夫社長は「サービスの停止までには2年くらいかかると見ている」とした。

 新規申し込みの終了を決めた理由は大きく3つあると中村社長。最初に挙げたのは、PHSを取り巻く事業環境の厳しさだ。「ADSLの普及により、カード型PHSの競争力が低下している」(中村社長)。屋内利用が多かったPHSカードの利用がADSLに取って代わられたことに加え、フルブラウザ搭載端末や定額制サービスの登場など、代替となるインフラが整ってきたと説明。「ドコモもFOMAのデータ通信プランについて、準定額制といえるプランを発表済み(2月17日の記事参照)。フルブラウザ端末もやっていく考え」と話すなど、データ通信についてはFOMAに経営資源を集中させる方針だ。

 2つ目に挙げたのは、利用者の減少。「(PHS定額データ通信サービス)『@FreeD』(2003年3月の記事参照)を開始した際には、月6000台くらい出ていたが、以降は2500台がめいっぱい」(中村社長)。契約者も2002年3月の192万をピークに(NTTパーソナル時代の最多契約数は、1997年9月の212万)減少が続き、2月27日時点で135万契約となっている。

 3つ目は、サービス継続にかかる投資額が大きい点だ。「どこまでやるかにもよるが、2012年の干渉問題も考えると、4000〜5000億の再投資が必要」(中村社長)。PHS事業は6年間で3800億の累計赤字が出ており、「今年度単年でも250億の赤字を予想している」(同)という状況の中、事業の存続は困難だという見方を示した。

既存ユーザーには代替案を案内

 ドコモはPHSユーザーに対し、携帯電話やFOMAへの移行に向けた各種特典を提供する。新規契約の手数料を無料にするほか、端末購入に関しても優遇策を検討中。また、約6万ユーザー(60万契約)が利用している法人向けPHSサービスについても、代替サービスとして無線LANとFOMAのデュアルネットワークサービス「PASSAGE DUPLE」(2004年11月の記事参照)を案内するとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月05日 更新
  1. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  2. 「楽天ポイント」と「楽天キャッシュ」は何が違う? 使い分けのポイントを解説 (2025年12月03日)
  3. 「スマホ新法」施行前にKDDIが“重要案内” 「Webブラウザ」と「検索」選択の具体手順を公開 (2025年12月04日)
  4. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  5. 三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」の実機を触ってみた 開けば10型タブレット、価格は約38万円 (2025年12月04日)
  6. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  7. サイゼリヤの“注文アプリ”が賛否を呼ぶ理由──「使いやすい」「紙メニュー前提」など多様な意見 (2025年11月23日)
  8. Z世代で“友人のInstagramアカウント乗っ取り”が流行? いたずらで済まない不正アクセス禁止法違反 保護者が注意すべきこと (2025年12月04日)
  9. NTT系初の耳をふさがない集音器「cocoe Ear」発表 補聴器でない理由、AirPods Proとの違いは? (2025年12月03日)
  10. 鉛筆デザインのiPad用スタイラスペン「Nelna Pencil」発売 物理ボタンに9機能を設定可能 (2025年12月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー