10月4日に開幕した「CEATEC JAPAN 2005」会場で、富士通は放送受信、IPテレビ電話、フルブラウザに対応した多機能モバイル端末「.u Visual」を参考出展していた。ライブドアブースにも同じものが展示されており、今後ライブドアの移動体サービスと連携する可能性もある。
.u Visualは、Linux OSを搭載し富士通製のCPU「FR461」を内蔵した端末。その機能は大きく分けて3つある。1つはIEEE 802.11b準拠の無線LANを内蔵しており、ネットワークエリア内ならSIP方式のIP電話としてテレビ電話の通話ができること。液晶に表示されたQVGAサイズの映像を、毎秒15フレームで表示できる仕様になっている。ちなみにカメラは、35万画素のCMOSセンサーを搭載している。
もう1つは、フルブラウザを使ったインターネット閲覧が可能であること。フルブラウザは富士通が開発した「Inspirium」(6月30日の記事参照)を搭載している。「トヨタのG-BOOKなどにも採用されているブラウザだ」(説明員)。
InspiriumはBMLに対応するため、チューナーを用意すれば地上デジタル放送受信端末として利用することが可能。これが3番目の特徴だ。AVC/H.264に対応するため、1セグメント放送(ワンセグ)を視聴できるという。ほかに、PTT(用語参照)にも対応する。
今回は参考出展ということで、メニュー画面などは作りこまれていなかった。現在商品化を検討中で、実際に話もあるが「スケジュールなどは未定。実際に作るとしたら、価格は分からないが4万〜5万円ぐらいだろうか」(説明員)
端末の用途は今のところ、業務用ともコンシューマー向けとも、明確に決まっていないようだ。業務用端末として考えた場合、無線LANのネットワークインフラのある設備内で、工事記録、修理・保守サポート業務、各種イベント、映像を見せながらのセールスなどに活用されることになる。
ただ、キャリアと連携してコンシューマー端末として提供することも考えられる。「まだキャリアと具体的な交渉を進めているわけではないが……。現時点では3.7インチのVGA液晶を搭載しているが、コンシューマー製品にするなら2.8インチのQVGA液晶を採用して、全体に小型化してもいい。不必要な機能は削ることも考えられる」(説明員)
コンシューマー用途に使ってほしいという意図を反映してか、.u Visualはライブドアの無線LANサービス展示コーナー「livedoor Wirelessネットラウンジ」にも展示されている。
説明員は、ライブドアとの交渉に乗り気な姿勢を見せる。「この端末をライブドアに持って帰ってもらって、どんなサービスがあり得るか考えてほしい、とお願いしている(笑)」。既にハードウェアはできているし、無線LANネットワークのインフラも普及しつつあるが、それらを組み合わせてどんなサービスを提案するかがポイントなのだとした。
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