インタビュー
» 2006年12月12日 17時16分 UPDATE

開発陣に聞く「P903i」:「P903i」がこだわった“903i最速&長時間”、そして“P”端末の今後 (1/3)

カスジャケ&ワンプッシュオープン──“P”端末らしい特徴を引き継いだ「P903i」。しかし「全面一新」といえるほどハード/ソフトの両面を進化させていた。何が変わったのか、どんな工夫をしたのか。パナソニック モバイルのP903i開発チームに話を聞いた。

[岩城俊介,ITmedia]
photo パナソニック モバイル製「P903i」。ホワイト、ブラウン、オレンジの3色を用意する

 「P903iは、903iシリーズ“最速”だと思っています」

 ワイヤレスミュージック機能とワンプッシュオープン機構、カスタムジャケット──FOMA“P”端末のアイデンティティと呼べる機能や機構を備えるパナソニック モバイルコミュニケーションズ製の「P903i」。これらの多くは前モデルP902iシリーズのほか、P901i/P900iシリーズにも共通する特徴だ。

 そのため、その外観の第一印象は前モデルと大きく変わらないと思ってしまうかもしれない。筆者を含めて、そのような“P”端末の特徴が好きだから、あるいはBluetoothが必要などの理由で従来からのファンも多いと思われるが、外観デザインの印象やカタログに載る一般的なスペックだけでは分からない部分も多い。

 では、P903iは従来機からどのような進化を遂げたのか。冒頭の発言は何を意味するのか。パナソニック モバイルのP903i開発チームに、改めて「P903i」の進化ポイントと開発の裏側を聞いた。


photo P903i開発チーム。左上からハードウェア技術担当の渡邊聡氏、コンテンツ担当の和田明彦氏、グラフィックファームウェア担当の春元英明氏、P903iプロジェクトマネージャーの井川恵一氏、ソフトウェア技術担当の中西克美氏、ハードウェア技術担当の村木一夫氏、ソフトウェア技術担当の大本晃寛氏、左下からハードウェア技術担当の田中和之氏、コンテンツ担当の関智子氏、営業担当の伊藤照秀氏、商品企画担当の佐藤恭子氏、ソフトウェア技術担当の高橋慎司氏、ソフトウェア技術担当の都築健吾氏

松下独自プラットフォーム「UniPhier」に“全面一新”

ITmedia 改めて「P903i」がどう進化したのか、カタログには載らない項目も含めて、その開発の裏側を教えてください。

P903iプロジェクトマネージャー 井川恵一氏(以下、井川氏) 今回のP903iが目指した大きなテーマの1つに「長時間」が挙げられます。

 携帯電話のデザインやサイズ、これは当然重要です。しかし、携帯電話は毎日持ち歩き、触れ、操作するものです。そのため「いざ使ったらどうなのか」という点が最も重要なのないでしょうか。これは絶対おざなりにしてはならない部分です。

 P903iでは、その使い勝手全般に直結するハードウェアプラットフォームとソフトウェアを大きく進化させました。

ITmedia ハードウェアは何か変わったのですか。

井川氏 はい。「全面一新」と言えるほど変えました。

 P903iは従来機のTI(Texas Instruments)社製から、松下電器独自の「UniPhier(ユニフィエ)」というプラットフォームを新たに採用しました。

 UniPhierは弊社グループが開発したデジタル民生機器向けの開発プラットフォームです(注:今までのパナソニック モバイル製端末では「P901iTV」に採用)。これが消費電力の削減に大きく寄与しています。

 連続待受時間や連続通話時間の大幅な向上は、このUniPhierの力が大変効いています。そのほか細かいところでは、電源ICの高効率化やキーバックライトの工夫、光センサーを搭載したことなども挙げられます。

photo UniPhierプラットフォームの構成図
P903i P902iS
連続待受時間 静止時:約640時間(1.16倍)
移動時:約420時間(1.11倍)
静止時:約550時間
移動時:約380時間
連続通話時間 静止時:約190分(1.27倍)
移動時:約120分(1.2倍)
静止時:約150分
移動時:約100分
連続再生時間
(SD-Audio/有線イヤフォン使用時)
約70時間(約10倍) 約7時間
連続再生時間
(着うたフル/有線イヤフォン使用時)
約17時間(約2.42倍) 約7時間
バッテリー 3.7ボルト/830ミリアンペアアワー(リチウムイオン充電池)

井川氏 もう1つ、音楽の連続再生時間も大幅に延びています。デジタルアンプを搭載し、従来にない70時間の長時間再生を実現しました。

 今回は、ハードウェアとソフトウェア双方を大きく変えたため、開発の難易度は非常に高いものでした。そのかわり、性能面で非常に満足のいくものに仕上がったと思います。音楽だけでなく、ゲームやメール、そして通話。携帯としての基本性能面でも他社端末に勝っている自信があります。

ハード技術担当 渡邊聡氏(以下、渡邊氏) いろいろな機能を動かすにもUniPhierの効果が総合的に寄与します。ちなみにBluetoothのチップ自体はP902iSと同じですが(注:Bluetoothのバージョンは1.2/Class 2準拠)、ワイヤレスでの連続音楽再生時間も向上しています(注:SD-Audio/着うたフル双方、約9時間)。UniPhierと電源ICの高効率化を含めて、全体的に省電力化された結果です。

営業担当 伊藤照秀氏(以下、伊藤氏) もう1つ、ゲームにも大変メリットがあります。903iシリーズはiアプリも大幅に進化し、大作も続々登場します。ゲーム中に電池が切れて、通話やメールができなくて困ったことはありませんか。

photo ハードウェア的なレイアウトを見直し、熱を均一化させることで、アプリ起動時も裏面が熱くなりにくい工夫を取り入れた

ITmedia 確かにP900iにプリインストールされていたファイナルファンタジーのボス戦直前で電池切れしてしまい、端末をブン投げたくなったのを思い出しました。

渡邊氏 省電力化の取り組みは、携帯電話本来の機能も当然損なわないことを意味しますし、ゲームに没頭して楽しめる要素も含まれています。

 それと、アプリ起動中は特に裏面が熱くなりますよね。P903iはハード的なレイアウト見直し、発熱を抑える工夫を取り入れました。

 具体的には、均熱化──いろいろなところで発生する熱を均一化させています。そのため、ある1部分だけが熱くならないというわけです。もちろんUniPhierの省電力化 イコール 低発熱であることも寄与しています。熱くならなければ気がつかないところなので、表には見えないのですが(笑)。


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