2005年頃から各キャリアともに注力し始めたのが“携帯+音楽”というアプローチ。2006年になると、その傾向はより顕著なものとなり(記事1、記事2参照)、課題になっていた音楽の再生時間の長さや対応フォーマットを拡張した端末が出揃い始めた。
こうした流れの中、ついに登場したのがウォークマンブランドを冠した音楽携帯「W42S」(W42S記事一覧参照)。携帯音楽プレーヤー市場でiPodと双璧を成すウォークマンが、ついに日本で携帯電話との融合を果たすとあって、大きな注目を集めている。
多種多様な音楽携帯が登場する中、携帯とウォークマンの融合は、ほかの音楽携帯とどこで一線を画すものになるのか──。ウォークマンケータイのアイデンティティについて開発陣に聞いた。
海外では既に「W800i」(2005年3月の記事参照)や「W950」(2006年2月の記事参照)といったウォークマンケータイが登場している。海外でもウォークマンブランドの効果は絶大で、販売台数は550万台を突破したという。
ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは2005年3月に、“音楽機能全部入り端末”とうたう「W31S」(2005年3月の記事参照)をリリースしており、一見するとW42Sはその後継機種のようにも見える。
W42Sの商品企画を担当した岡本氏は、「確かに似ている部分もある」と前置きした上で、こうコメントした。「W42Sはトータルのモチベーションが音楽。それが一番(W31Sと)異なるところ」。W42Sは、全体のデザインからユーザーインタフェース、ハードウェアスペックに至るまでのすべてを“音楽を聴く”というコンセプトの元にトータルでデザインしており、ここが“ウォークマンケータイ”を名乗るゆえんだと説明する。
「W31Sは、たくさんある横並びの機能の1つとして音楽があったため、何らかの操作をしているときに音楽を聴こうと思ったら、操作中の機能をいったん終了して音楽プレーヤーアプリを立ち上げて──という操作が必要だった。メールをしながらバックグラウンドで音楽を聴いているような時にも、ボリューム調整や前後曲へのスキップをするにはリモコンを操作しなければならない。W42Sは、音楽操作のために用意したシャトルキーがあるので、“ながら”のしやすさが格段に向上した」──。こう話すのは、ソフトウェア設計を担当した村松氏だ。
こうした開発陣のコメントから、ウォークマンケータイのアイデンティティの大元にあるのが“機能を超えた、音楽と携帯の融合”であることが見えてくる。
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